film review

● 2300年未来への旅
外界との接触を完全に絶ったコロニー。人類が歩んできた様々な障害から生き残った彼らはディストピアにユートピアを見た。30歳になると新たな自分へ転生するために火の儀式をしなければならないが、その節目を間近に迎えるレッド(赤い服装の男女)には逃亡者が多い。逃亡者の粛清を目的に構成されたサンドマンの一人であるローガンは、あるとき逃亡者を殺害。その持ち物から外界にサンクチュアリがあることを知る。マザーコンピュータからの指令で強制的に30歳を迎えたローガンはジェシカと名乗るサンクチュアリを知る者とともに、外界への逃亡を図ることに。


おもしろかった!

SFのテーマってさ、超べたなブレードランナーで言うと、生命とは?意志とは?機械と人間を分かつモノは?という感じで、哲学的要素が主題じゃないですか。2300に関しても「地球へ…」「火の鳥」的な機械任せのディストピア要素と、男女の濡れ場的要素とで超べたべたなのですが、メインテーマが老いなのはなかなかおもしろいところだと感じました。

ローガンは少々人より好奇心のあるサンドマン。サンドマンとはコロニーから逃亡しようとするモノの粛清を担当している黒服の男たち。コロニー内では警察的な役ですが、上長はコロニーを直に監督する厳しめの機械。機械の言うことに従っていればOK!極悪非道です。サンドマンの名付けの由来はわからないのですが、砂時計の砂から着ているのかな〜。時間とははかない。

30歳で転生する(=殺される)んですが、なぜ30歳にしたのかはわかりません。また、なぜその年で機械に殺害されるのかもわかりません。でもなんていうか、この映画を見るときにその考察は無意味だと感じさせるぐらい、五感を塞がれます。不必要だから教わってない。ルールだから考える必要がない、そんな感じです。完全にコロニーによってその知識を封じ込められているのです。

映画の取り方としてはジオラマの特撮が使われていて、見ていて楽しかったのです。映画が古い故、下手にCGに頼っておらず、特撮と合成で作り上げられています。あえてそうやって目新しい画面を作っているようにすら感じます。ユートピア的なきらきらとごてごてが混ざっているのもすてきです。

ひどく悲しい気持ちにさせたり、興奮させたりしない映画でした。それも私がこの映画を気に入った理由です。ちょっとほんわかしたところもあります。

外界で独りで生きてきた老人(作中では名前が無く、オールドマンと名付けられている)と、ローガンとジェシカが出会うシーンはとても印象的です。老人は悟っている訳でもなく、おこっているわけでもなく、かといって病弱で今にも死にそうなわけではありません。ただ若い男女と出会い、自分の住処の話をするときのきらきらした目は少年のようでしたし、2人の恋仲を祝福している友人のようでもありました。
まさに老いても好奇心を失わないみずみずしいオールドマン。そんな風に生きてみたいものです。

長いし、独特の間の取り方ですが、なんかいいもん見たな〜て感じがします。ごちそうさまでした。
2017/04/18 01:04

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