良いことは悪いことの後に待ち構えている
「あっ」

階段で足が滑った、でも大丈夫だと思った矢先、結局滑って階段に雪崩れ込むような姿勢で両脛を強打した。

「…いったー…」

やばい、痛い。
どれくらいヤバイかって言うと、マジヤバイ。…あ、やば、ハム子のが移った。

わたし今日何か悪いことした?…いや、別にないはず。
妙ちゃんと九ちゃんと神楽ちゃんにサーティワンのトリプル食べに行こうって誘われたけど、究極的につまらない図書委員の当番だから断わらなきゃいけなかったし、お弁当のブロッコリーにマヨネーズついてなかったから土方のマヨネーズ借りるのも今日はちゃんと了承を得たし、今日は銀八にも口答えしなかったし、アイス食べに行けなかった原因のつまんない図書委員の仕事だってちゃんとこなしたし。
何の天罰? あ、痛すぎて目から汗が…

下校時間から少し経ってるから誰もいなくて良かっ、…

「何してんだお前」
「へ?」

見上げると、銀魂高校一のヤンキーと恐れられるクラスメイト・高杉君が立っていた。クラスメイトっていっても高杉君99%出席してないし、席隣だけど、多分わたしの事知らないと思う。
だからって、脳内で今日を振り返ってて気付かなかったとか…。
うーん、河上経由で、高杉君案外優しいところがあるのも知ってるけど、これってかなり一方的な認知だよね。

「た、高杉君…」
「何してんだお前」

怖い!
高杉君かっこいいけどやっぱ怖い!銀八助けて!

「階段で足滑って…それで、」
高杉君はわたしの横に座った。近い!
「見てたから知ってる」
「う、嘘…」

え、ちょ、エエエェ、マジでか!知らない人に見られても恥ずかしいのに、高杉君に見られてたとか無理!しかも今近いし!わたし死ぬ!
頬が熱くなってくるのを感じてあたふたしだしたわたしを見て、高杉君はクツクツ笑った。(高杉君もやっぱ笑うんだ!)

「タナカはしっかりしてると思ってたが、案外抜けてやがんな」
「…わたしの名前、知ってるの?」


自分で言っておいてどきどきする。高杉君がわたしの名前知ってるなんて!


「タナカハナコだろ」
高杉君は首を傾げて言い放った。
「興味無い奴なら覚えてねぇよ」

何、何なのこの人小悪魔なの?!やばい、耳熱くなってきた!
どんな顔をしてるかわからなくて思わず顔を背けると、高杉君はわたしの頭を掴んでくるっと180℃回転させた。

「な、何…?」
「お前、いつも俺の事見過ぎだろ」

え、高杉君の顔が、近づいて…

軽いリップ音がしたかと思うと、高杉君の顔がまた目の前にあった。

「足、痛いだろ。痛みが引くまで付き合ってやるよ」
「あ、うん…」

い、今、高杉君とわたし…
嘘。

「な、なんでキス、したの?」
「お前だけが見てた訳じゃ無ぇって事だよ」


高杉君はフッと笑って、今度はそっと口づけた。




階段で足滑らせて良かった!



20110705

(Thanks 66666hit!!ゆまる様に捧げます。
甘くなってますでしょうか…(´Д`)
階段でこけたくだりは実話。@上野駅
脛強打はマジであいたたた)


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