天然彼女生まれた時から前世の記憶があって、また人生やり直し出来るとか、正直嬉しかった。
だけどこの世界は、前の世界とは違ってとても危険なのだと分かったのは、ハイハイが出来るようになって直ぐだった。
〜天然彼女〜
「了平、京子、写真撮るわよー」
「おー」
「あぅー」
まだ歯も生えない私は、上手く喋る事が出来ない。だけどしっかり言葉が分かるので、ばっちり母親の方へ顔を向ける。
兄の名前は了平。私の名前は京子。それだけ聞けば、何となく想像してしまうのは、私が好きだった漫画の兄妹だった。まぁ、ただの偶然。きっと両親がそれを知っていて付けた可能性だってあった。けど、ある日、両親につれられ外に出掛けた私達は、その町名を見て気付いてしまった。
"並盛町"
住んでいる住所が分かった途端に私は驚愕するしかなかった。
まさか、私はあの京子ちゃんの位置に転成してしまったなんてっ!
怖い。正直、漫画は好きだし、主人公やその周りの人達のやり取りにも楽しんで読んでいた。
だけど、実際に関わるなんて、命の危険が伴う事に、首を突っ込むなんて、私には出来そうにない。
死ぬ事が、どれ程辛くて、悲しい事なのか、死んだ時の記憶がある私には、怖くて仕方ない事だった。
ああ、どうせなら、三浦ハルちゃんの位置なら良かったのに…
そうすれば、周りの人達が危険な目に会うのを見ずに済んだのに。だけどきっと、兄の了平はきっと関わってしまうだろう。
それなら、いっその事、護りたいと思う。
その為には、まず強くなろうと思う。だって、私は笹川京子であっても、漫画の中の京子じゃないから。幸い運動能力は前世では優秀な部類だったし、励めば何とかなる筈だ。
それから、私の秘密の特訓は始まった。
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