平和を覆す一つの
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この世に産まれて約半年。
一日の大半を寝て過ごす赤ちゃんは一体何の夢を見ているかって?
それはもちろん、過去(前世)の記憶ですとも!


平和を覆す一つの


平和な時代の平和な国に生まれた私は、他の国や時代の人達に比べれば不自由なく、生きてきた。死ぬ時なんかは病死とか老衰だろうと頭のどこかで安易に思ってた。
だから、物語ではアクションやファンタジーが好きで、こんな所に行ってみたいとか、こんな話が良いなんて、考えていたけど…

いざ、転生トリップなんてモノを自分が体験してしまうと、昔(過去)の自分を殴って止めたいと考えてしまうのは、今日見た夢の所為にまず違いない。

産まれたばかりの頃は、死ぬ前の日常を見る事が多かった。徐々に過去の夢が昔になるにつれて、懐かしさが込み上げて、泣いてしまった。前にも同じ事があったのは死ぬ瞬間の走馬灯。ああ、そういえば、死んで産まれるまでの間の記憶がすっかり抜けているけど、誰かに会った気がする。
俗に言うそれが神だったのだろうか…
その時いったい何があったかなんて分からないけど、ここに転成された訳はまずそこにあると私は思っている。

「ネビル、今日は母さんも父さんも大事な仕事があるんだ。だからいい子にしておばあちゃんと帰りを待っててくれな」

「あう」

そんな過去の記憶を振り返っていたある日、両親が仕事で出かけると言ってきた。
私はまどろむ意識の中何とか両親を見送ってから眠りについた。


* * *

ピチョン

真っ暗な空間の中に私は佇んでいた。ふと、その感覚に違和感。今の私では不可能な動作だからだ。

「止めてぇ」
「うあああっ」

暗闇の中、何処かで叫び声が聞こえた。
ぞくり
その声に私は焦燥にかられた。まさか、そんな筈はない。だけど、この声は…
次には夢中でその声の場所へと見えないながらに走っていた。暗すぎて平行感覚もおかしく足が縺れてしまう。でも、行かなければ、手遅れになる前に。

すると突然目の前に扉が現れて、私は躊躇う事なく開けていた。

「アリス!」


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