誕生したら異世界でした
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産まれた時には既に意識がはっきりしていた。新しい両親、新しい生、そして、新しい世界に出会った。


誕生したら異世界でした


「…ネビル」

そう呼ばれて、某有名ファンタジー小説の男の子を連想してしまうくらいには、好きだったお話。
だけど、きっと外国では良くある名前何だと思った。第一、今生でも私は女になっていたから。女の子にネビルってどうなんだろう?ああ、そもそも名前のような固有名詞以外は英語で、私は言葉が解らなかった。
元来私は日本人だった。だから英語圏ではなかったし、国外にて英語を使う事もなかった。その上何より英語は大の苦手なんだ。

(うわーん、言ってる言葉解んないよー)
「おぎゃあ、おぎゃあ」

心で泣きながら、ってか現実に泣いてしまってる!赤ちゃんになったおかげで緩くなってしまった涙腺。ちょっとの不安でも泣いてしまうなんて!悔しいと思う前世で良い年まで生きていた私がいた。

「まあ、ネビル?どうしたの?」
「何だ?寂しいのか?」

急に泣き出した私に、慌てた母親と落ち着いた笑みで様子を見てきた父親。なんとか雰囲気と辛うじて解る英単語に、心配かけてしまったと、申し訳ない気持ちが沸いて来る。

「ほら、大丈夫、ネビルは強い子」
「こら、女の子にその言葉はないだろう。いい子、だろ?そこは」
「ふふ、いい子なのは、私達の子なんだから当たり前よ?だから、これから先、ヴォルデモートに負けない位の心を持って欲しくて言うのよ!」

ぽんぽんと背中を優しく叩きながらあやしてくれる母親に、言葉は解らなくても、しっかりと私を愛してくれているのは伝わってきていて、安心と同時に、冷静になれた。
(そういえば、前世の記憶って小さい頃の内は覚えてても、時が経てば忘れてしまうんだったよね…)
だから、その内英語も自然と覚える筈。自己完結で解決させた事で少なくとも元気が出た私は、今度は眠くなり始めた。

…ん?

(待って、えっとお母さん今なんとおっしゃいましたっけ?)

『―…ヴォルデモート…』

確かにその名詞が聞こえた。まさかと思って、頭でさっき母親が言っていた言葉を反復させてみる。

I want a heart so as not to yielde to ヴォルデモート to last.

ああ、やっぱり苦手だ。多分何かを望んでの言葉だとは思う。第一、ヴォルデモートなんて言葉はそもそも英語じゃなかった筈。確かフランス語だかで死の飛翔の意味だっけ…ってもう、ほぼここがあの世界に酷く酷似していることだけ解った。
何せ、写真が動いている。ただ未来で生まれ変わったと始めは思ったのだけど、壁にかかったカレンダーによると、1980年だったからだ。

(確か、ハリーが入学した年が1990年代だから…やっぱり、あのネビルが私?)

原作と大いに違う自分の存在に、ましてや、作中どうしていたか余り記憶にない脇役キャラに転生したらしい私は、これからをどうしたらいいのか、全くもって先が見えなかった。


誰か、ネビル・ロングボトムについて教えて下さいっ!





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成り代わり第一段!
突発ネタ。
続けるかは未定。だけどネタは思い付くので予告的なのは作ります。


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