3



何を話したのかもよくわからないうちに、二人の姿は目の前から消えていた。
洵也に背中を叩かれてようやく我に返る。

「お前マジさー……わかりやすすぎ」
「なにが?」
「そんなの自分がよく分かってんでしょー」

洵也の言葉にぐさりと止めを刺される。
その後はなんとなく気分が乗らず、適当な理由をつけて学校を離れた。

帰り道を洵也と歩いていく。家が近いから帰り道も同じなんだけど、洵也が俺の家まで押しかけてきた。

「んで、どっちなわけ?」
「どっちって……何が?」
「そりゃー昼間会った男女の先輩、どっちが好きな方?」

ぶはっと俺は盛大にむせた。
ちょっと待って、少し会っただけのあれだけでバレたわけ?つか俺そんなにわかりやすい?

「……男の方」
「あーそっちかー。なるほど、よくわかった」

洵也がうんうんと一人で頷いている。
さすが俺の親友……まさかのホモカミングアウトに動じない。

「や、でも好きって言ってもちょっと仲良くしたいなーとかそういう感じでさ、うん」
「お前それでいいの?」
「いいもなにも……相手男っすよ?」
「だって今にも付き合っちゃいそうじゃん、あの二人。それでいいわけ?」
「そりゃヤだけどしょうがないじゃん」

唇を突き出して思いっきり不機嫌な顔を作れば、洵也は真面目な表情になった。

「ポジティブな透くんらしくないな」
「しょーがないよ。だって先輩めっちゃイケメンじゃん。てか美人じゃん。おまけに真面目で性格すげー可愛いし、あんな人、男の俺なんかと付き合ってくれるわけないって……」

ノロケも少々混じりつつ洵也に先輩との出会いから今までのことをブツブツと喋る。

言いながら思ったけど、やっぱ俺、先輩のことすげー好きだなぁ。洵也は時々ツッコミながらも俺の話を真面目に聞いてくれた。
つーかホモの話なのに顔色変えない洵也ってマジ懐でかい。いいヤツだ。

「……それ聞いてて思ったけどさ、やっぱお前その先輩と付き合った方がいいよ」
「な、何言ってんだよ」
「なんつーか……結構脈あるんじゃねーの?や、冗談抜きで」
「お前俺のこと面白がってない?」
「ないない。いや、ちょっとあるけど。でもさ、その先輩と全然接点ないんだよな?それなのに先輩は透の鬱陶しい『仲良くして攻撃』にいちいち付き合ってくれてんじゃん。思うんだけどあの先輩、今まで遠巻きにされてて寂しかったんじゃねーの?それで、透がずかずか踏み込んできてくれて嬉しかったとかさ」
「……なんかちょいちょい俺への悪口が混じってんですけど」

洵也の言う通りならそりゃ嬉しいし、付き合ったりできたら……そういや男同士で付き合うってどーすればいいの?

デートしたり、キスしたり、エッチしたり?……あー……やばい、全部イケるわ。てかしたい。むしろ先輩の特別になるっていうのがもうヤバイ。
そうだよな、彼氏になれば先輩だって俺一人ってことで、友達とは格段にステージが違う。





prev / next

←main


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -