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なんだよ、全然聞いてたのと違う。
話してても冷たいなんて感じないし謙虚ですげーイイ人じゃん。

あと遠くで見るより近くで見た方が美人なのが直に感じられる。眉だって手入れしてないっぽいのに自然な薄さで形がいいし、肌なんて透き通るんじゃないの?ってくらい綺麗。
天然の美人ってああいうのをいうんだな。俺みたいなのは髪型といい肌の手入れといい結構外見作ってるとこあるから、そのすごさがよく分かる。

とにかくちょっとでも話せたことに俺は妙な達成感を感じていた。これで廊下とかで偶然会ったときにまた話せる切っ掛けができた。

そう思ってたのに、次の日にはまた話すチャンスが巡ってきた。
というより、先輩の方が俺を待っててくれた。俺はそれを知ってすっかり舞い上がっちゃって、全力で先輩と仲良くなろうと決めた。

俺の特技をフルに活用して距離を縮める作戦。そう手作り弁当作戦。
先輩は俺の手料理をおいしいおいしいと言って褒めちぎってくれた。それがまた可愛いのなんの。



六月が終わる頃にはすっかり先輩の虜で、陽菜のことなんかずいぶん放置していた。

というか、陽菜はあの可愛らしい外見で男を次々引っ掛けるすんげービッチだった。
たしかにエッチは最高だったけど、慣れすぎてんなーとは薄々気付いてた。
まあ人のことは言えないけど。

とにかく陽菜は俺の知らないとこでかなり浮気してた。
なんかおかしいと思って目の前でケータイ取り上げてメール見たら真っ黒な送受信履歴残ったままで隠す気ゼロ。しかもバレたら逆ギレしてきて最悪。

俺は一応決まった相手がいるうちは浮気しないって決めてるから、陽菜とはそういう価値観の違いですれ違った末に別れることにした。



そして練習試合を見に来てくれた先輩に感動したあたりでヤバイなとは思ったけど、先輩と電話しながらヌいちゃってから「あ、俺先輩のこと好きなんだ」って自覚した。

そうなったらもう毎日先輩のことばっかり考えて胸が苦しくなったり、そっけない文章でも毎回律儀に返してくれるメール見てキュンとしたりしてどこの乙女よ?ってくらい恋しちゃってた。

なにかの間違いだって否定したくて誘ってきた女の子とデートして、逆に誘ってみたり色々してみたけど逆効果だった。
まあちょっとキスしたりいい雰囲気になって触ったりしたけど、その度に先輩の顔が浮かんできて、先輩を裏切って浮気してるみたいな罪悪感いっぱいでそれ以上何も出来なかった。

俺が遊び歩いてるのは知れ渡ってたから中学のときみたいにどんどん女の子が寄ってきたけど、面倒になってだんだん断るようになった。

そんな中、マナっていう子がしつこく付き合ってアピールしてきた。
外見は可愛いけど俺はもう先輩しか見えてなかったから適当にしてた。
後に俺とマナが付き合ってるって噂になっててそのせいで先輩に変な誤解されてたって知るんだけど……マジでムカつく。




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