act1
bookmark


中学に上がって、物語りの主人公"沢田綱吉"と同じクラスになった。

〜天然彼女〜act1

そして、何と親友が出来ていた。小学校で出会ったその子は黒川花。原作でも京子ちゃんの親友だった子だ。始めは、私も原作前の事は分からないから、京子ちゃんらしいなんて知らない。だけど、こうして仲良くなったのは、私だから、しっかり私の親友だと言える。花には、私が前世の記憶がある事を話していた。そういうの、信じないタイプだと思っていたのだけど、私の事を信じると言ってくれたのだ。だけど、流石にこの世界が漫画になっていたなんて言える訳なく、――だって、それで花の幸せが無くなってしまったら嫌だから…今日まで来た。

「次、笹川」
「はいっ」

♪〜♪♪

音に併せて手具を操りながら、踊る。私は、新体操部に入った。並中は、意外と部活動が充実していて、色々悩んだ。原作の京子ちゃんは部活に入ってる様子は無かったけど、流石に原作では京子ちゃんの立場は暇だ。だから、部活に入る事にした。将来的にもっと戦闘に関わりそうなら剣道もいいかと思ったけど、持田主将がいるのを思い出し、私は京子ちゃんじゃないから平気だとは思ったけど、絡まれたくないので止めた。

「うん、笹川なかなか良いな」
「ホントですか?」
「ああ、直ぐにでも主力になりそうだな」
「が、頑張ります!」

まさかの上達に自分でも驚いた。どうやら身体能力が京子ちゃんはずば抜けて良かったみたいだ。流石、笹川兄が守護者になるだけある。

「京子、ごめん!委員会代わって欲しいんだ!弟の迎えがあって委員会出来ないのよー!」

入学して三ヶ月、委員会に推薦でなった友達の美奈が、余裕ないようなので、私は引き受ける事にした。

「美奈、仕方ないなぁ。いいよ。部活も忙しくはないし」
「ありがとう!だから京子好きよ」

安心したのか私に抱き着きながらお礼を言う美奈に、私も嬉しくなる。

「ありがとう。私も美奈好きだよ」

そうして私は委員会に向かったのだけど、そこで私は代わった事を後悔した。

「友達の代わりだって?そうか、俺は剣道部主将の持田だ。よろしくな京子」
「はぁ」

まさか、ここで持田先輩と知り合うのか。いきなりの名前呼びに、驚くも、この世界では結構名前呼びが当たり前なのかな、と思って、何も言わなかった。けど、それから何度か美奈の代わりに行くおかげでほぼ委員になってしまった。持田先輩とも、委員会の事で話す仲になっていた。
ともあれ、変な噂が流れても嫌なので、私は部活と、将来的に医者なら周りの人が傷付いても手当てできるからと目指す事を決めて勉強を頑張る事にした。

「でね、さっそく図書館に行ったらお医者さんやってるって人に会って、色々教えてくれるって言うんだよ」

「へぇー、ってあんたそれってホントに医者?怪しくない?」

つい先日出会った医者をやっていると言うおじさんに、確かに怪しいとは思ったけど、医者になりたいからって言った後のアドバイスが凄く的確だったから、信用した。第一、実際に治療を見せてくれたし、医師免許もあった。何時もふらふらしているから、訳ありだとは思うけど、教えてくれると言うのだから必要以上に絡まず、最低限の距離を見極めれば無害だ。
「大丈夫!見た目はともかく、ちゃんとお医者さんだったし、襲われそうになったら投げ飛ばす位出来るよ」
「またあんたは、無駄に逞しいわねぇ…こんなに可愛いくせに」
「うーん、だって私、前世では格闘技系だったし、あんまりそういうの興味なかったからね。むしろ、似合わなかったんだよ。だから、生まれ変わったら頭が良い女の子らしい子がいいなって思ったら、こうなっちゃったから仕方ないよ」

「何をどうしたら、仕方なくこうなるのよ。ほんと見てて飽きないわね」
「あはは、そうかな?ありがとう。でも私、こんな話し信じてくれる花がいてくれるからこうなれたんだと思うんだ。だから、花のおかげだよ」
「…また、この子は」

花は、普段美人だって思うけど、照れると可愛い。いい子だし、漫画では未来でお兄ちゃんの彼女だったけど、本当、是非お姉さんに欲しいと思ってしまう。

「おまたせ京子」
「あ、持田先輩」

今日は委員会だったっけ。結局、美奈は部活が忙しくて委員会を続けられなさそうなので、私が代わってしまったのは最近だ。学生って忙しいんだな。前世で一般的な学生生活を送らなかった私としては、珍しい事ばかりで大変だった。なんだか新鮮だ。

「それじゃ私行くね。二人のジャマしちゃ悪いし」
「もー花ったら」

さっきまでの表情から一変、急に私をからかうモードに入った花は意地悪だ。私が持田先輩を何とも思ってないのを知っていて、これを言うのは、きっと花が私が照れるのを期待しているからだ。確かにこう言われれば照れるしかない。けど、正直あんまりだ。私、京子ちゃんじゃないから、天然な解釈なんかできないよ?
って言うか、持田先輩をカッコイイ男子のスタンダードにされては困る。彼はハッキリ言って下種だ。剣道の試合を勉強だと思って誘われるまま見に行ったけど、やり方として、スポーツマンではない。確かに強いのに、やり方を間違えている彼は私からすれば不快な人だった。それに、委員会の話を聞いているけど、仕事ぶりは荒い。まぁ、やっている事は確かにカッコイイんだけど、私は別に惹かれなかった。

委員会があったから今日は部活は休んだ。その代わり先生に医療を教わりに行こう。
そう思って歩っていると目の前に子供がいた。クリッとした瞳に、黒いおっきめの帽子。服はスーツ姿と言う格好。まるで小さな人形みたいだった。や、ツボです。

「きゃーっ、かわいいーっ」

実はかわいい物が好きな私は、京子ちゃんになれて、こんな無邪気に叫んでも良いようになって嬉しかった。

「ちゃおっス」

イタリア語の挨拶に私はますますツボに入る。か、可愛い。

「君はどーしてスーツ着てるの?」

「マフィアだからな」

その言葉はどこかで聞いた事のある台詞で、どこでだっけと思うものの、口からは別の言葉が出ていた。

「わぁーカッコイイ」

子供がやる事だから、こう口に出てしまうのは仕方ない事。男の子も嬉しそうなので間違ってはなかったみたいだ。と、そこで先生の所に行くのを思い出して、残念ながら直ぐに別れる事にした。

「頑張ってねー」

そんな事を言って男の子と別れてから暫くして、そういえば、原作でこんなシーンがあったな、と思い出した。そうして先ほどのが、漫画で最強の人物だと思い出した。

(もしかして、私あぶなかった?)

確かリボーンは読心術が使えた筈。だとしたら、私が先の話しを見ているの、ばれたら大変かもしれない。でも、そもそも私はボンゴレの敵になろうなんて思ってないし…まあ、どちらにしろ深く関わる役でもないのでいいか。

「京子!」
「え?」

考えながら歩っていたら、後ろから声を掛けられた。振り返れば、委員会で先ほど会った持田先輩だった。

「持田先輩?どうかしたんですか?」

「いや、姿が見えたからな、一緒に帰ろうぜ」

剣道の胴着と竹刀を持って近付いて来た先輩に、私は困ったな、と思う。

「すみません、私これから用事があるんです」

先生の所に行くのに、人がついて来てはダメだ、と前に言われていた。私も出来れば知られたくなかったので、了解していた。

「何処までだ?なんなら送って行くが」(は!?この俺が誘っているのに、断るだと!)

「いえ、平気です」

優しそうに言っているが、内心で持田は何としても自分と帰ろうと自己中な考えをしているなんて、知る由もないので、私は丁重にお断りをした。

「いやいや、京子一人を行かせるなんて俺には出来ない」

「いえ、だから…」

いい加減しつこいと思ったその時、上から人が落ちてきた。

「!」
「おっ、偶然発見!!」

ドン と勢い良く音を起てながら持田先輩は突き飛ばされ、よろめいてこけているのを視界に捕らえつつ、目の前の人物をきょとんと見た。それは、この漫画の主人公で、クラスメイトの沢田綱吉君だった。しかも、パンツ一丁の姿でだ。

「笹川京子!!」

びしっと、いきなり人差し指で示さて名前を呼ばれ、何事かと思うものの、次に彼から飛び出た言葉に私は首をかたむげた。

「オレとつき合ってください!」
「えっと、何処まで?」

周りの時間が一瞬止まった気がした。何も言わなくなってしまった沢田君と、こけて起き上がろうとしていた持田先輩までもが動きを止めた。
と、これは、持田先輩から逃げるチャンスではと思い直し、申し訳ないけど沢田君には断りの言葉を掛けた。

「ごめんね、私今から用事があるから付き合えないんだ。それと、そんな格好じゃ風邪ひいちゃうよ!汗臭いかもだけど、良かったらこのジャージ着て」

部活で使っているからジャージは二着ある。咄嗟にスクールバックに入れていたジャージの上下を出すと、沢田君の差し出された手に握らせた。

それじゃ、と声を掛けると、私は早々にその場から離れた。

伊達にお兄ちゃんと朝にロードワークをしていない訳じゃない。恐らく後を追って来るだろう持田先輩は楽に撒くことが出来た。

さて、先生の所に行くか。

* * *




prev|next

[戻る]
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -