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俺はなんとも複雑な思いで聡一郎君を抱きしめた。そうすると彼の手がおずおずと俺の背中に回された。
あー可愛い。食っちゃいたいな。
「一年契約とかそんな定期券みたいなこと考えてねーから。安心して俺のこと好きになってよ」
「うー……はい」
「なに、そんなことで悩んでたりした?」
「まあちょっと考えてましたね」
「えーなんかごめん。好きだよ聡一郎君」
俺もお返しとばかりにそう言うと、聡一郎君が耳まで真っ赤になった。
「なになになに、どうしてそんな急に意識してくれちゃったの?」
「べ、別に」
ぷい、と不機嫌顔でそっぽ向いてどこの女優だよ。可愛いなちくしょう。
そんな可愛い聡一郎君をぎゅっと抱きしめて耳元にキスを一つ。すると呻くように彼が口を開いた。
「……え、えろいから」
「は?」
「香月さん、エロ顔すぎて、やばいから!」
もしかしてこの前のことかな?ちょっと迫ってみたらありえないほどうろたえてたからなあ。
俺はにやりと笑って聡一郎君をソファーに押し倒した。
「んー俺の色んな顔見たいんじゃねーの?」
「見たい!」
「素直か」
「あ、つい……じゃなくて、それとこれとは違って」
「こういう時の顔見れんのも恋人の特権だよー?」
ね?と囁きながらやんわりとキスを落とす。
聡一郎君、童貞じゃないっていかそれなりに経験してるっぽいのにやたらとウブなのはどうしてだろうな。
少しキスを深くしてみると、特に抵抗はされなかった。
試しにキスをしながら脇腹や腰を撫でてみても、くすぐったそうにしてたけど逃げるようなことはしない。
これは聡一郎君のなかで何らかの覚悟が出来たんだろうか。ていうか、あんまりにも抵抗がないと、やっちゃいそうなんだけど。ゴムとローションあったかなー。
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