友人の使い方
童貞を卒業すれば何か変わると思っていた。
一皮剥け、周りからも一目置かれ、周りの童貞男子諸君を見下すことができ、精神的にも余裕が出て来る……そう思っていたが、実際はどうだろうか。
校内、寮、食堂に売店。
筆卸相手のあいつの姿を見かける度に俺は冷水ぶっ掛けられたみたいに飛び上がり、こそこそと影に隠れては徹底的にあいつを避けていた。
ルームメイト兼同室者の友人である鹿波は不良というやつで、正直普通に学園生活を送ってる分には関わりたくないタイプの人間だ。
そんな相手を無理矢理縛り上げた上に射精させてそのケツで中出しとか本当……今思い返せばどんだけ勇気あるんだ、俺。
というわけで、俺はあの日の記憶を封印し、徹底的に鹿波から逃げ回っていた。今でも思い出す度にあいつに殴られた顔面が痛む。
鹿波だってそうだ、ちょっと目が合うだけで俺に飛び掛かってくるのだ。
確かにまあ敵視するなと言った方が無理な話だろうが、拘束を解いた後ボコボコに殴られた上強制土下座までさせておいて尚、俺のことを許そうとしない鹿波には呆れさせられた。
そろそろ『俺っ、高座のことが好きだったのに……強姦なんて酷い!でも好き!』みたいなことになったっていいのではないか?現実は酷だ。やっぱり二次元最高。
というわけで、現在に戻る。
最近は自家発電と言う知恵を身に着け、絵を描くようになったわけだがやはり中々上手くいかないというもので。
「山下、一生のお願いがあるんだけど」
「んー?なに?」
「ちょっと下脱いで四つん這いになれよ」
夜の自室内。
俺の言葉に、ルームメイトの山下は爽やかな笑顔を浮かべたまま硬直する。
徐々に顔面から血の気が引いていき青ざめていったと思えば、いきなりビクッと体を跳ねさせそのまま後ずさった。
「ま、まさか、僕にまで手を出すつもり?け、ケダモノ……ッ!」
「ちげーよ。モデルだって、モデル」
なんだよ、ケダモノって。
エロゲやりまくって二十四時間興奮しているようなやつにだけは言われたくない。
「……モデル?」
「そうそう、モデル」
「いや、ちょっと待ってよ。モデルなのになんで下脱がなきゃいけないの。なんのモデルだよ」
「俺の被写体」
素面で即答する俺に、山下は「絶対やだ」と首を横に振った。
「だって、あれでしょ?『君は俺の被写体だ。俺の指示以外の動きは許さない』とか言いながらいやらしい格好させたりいやらしいことさせたりして挙げ句の果てハメ撮りしながら中出ししちゃうんでしょ?やだよ、僕そんないやらしいこと堪えられない!」
「……」
「腸内カメラinして『君のナカもきれいなピンク色だね、俺色に染めてようか』とか言うつもりなんでしょ?!」
「お前は本当逞しいやつだよな」
どうやらまた山下は妙なゲームをプレイしたようだ。
言葉責めがやたら脂ぎってる。
「そんなことなら鹿波呼べばいいじゃん」
携帯を取り出した山下は、そんなことを言い出した。
鹿波。鹿波だって?こいつは正気か?俺に死ねと言ってるのか?
「ぜってーー無理、殺される。つか、あいつが『うんわかった』って承諾してくれると思うか?」
「想像できないけど九割方自業自得なんじゃないの、それ」
「だ、だとしても、無理だ。あいつ会う度すげー形相で追いかけてくるし」
「高座、まだ鹿波にちゃんと謝ってないの?」
山下は藪から棒にそんなことを言い出した。俺は飲みかけていた栄養ドリンクを吹き出す。お陰でパソコンのモニターがビショビショだ。どうしてくれる。
「あ、謝ってって……そん時に謝ったっての!つかやめてくれよあいつの話は。どこかで聞かれてたりでもしたらまた歯折られるだろ」
「まーたそんなこと言って。鹿波だってゴリラじゃないんだから今度こそ誠意持って謝ったら仲良くなれるって」
「別にあいつと仲良くなりたかねーよ!」
「ふーーーん、そうなんだ。ここ最近ずっと鹿波のこと気にしてたみたいだからてっきり僕……」
「俺が気にしてたのはあいつの動向だっての、鉢合わせにならないための。……つーかそれ、絶対鹿波の前で言うなよ。殺される」
確かにここ最近BL漫画を読んでも脳内であの時の鹿波が再生されては話にもエロにも集中できないというのは続いていたが……。
俺が鹿波を気にしてるだって?……確かにあの時は少し、ちょっとだけ、まーぼちぼち、可愛いところもあるんじゃないかと思ったりもしたが、それとこれとは別だ。ワンパンで人の奥歯折るようなゴリラはこっちから願い下げだ。
そんなことを話しながら、汚れたモニターを拭いていたときだった。
廊下に繋がった扉が開く。そして、
「なんだよ山下、いきなり呼び出しやがって」
噂をすればなんとやら。開いた扉から現れたのは、いま最も会いたくない男、鹿波だった。
なんで鹿波がここにくるんだよ。
あの日以来ここには来なかった鹿波が、まさかこのタイミングで遊びに来るとは思ってもいなかった。
そしてすぐ、先程携帯を取り出していた山下を思い出す。まさか呼び出したのかこいつ、モデルから逃げるために。
「まあ、ゆっくり話してみたらいいよ」
そうBL漫画のやけに物分りのいい親友キャラよろしく爽やかに笑う山下は、俺の肩をぽんと叩く。
何がゆっくりだ楽しみやがって。
「……て、てめえっ、なんでここにいるんだよ……っ!」
そして鹿波も鹿波で俺が部屋にいないとでも聞かされていたのだろう。顔を怒りやらなんやらで真っ赤にしたあいつは声を荒げた。
「まあまあ、鹿波。ゆっくりしていってよ。ほら」
「おい山下っ、俺帰る、こいついるんなら嫌だ」
「かーなーみっ、そんなこと言わずに、ほら、高座も反省してるし。ねっ、高座」
「ごめんなさいは?」と笑顔の圧力掛けてくる山下。
ここで力づくで蟠り無くさせるつもりなのだろうか。絶対無理だろこいつ相手に。と思うが、そんなこと言ってしまえばまたぶん殴られるだろう。俺は渋々「ごめんなさい」と頭を下げる。
こいつから逃げ回る生活にはもううんざりだ。
「ふざけるな」と一蹴されるだろうかと思ったが、鹿波の反応は予想外だった。
「な……なんだよ、それ……ッ」
呻く鹿波はどう見ても納得してるようには見えない。
けれど、怒鳴りつけるわけでもなく、なんとなく、遣る瀬無い、そんなものを感じた。
なんだ?なんだその反応は。
「じゃあ、僕ちょっと飲み物買ってくるね。高座、なにが飲みたい?」
「俺、牛乳」
「おい、山下……お前……ッ」
「了解。鹿波はコーラだよね?」
「そうだけど……って、おい!」
爽やかに微笑んだ山下は、鹿波を俺に押し付ければそのまま颯爽と自室を後にした。
この手際のよさといったら。
「……っ」
呆然と山下の去った後を見ていた鹿波だったが、目の前にいるのが俺だと気がついたのだろう。
慌てて俺から離れようとする鹿波に、無意識に俺は鹿波の腕を掴んでいた。
「触んじゃねえって、このホモ野郎……っ」
どうやら、鹿波も鹿波で動揺しているようだ。手を思いっきり振り払われ、それでも、俺はやつの腕を掴んだ。
「この間のは俺が悪かった。だから、話だけでも聞いてくれ」
殴られる前に塞ぐべし。
『この間』と口に出した瞬間、鹿波の顔がじわじわと赤くなる。どうやら思い出したようだ。
「い、今さら、なに言って……」
俺から視線を逸らした鹿波の語尾は、段々弱くなっていく。
ぐっと、掴む腕に力がこもった。どうやら俺の腕を振り払おうとしているようだ。あれから筋トレしておいてよかった。
好感触、というのはこのことか。
さっきの反応といい、思ってたよりも鹿波の反応は中々悪くない。
これはあれか?もしかしたら俺が逃げていた間こいつもこいつで俺のことを恋しがっていたとかそういうやつか?
だとしたら、このチャンス、逃す訳にはいかない。
「離せって、離せよ。信じらんねえ、気持ち悪いんだよ、糞野郎、まじ殺すぞ」
照れ隠しにしてはちょっと言い過ぎではないだろうか。
なかなか離そうとしない俺に焦れたのか、鹿波はその声は次第に荒々しくなる。
「だから、聞けって」
鹿波の腕を強く掴み、俺は語気を強くする。鹿波を壁に押し付ければ不意に顔が近付き、瞬間、至近距離で丸くなった鹿波の視線が、揺れた。
もしかして、怖がられているのだろうか。肩が強張ってる鹿波に、以前のようなふてぶてしさというか傲慢さが感じられなかった。自然と口が緩みそうになり、慌てて口元を引き締めた。
「……なんだよ、早く言えよ」
この状況から逃げられないと悟ったのだろう。
悔しそうに顔を強張らせた鹿波は、そう諦めたように口を開いた。相変わらず上から目線なのは否めない。が、話が早いのは助かる。
「下脱いで四つん這いになれよ」
そう俺は先ほど山下にしたのと同じ要求を鹿波にする。
「……は?」目を丸くした鹿波は、俺の言葉が理解できなかったらしく、間抜けた声を漏らした。
「だから、下脱いで……いってえ!」
聞き損ねた鹿波のためにもう一度復唱してやろうとしたが、言い終わる前に脛に鹿波の蹴りが入れられる。
片足に激痛が走り、俺の口からは情けない声が漏れた。
くそ、こいつ人がテンション上がっているというのになんてことを。
「お前、全然反省してねーだろ!ふざけんな、殺すぞ!」
どうやら俺は鹿波のお怒りに触れたようだ。
血相を変えて怒鳴る鹿波に、俺は少しだけビビる。
「そんな熱くなんなよ。ほら、反省ならしてるから」
殴られた。
「ふざけんじゃねえっ、反省してるやつが脱げとか言うわけねーだろ!」
俺の腕を振り払った鹿波は、俺の胸ぐらを掴み怒鳴り散らす。
まさか腕を拘束したまま殴られるとは思ってもいなかった。
ヒリヒリと痛む頬を押さえる。少しはしおらしくなったかと思ったが、そんなこともなかった。
この間のように縛るか。しかし、こうなった鹿波を縛れる自信はない。
仕方ない、ここは大人しく諦めるか。でなければまじで俺の命が危ない。
鹿波の言葉を右から左へと受け流しながら、俺は掴みかかってくる鹿波の手首を掴んだ。
「わ、悪かった。悪かったから落ち着けって。ちょっとした冗談だろうが……ったく」
「……冗談だと?」
またもや俺は鹿波の逆鱗に触れたらしい。
額に青筋が浮かべた鹿波は、俺の胸ぐらを掴む指先に力をこめた。マジギレ怖い。
「くそ、こうなったら山下にやらせるしかねーな」
つい、そんなことをぼやいたときだった。
俺を掴んでいた鹿波の手が、外れる。それと同時に、顔面蒼白になった鹿波と目が合った。
「お前……山下にも手え出すつもりかよ……」
俺が山下に手を出すだって?まさか。どうしたらそんなことになるんだ。
どうやら鹿波は俺の言葉を悪い意味で受け取ったらしい。
そんなことあるわけないだろう。山下は俺の友人だ。友人にまで手を出すほど俺は飢えていない。というかあいつは縛ってもモデルにならないだろう。ちょっとした軽口のつもりだったが、鹿波からしたら洒落にならなかったようだ。真っ青になり、さっきまでの勢いはどこにいったのか、萎んでいく鹿波に俺は閃く。
「……」
自分が断ったら友人が自分の身代わりにされると思っているのだろう。
というより、そんなに俺は見境ないやつと思われているのか。そっちの方がショックだ。
しかし、悪くない。すぐにネタバラシをするのもつまらないし、鹿波には先ほどの脛の蹴りと今の一発分の借りがある。
「別に俺が山下に手え出そうがお前には関係ないだろ?ほら、帰れよ。今日のところは見逃してやるからよ」
俺は言いながら鹿波の肩を突き、しっしと手を払う。
「お前よりも山下のが従順そうだしなぁ」と悪役っぽく言えば、微かに鹿波が震えてるのがわかった。怒りかそれとも恐怖か分からないが、まるで人を親の仇かなにかのような目で見てくる鹿波はなかなかの迫力だ。
しかし、ここで逃げないところを見ると、山下のことを完全に無視できないでいるようだ。
これは、あと一息ではないか?
内心ほくそ笑みながら、俺は続ける。
「どうしたんだよ。出ていけって。俺はこれから山下と仲良くしなきゃなんねえんだからな、お前の相手してる暇ねーんだよ」
「……ッ」
山下が聞いていたら卒倒してしまいそうだとか思いながら、俺は扉を指差し「帰れよ」ともう一度口にした。
小馬鹿にするような俺の態度が鼻についたようだ。
悔しそうに顔をしかめた鹿波は、ぎゅっと唇を噛みしめる。そして。
「……ばいいんだろ」
「はい?」
「やればいいんだろって言ってんだよ、この変態野郎がっ」
頬を赤くさせながら、鹿波はそう俺に向かって怒鳴った。変態野郎は余計だ。
俺の腕を掴んだ鹿波は、ぐっと顔を近付ける。
本人としてはガンつけているつもりらしいが、俺からしてみれば見詰められているようにしか感じなかった。
「なんだよ。お前が脱ぐのか?やれんのかよ、お前腰抜けだからなあ」
わざと鹿波を煽るようなことを口にしてみる。
不愉快そうに顔を険しくさせた鹿波。その拳がきつく握り締められるのを俺は確かに見た。
「あ、殴んのか?俺を?そんなことしてみろ、山下がどうなるか覚えとけよ」
今にも俺に殴りかかって来そうな鹿波に、俺は先手を打つことにする。
まさか山下の名前がこんなところで役に立つとは思わなかった。にやにやと笑いながら鹿波の耳元で囁けば、鹿波は握り締めていた掌を広げる。
いやー悪くない。人を服従させるというのは。萎えかけていたテンションが再び高ぶり、俺は笑いながら鹿波の肩に腕を回す。
「ほら、さっさと脱げよ。俺が見ててやるからさ」
そう耳朶に唇を寄せ、ふっと息を吹き掛ける。いつもなら鼻の骨一本は折れてるだろうが、今、俺はこいつよりも優位だ。
その証拠に、鹿波は何もしなかった。
「早くしろ」と肩を撫でれば、やつの目がこちらをぎろりと睨んだ。相変わらずおっかねーが、それも今の俺からしてみれば可愛いものだった。
いやー最高。
山下がいなくなった自室の中で、俺は椅子の上で足を組みながら目の前の鹿波に目を向けた。
「……」
「……」
かれこれ数分。
鹿波はスラックスに手をかけたまま固まっていた。
勢いで友人を庇ったものの、恥ずかしいものは恥ずかしいようだ。
俺の目の前で脱ぐのを躊躇う鹿波に、気が長いことで知られている俺も流石に限界が近付いていた。
「おい。まだ脱がねえのかよ」
鹿波を急かせばやつは舌打ちをする。
「うるせえな……お前がこっち見てにやにやにやにや気持ち悪いから脱げねえんだよ」
俺、そんなににやにやしていたのだろうか。
咄嗟に口許に手を当て、慌てて顔を引き締める。
「我が儘言ってんじゃねーよ。俺が見てても文句言わずに脱げ。いますぐにだ」
口許から手を離しながら、そう再び鹿波に命令した。
「クソ……ッ」と苛ついた様子で舌打ちをした鹿波は、山下のことを思い出したのだろう。渋々、ベルトのバックルに手を伸ばす。ガチャガチャと音を立てながら雑に外されるベルトを緩め、そのまま鹿波はスラックスを脱いでいく。
太すぎもせず細すぎもしない、程よく引き締まった太ももが露になっていく瞬間は相手が鹿波だと分かっていても、無意識に生唾を飲んでしまった。
鹿波の足から目が離せないでいると、いきなり視界が暗くなる。
「気持ち悪いんだよ!ちょっとは遠慮しろよ、ホモ野郎!」
どうやら脱いだズボンを投げ付けられたようだ。俺はまだぬくもりの残るズボンを顔面で受け止める。
「……おい、脱いだぞ。次はどうしたらいいんだよ」
吹っ切れたのか、鹿波は煽るように着ていたシャツの裾を持ち上げた。
可愛くねえなこいつ。鹿波に内心舌打ちをしながら、俺は長めのシャツの裾から覗く鹿波の下着に目を向ける。ヤンキー特有の黒いボクサーパンツ。
「じゃあ、それも脱げよ」
余裕ぶっこく鹿波の下半身、俺はそれ顎でしゃくった。
「……は?」
まさか下着まで脱げと言われるとは思っていなかったらしい。
先ほどまでの余裕の笑みはどこへいったのか、鹿波は顔を引きつらせた。
「脱がねーとわかんねえだろ?ケツの穴の位置」
「んなの、見なくていいだろうが!」
「それじゃーお前を脱がす意味ないだろ
「いいからさっさと脱げよ。山下が帰ってきたらどうすんだ?」渋る鹿波に、俺は白々しく山下の名前を口に出す。
友人の名前に反応した鹿波は、ぐっと唇を噛み、自分の下着のウエストに手をかけた。
恐る恐る下着を降ろしていくその手が、遠目で見ても緊張してるのがわかった。
変に俺が見ているということを意識してしまっているのだろう。俺の存在を気にせずさっさと脱げばいいものの、恥ずかしがってもたもたするからこっちまで興奮してきた。
「鹿波、お前、なんで勃起してんの?」
膝上まで下着を下ろす鹿波に、俺は笑いながらそう問い掛ける。
服の裾から覗く勃ちかけた性器を眺める俺に、鹿波の顔が赤くなった。
「生理現象に決まってんだろうが、勘違いすんなっての……っ」
こちらを睨んだ鹿波は、言いながら足首まで持ってきた下着を床の上に脱ぎ捨てる。
ここでツンデレみたいな反応されても……中々悪くはないけど。
思いながら、俺は言う通りに下を脱いだ鹿波の生足を眺めることにした。流石に下着は飛んでこなかった。
「……っ」
先程よりも幾分鹿波が大人しくなったような気がする。
恐らく、服の裾で下半身を隠すことに集中しているのだろう。頑張る鹿波の姿を見て多少和んだが、別に俺は心を安らかにさせるために脱がせたわけではない。
「じゃあ、次は四つん這いな」
俺はそう鹿波に告げる。
そう。それだ。これが当初の目的だ。漫画を描くためには女豹のポーズが必要だった。
鹿波のような体格のごついやつがしてもあれだが、今となっては鹿波を悔しがらせることが出来ればなんでもよかった。
恨めしそうに俺を睨んでいた鹿波だったが、大人しく床の上に屈んだ。
流石に駄々捏ねるかなと思っていただけに、俺は鹿波の従順な態度に驚かされた。
よっぽど山下のことを大切に思っているのか。
そんな山下が自分と同じ条件を言い渡されて、あっさりと俺に鹿波を押し付けたことを知れば鹿波はどんな顔をするのだろう。
まあ、山下も俺も殴られることには間違いないな。そんなことを思いながら、おずおずと床の上に四つん這いになる鹿波を見下ろす。
「ケツ、もっとこっちに向けろよ。腰もしっかり上げてな」
「死ね……!」
自分の立場がわかっている上でまだ憎まれ口を叩く鹿波には感心すら覚えた。
言いながらも、鹿波は床の上に頭をつけ腰を上げる。
こちらに腰を向けているおかげで鹿波がどんな顔をしているかはわからなかったが、恐らく俺を殴りたくて堪らないはずだ。
椅子から腰を持ち上げた俺は、そのまま携帯電話を取り出す。
「おい……まだかよ」
顔を伏せたまま、鹿波はそう俺に尋ねてきた。
この体勢が辛いようだ。声が小さく震えている。
「あー、もうちょっとそのままな」
鹿波の側までやってきた俺は、携帯を操作しカメラモードにした。
携帯の画面の中に、こちらに尻を向ける鹿波が写る。
乾いた唇を舌で舐める。無機質な機械音とともに、綺麗に鹿波の姿が画面の中に収まる。
ああ、俺写真の才能あるかも。
「おい、待てってお前、いまなに……」
「は?なにって、普通に撮っただけだけど」
「はぁッ?話がちげーだろ!」
「言っただろ。モデルって。……ま、安心しろよ。個人で使うだけだから」
「個人だと……っ?!」
いいながら、俺は画像をフォルダに保存した。
嘘ではない。絵を描こうと思ったが丁度いいアングルの資料がなくてこうやって鹿波にモデルをやらせているだけだ。別にネットに晒そうとか俺はそんな悪どい性格はしていない。
しかし、そんな俺の言葉を誤解したらしい鹿波は顔を赤くさせる。
「……お前、いま変なこと考えただろ」
真っ赤になって慌ててうつ伏せになる鹿波は、「うるせえ」と声を荒げた。
図星指されて照れているのか。俺は携帯を服の中に仕舞い、目の前の鹿波の尻に手を伸ばす。
「おいっ、なに触ってんだよ。お前」
「モデルって言ったろ。動くなよ」
びっくりして体を跳ねさせた鹿波に、言いながら俺は鹿波の尻を鷲掴んだ。
筋肉質な硬い触り心地の鹿波の尻を揉んでいると、うつ伏せになった鹿波の方から「殺す。まじで殺す」と物騒な声が聞こえてくる。
そんなことを言いながらも抵抗しない鹿波が愛しくて、俺は喉を鳴らして笑った。
「そんな怖いこと言うなって。俺らの仲だろ?」
鹿波の肛門の周りを指で撫でれば、鹿波の腰が大きく揺れた。覗く耳が赤く染まってる。
「馴れ馴れしいんだよ……っ」
うつ伏せになったまま、鹿波は恨めしそうに呟く鹿波。
今自分の立場がこの男よりも上だとわかっているからだろうか。毒づく鹿波すら愛しく思えた。
「とか言いながら興奮してんのは誰だよ」
俺は鹿波の肛門を指で拡げ、そのまま一枚写メる。シャッター音に鹿波が「クソ」と毒づいたが、それでもやはり何もしてこない。それどころか、必死に閉じようと下腹部に力を入れる鹿波が愉快で、俺はそのまま臀部に顔を近付けた。
唾液で濡らした舌を肛門に這わせれば、鹿波は慌てて腰を引かせる。
「まじやめろっ、気持ち悪いんだよ!離せって……っ!」
全身に鳥肌を立ってる鹿波からして本気で嫌がってるのだろう。
しかしこんな状況で止めたら男が廃るというものだ。
嫌がる鹿波の腰を掴み、そのまま俺は舌先で入り口をほぐし、そのまま舌を挿入させる。たっぷりと唾液を含ませ、内部全体を鳴らすように舌の出し入れさせれば、鹿波の腰がぴくりと反応するのがわかった。
逃げ腰になる鹿波を捕まえ、更に鼻を押し付けるように顔を埋めれば、鹿波の匂いがより一層濃くなる。頭がクラクラするほど、濃厚で、気が付けば夢中になって俺は鹿波の中を舐め回していた。
「や、やめろって……っバカ、やめろよっ」
本気で嫌悪感を覚えてるのだろう。遠く聞こえる鹿波の声には涙が滲んでいる。それすら俺を煽り立てるのだ。
指に吸い付く腿は俺の指の跡がくっきり残り、赤くなってる。それすら愛しく思えるのだから単純なのかもしれない。
「やっ、め、ろぉ……っ!」
じゅぶじゅぶと濡れた音を立て、中が泡立つ。唾液を使って奥まで舌を挿入することは簡単だった。中を擦る度に鹿波の声は甘くなっていく。
ぐずぐずになっていく肉壁は少し摩擦しただけでも俺の舌をぎゅっと締め付けてきて、鹿波に挿入したときの頭がおかしくなるような快感が蘇り、俺は鹿波のケツにむしゃぶり付きながら勃起した。
慣らすだけのつもりが、鹿波の反応を見たくて、夢中になって中を掻き回していた。唾液でどろどろになった俺の口の周りと鹿波の下腹部は、唇を離すと同時に糸を引いた。開いたそこからは透明の液体がとろりと溢れ、ピクピクと震えるケツは体温上昇してるのかほのかに赤みが差している。
正直、エロい。
「……っまじ、あり得ねぇ……」
腰を浮かせたままぐったりとうつ伏せになる鹿波。吐息混ざり、その呟く声すら俺にとって興奮剤でしかなかった。
鹿波の熱と薫りに充てられ、すっかり勃起したそれを飛び出す。俺がジッパー降ろして下着の中から取り出すのを見て、鹿波は首を横に降った。
「や……っ、めろ、馬鹿……まじ、勘弁してくれ……ッ」
自分のケツを庇うように手を伸ばす鹿波。挿入してくれといわんばかりに出来上がったそれを前に引き下がれるやつがいるなら俺に紹介してくれ。俺は大いに賞賛する。
「……自分が山下の代わりになるっつったんだろ?自分の言葉には責任持てよ」
「でも……っ」
「でもじゃねえだろ!」
「ひッ、ぁうッ!」
ぐずぐずに蕩けたそこに宛てがったそれは少し腰を進めればずぶりと頭を飲み込まれる。瞬間、鹿波の身体が大きく仰け反る。腰を高く上げた鹿波に覆い被さるように力任せに腰を進めれば、なんと入る入る。前回同様、それ以上に熱くなった内壁は俺の侵入を拒むように絡み付いてきて、それすらも気持ちよかった。
「は、ゃ……っやめっ、死ねっ、まじ……死ね……ッ!」
逃げようとする鹿波の腕を引っ張り、俺は無理矢理腰を進め鹿波の中へ性器を捩じ込んだ。
「俺が死んだらお前悲しむだろうが……っ」
冗談混じりそんなことを口にしながら、俺は腰を落とす。瞬間、ビクビクッと電気でも流れたかのように鹿波の下半身が痙攣する。
そして、
「……自惚れんな、カスが……ッ」
こちらを見ようともしないまま即答される。
まさか否定されるとは思っていなかった俺のピュアなハートはひどく傷つけられた。
「抜け……っ、抜け、馬鹿……っ、変態……キモいんだよ……ッ!!早く抜け!!」
腰を動かす度に、鹿波の罵声はでかくなる。
吐息混じりに呻く鹿波は、それでもやっぱり俺の方を見ようとしなかった。
勃起した鹿波の性器に手を伸ばした俺は、鹿波の背中の上に覆い被さるようにしてそれをゆるゆると扱いた。先走りで濡れた鹿波の性器は擦る度にいやらしい音を立て、俺のをキツく締め付けるのだ。
「やめろっ、死ね、くそっ、擦んなって、あっ、や、やめ……も、や……ぁ……っ!」
最早呂律の回っていない。うつ伏せになったまま藻掻く鹿波に、俺はというと正直、鹿波以上にテンパっていたのかもしれない。
あの鹿波がまた俺の下で喘いでる。その事実を受け入れると、冷静では居られなくなるのだ。
「色気もねえうるせぇ声……もっと色気出して鳴けねーのかよ……ッ」
「ふざけ……っん、ぅあッ、やッ、あぁッ!」
「さっきまでの威勢はどうしたぁ?……そんなにイイのかよ、ここ」
中を執拗に突き上げれば、俺の動きに合わせて鹿波の身体が痙攣する。開きっぱなしの口からは聞いたこともない甘い声が漏れていて、やつの声は言わば麻薬だった。俺は、鹿波の声を聞くと途端に自分に対して謎の自信が沸いてしまうのだ。だからだろう、普段なら絶対言えないようなことを言ってしまう。してしまう。
手の中、勃起した鹿波の性器を上下すればするほど腰の痙攣は増し、その都度内壁はきゅんきゅんと俺を締め付けてくるのだ。
「やめっ、死ぬ、やめろっ、まじ、どうにかなる……ッ!おかしくなる、やめてくれッ!」
悲鳴にも似たその声は俺の耳に届いた。けれど、その意味を理解するほど頭は回っていなかった。ただ、鹿波の身体を貪ることに夢中になっていた。やつの項に噛みつき、抱きしめるように腰を振る。手の中の性器から伝わる鹿波の鼓動が俺と重なったとき、ドクンと大きく脈打った。
手の中のそれがぶるりと震えたと同時に、カーペットの上にボタボタと白濁が落ちた。射精と同時に肉壁にキツく締め付けられ、遅れて俺は鹿波の中に射精した。
鹿波の中に溜まっていた精液注ぎながら、俺は鹿波のものから手を離す。
「っ、死ね……!」
吐息混じり、くたりとカーペットの上に倒れ込んだ鹿波はそう口にした。
……もう少し他にセリフは無かったのだろうか。
「何回も何回も人の中に出しやがって……」
ぐったりと床の上にうつ伏せになった鹿波は、恨めしそうに呟いた。
お前の中が気持ちいいんだから仕方ないだろ。そう言おうと思ったが、敢えて黙っておくことにした。
ここ最近まともに抜いてなかったせいか、射精したときの爽快感がハンパなかった。
と、同時に頭が次第に冷静になっていく。
こんなはずではなかったのに、また、またしてもやってしまった。この男をレイプしてしまった。
俺は部屋の中に置いてあるティッシュ箱から数枚抜き、自分の性器を拭う。
あれから、ろくに抜かずに鹿波を犯した。鹿波が何回イッたのか覚えてないし何回中に出したのか覚えていない。けれど、鹿波の肛門が捲れ上がって真っ赤になってるのを見ると自分の仕出かしたことの重大さを突き付けられるようだった。
「い、いやー悪いな。助かったよ、鹿波。これで山下に手え出さずに済んだ……はは」
笑うことしか出来ない。
暫くぐったりとしていた鹿波だったが、むくりと上半身を起こす。今度こそ俺は死を覚悟した。
が、すぐに殴りかかってくると予想していた鹿波そのままそっぽ向いて、なにも言わずに俺に背中を向ける。
怒っているのか、顔も見たくないのか。無理もない。しかし、このまま放っておくわけにも行かなかった。頭に血が上っていたのはいえ、泣いて嫌がる鹿波を捕まえて犯し続けたのは俺だ。
ティッシュ箱を手に、俺は鹿波の背中に声を掛ける。
「ほら、ケツこっちに向けろよ。拭いてやるから」
「……っ」
それでも頑なに反応しない鹿波に、俺は「ほら」と鹿波の肩を掴んだ。瞬間、間髪入れずに手を振り払われる。それから俺からティッシュ箱を奪った鹿波。
「なんだ、自分で拭くのか?」
反抗的な鹿波の態度に内心ビクビクしつつ、俺は問いかけた。しかし、鹿波はなにも聞こえないかのように無視し続ける。
どうやら、鹿波は本気で臍を曲げたようだ。黙ったまま床の上の下着を拾う鹿波はそのまま部屋の隅に寄って一人後処理を済ませた。
「鹿波、拗ねてんのか?」
言いながら、俺は鹿波の傍に近付く。
鹿波相手に愛のあるピロートークを求めはしないが、ここまで凹まれると調子が狂うというか、なんというか。
「この野郎ぶっ殺す」と殴られた方がまだましだった。
嵐の前の静けさというやつか。俺は、簡易冷蔵庫から新品の缶コーラを取り出し、それを鹿波に渡した。
「ほら、喉乾いただろ」
飲めよ、と半ば強引に渡せば、ようやく鹿波はこっちを見た。顔面に缶ごと投げつけられるかと構えたが、一向に何も飛んでこない。それどころか。
「強姦野郎のくせに、優しくしてんじゃねえよ。……気持ち悪いッ!」
吐き捨てた鹿波は、そのまままた部屋の隅っこへと逃げる。その手には缶コーラをしっかり握り締めたまま。
……というか、あれ、俺、いつ鹿波に優しくしたっけ。ていうか、なんで鹿波あんなに顔赤いんだ。
衣服を整えた鹿波は、結局最後までなにも言わずに部屋から出ていく。
俺も引き留めるわけでもなく、ただそれを黙って目で追うだけだった。
鹿波がいなった部屋で、俺は換気や床の掃除、諸々の後始末をしていると、買い物袋をぶら下げた山下が戻ってきた。
「はい、特濃ミルク」
いいながら、山下はビニール袋に入った市販のパック牛乳を俺に手渡ししてきた。
他に言い方はないのだろうかと思いながらも、俺はありがたくそれを受け取る。
「で、どうだった。モデルは」
部屋の中を見渡しながら、山下は笑いながら尋ねてきた。
「ああ、いいの撮れたよ」ベッドから降りた俺は、牛乳パックをテーブルの上に置き、適当なグラスを用意する。
「へえ、よかったじゃん。後で見せてよ」
「写真を?」
「どっちでも」
「……嫌だ」
「えーっ?!なんで?!僕のお陰じゃないこれ?!」
「お前は人に押し付けて逃げただけだろうが!」
適当な軽口で流すが、なんだろうか、胸の奥にはまだもやもやとしたものが残っていた。「見せてよ」という山下の言葉にどうしてこうも不快になるのだろうか。こいつの変態発言はいつものことだというのに。
「でも、よく鹿波が高座の言うこと聞いたね。あんなに高座のこと嫌ってたのに」
「ん、ああ。まあ色々あってな」
感心するように言う山下に、内心俺は冷や汗だらだらだった。
山下の名前をつかって鹿波を脅迫したなんていったら、さすがの山下も怒るだろうか。
先ほど山下が妙なことを言ったせいで、牛乳があれにしか見えない。どうしてくれる。
「ふうん。ま、でもこの前みたいなことにならなかっただけでもよかったじゃん。穏便できたみたいだし」
山下は懐かしそうな顔をしながらそう続けた。
『この前』というのは恐らくというか間違いなく、俺と鹿波が初めて会ったあの日のことを言っているのだろう。
確かに、あのときに比べれば今日は比較的に目立った怪我は負わなかった。その代わりに、ややこしいことになってしまったのだけれど。
「ああ、そうだな」
俺はグラスに口をつけ、一気に中の牛乳を飲み干した。甘い牛乳の味が口内に広がり、渇いた俺の喉を潤す。
特濃と銘打つだけある。濃いすぎて飲み干した今でもまだ何かが喉奥に残っているようだった。
◆ ◆ ◆
翌日。
いつも通り起床し、学生寮から学校へ向かう。その途中、鹿波とバッタリ鉢合わせになった。
柄の悪い友人を引き連れた鹿波は、ふいと俺から顔を逸らしそのまま俺の横を通り過ぎていく。
殴りかかってくるのがなくなっただけましなのだが、昨日の今日でちょっと素っ気なさ過ぎるようにも思えた。まあ、別に構わないのだけれど。
そんなこんなでいつも通り校舎で授業を受け、いつも通り学生寮の自室へ戻ってきた俺は、床の上で正座している山下を見つける。
「お前、なにやって……」
言いながら山下の元へ近付いたとき、背後から伸びてきた腕が俺の後ろ髪を掴んだ。
顔面から血の気が引いていく。
「ごっごめん、高座……バレちゃった」
乾いた笑みを浮かべた山下の言葉に、俺は恐る恐る背後に目を向けた。
そこには、優しい笑みを浮かべた鹿波が立っていた。
バレちゃったって、なにが。もしかして、昨日のことか。
どうしてバレるんだよ。またお前が余計なこと言っちゃったんだろ、どうせ。
言いたいことはたくさんあったのに、背後に立つ恐怖のせいかうまく言葉がでない。
「待った、落ち着け鹿波。落ち着けよ。ここはゆっくり話し合おうぜ。暴力はよくない、よくないぞ。だからほら、取り敢えずこの手を離」
言い終わる前に、俺の顔面に鹿波の腕が振り下ろされる。
その後のことは、よく覚えていない。気が付いたら俺はどっかの病院にいた。
「あーまじありえねえ。画像も消されたし、俺殴られ損じゃん」
「自業自得じゃないの、それ」
「元はといえば山下が鹿波を呼ぶから悪いんだろ」
「違うよ。高座が僕の名前を出したってちゃんと教えてくれなかったのが悪いんだよ」
「そうか。俺が悪いのか」
「ついでにいうなら、高座が鹿波に余計なことしなけりゃ入院なんてしなくても済んだはずだよ」
「仕方ねえだろ。お前だって目の前に自分にケツ向ける美少女がいたらどうするんだよ」
「犯す」
「ほら見ろ!」
「高座と一緒にしないでよ。僕はホモじゃないよ」
「俺だってホモじゃねえよ。ほら、ちょっと魔が差しただけだし」
「お前どんだけ魔差してんだよ」
「いや、だってあれは本当、鹿波の方から誘ってたし」
「……ちょっと、高座」
「鹿波のやつ、ケツ振って自分からねだってきたんだって。しかも満更でもないって感じで」
「高座、……後ろ」
「……あ?……うわっ!ちょ、鹿波お前いつから……っちょ悪いって、ちょっとした冗談だろって。な?ほら、それお見舞で持ってきてくれたんだろ?潰したらだめだって、うわうわうわリンゴ勿体ないだろ。落ち着けよ、ほら、ものは大切にって」
「じゃ……じゃあ、僕はトイレ行ってくるから。鹿波、ゆっくりしていってね」
【END】
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