今日はとても素晴らしい一日だ。今ならスネイプにだって笑顔で…いや笑顔は無理かもしれないが、きっとそう言えるだろう──それくらい、素晴らしい休日をシリウス・ブラックは過ごしていた。
今日は休日。
朝起きてから今まで、彼女との時間を邪魔するものは誰一人も居ない。(ジェームズはクィディッチ、リーマスはピーターの面倒を見ている)
それに此処は図書室のひっそりとした一角──一日中頬が緩みっぱなのも誰も指摘しない。
「シリウス?」
隣で、魔法薬の難しいレポートに必死に羽ペンを走らせていた彼女が不思議そうに自分を見ていた。
「どうした?メロ」
シリウスは、少女の名前をとびきり愛おしげに呼んだ。
「何だか…?…ううん、何でもないわ。このレポート、これで良いかしら…シリウスどう思う?」
「スラグホーンがメロのレポートに『O・優』を付けなかったら、それこそ犯罪だ」
「答えになってないわ…いいわ、後でリリーに見てもらうから」
そう言ってちょっと拗ねた顔をして洋皮紙を巻こうとするメロの手をシリウスは慌てて止めた。
「わかった、俺が悪かった!ほら、見せてくれ」
「ありがとう!」
メロはにっこり笑ってレポートを開き直した。
最初の数行はちゃんとチェックしていたが、ザッと目を通してもメロのレポートは完璧だった。
段々とレポートの内容ではなく、字だけを追っていた。
メロ字が好きだ。
女の子らしい綺麗な字。なのに、たまに丸文字になるところ、考え事をしたのか"."のインクが濃いところ、sだけ筆記体のようなところ。
他の人間はこんな事、考えもしないだろう。
「大丈夫だ。もしもEだったら…」
「Eでもスラグホーン先生に何もしちゃダメよ」
「わかったわかった。…ああ、もう夕食の時間だ」
「ほんと、もうこんな時間…わたしお腹ペコペコだわ」
「行こう」
手を差し出すと、メロは嬉しそうにシリウスの手を取った。
窓から見える景色はもう既に、濃い紫色の空が映っていた。星が光っている。
図書室から1階まで降りて、大広間とは違うドアを通った時にメロが声をあげた。
シリウスがようやく停止した時は明々と松明に照らされた広い石の廊下だった。
「シリウス、ここは…?」
「ああ、メロは来たことなかったっけ?ちょっと待ってろ」
シリウスは絵の中の梨を擽った後ドアの中に入って、直ぐに再びメロの元に戻ってきた。しもべ妖精がくれた大きなバスケットを2つ持って。
「よし、談話室に戻るぞ」
「え?シリウス、ご飯は?」
「このバスケットの中に決まってるだろ」
メロは不思議そうな顔をしながら、シリウスに手を引かれていた。メロがハッとした顔をしたのは談話室を通り越して男子寮のシリウスのベッドの上だった。
「シリウス?!どうして…」
「どうしてって…折角メロと二人で過ごしてきたんだ。夕食も二人っきりじゃないと意味ないだろ」
メロがイマイチ納得できない顔のままいるのをほって置いて、バスケットの中からスープやローストビーフや温野菜なんかを取り出した。
「ほら、食べよう」
「あ、うん…」
夕食のデザートを食べ終わった後、横になるとメロが腕を伸ばしてきた。メロの、こういうところが最高に可愛いといつも思う。でも、残念ながら今日はダメだ。
「もうそろそろ連中が戻って来るぞ?今日はおあずけ」
「…そういうのじゃないもの…」
メロは拗ねてさっき仕上げたレポートを再チェックしだしたので、シリウスは彼女の髪を撫でた。(少し機嫌が良くなった気がする)
その時ドアが開いてジェームズが部屋に入って来た。
「シリウス…どこにもいないと思ってたら此処だったんだ」
「お疲れさん。夕食は?」
「ああ食べたよ、いや今日中に返却しなきゃいけない本があって。ごめんねメロ、邪魔しちゃって」
メロは洋皮紙から目を離さずに「気にしないで」と答えた。
そしてジェームズは本を2冊掴んで図書室に行った。
「ジェームズ、いつ戻って来るかしら?」
「10分くらいじゃないのか?多分疲れてすぐ寝たいだろうからな」
しかし15分経ってもジェームズは戻ってこなかった。
20分経った頃、メロが顔をあげた。
「シリウスさん。チューしませんか」
「…もっと早くに言ってくれたら、とっくにキスしてたのに」
「だってレポートは優先…んっ」
メロが最後まで言い終わる前に、既に口づけていた。角度を変えて、舌を絡ませるとゾクゾクとした快感が背中を駆け上がって来るのが解る。時折メロから漏れる吐息が余計にゾクゾク感を増した。
唇を離して何食わぬ顔をしているとメロが声をあげた。どうやらシャツのボタンを外していたことにもそこから手を入れていた事も今気付いたらしい。
「あ、シリウス、!」
「メロ、もうこんなにしてる…可愛すぎるだろ…」
「ばかっ、んや…」
「だって俺も、もうこんなんだからさ…あー…きっついおあずけだな…」
チュッと口づけて「すぐ戻って来る」と言うとメロは反論の声をあげた。
「やだ、ちょうだいよ…こんなのいや」
「ちょうだいって…アイツいつ戻って来るかわかんねぇし」
「長くしなくて良いから、…ダメ?」
我慢の限界を超えた、と思った。
彼女を寝かせたら、もう戻れない。
「ダメなわけあるか、でも…ほんとに良いんだな?いつもみたくしてやれない」
「良いの。一人でより、どうせなら一緒に気持ち良い方がいいでしょ…?」
「わかった…(俺を殺す気か!)」
ショーツを横にずらすと、メロのそこはすでにだっぷりと濡れていて興奮するのを抑えるのはもう無理な話しだった。
「メロ…っ」
「ひっ、あぁっ!」
いつもなら沢山沢山キスしてゆっくり入れてやれるのに。
「あっ、あっ、シリ、ウスッ…」
「ん、メロ、メロ…」
入れてる時、メロは口元を覆うクセがある。その手を退けてキスするのが好きだ。
「んーっ、んっ、あっ、」
「はっ…メロ、ゴメン…俺、もう」
「う、ん、…いいよ、」
駄目だ。此の目で俺イける。
引抜いてメロの太股に精を吐き出した。
「ん!…はっ…、メロ、メロ…」
後始末をしながらキスをすると、蕩けたような顔で彼女は笑った。
身なりを整えたメロは『目くらまし呪文』で自分の姿を消してから女子寮に戻って行った。
それから30分後にジェームズは戻ってきた。
メロとやらなかったのか、とか言うもんだから天井から吊してやった。
20110128