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何度か口付けたあと、昼間キスマをつけた場所――耳の下あたりにもう一度キスをした。
暗がりでよく見えないけど、やっぱりもう消えてるみたい。普段セックスするときはキスマークなんてあからさまなものつけないようにしてるんだけど、昼間の俺、マジで余裕なさすぎた。
あのあと職場で、倉田さんあたりに何か言われたりしたかな。

首筋に唇を埋めながら、紘人の背に腕を回してさりげなく体重をかけた。そのまま木製のデッキに優しく押し倒す。
俺を見上げた紘人が熱い吐息を漏らす。この先を期待してるんだと、それだけで伝わってくる。
部屋着を捲って素肌にちゅっ、ちゅっ、と音を立ててキスを落とす。風呂上りだけど、蒸し暑い外にいたせいかもう汗で湿り始めている。
ボディーソープの香りと混じりあった紘人の汗の匂い、すげー好き。

「ん……っ」

耳に届く小さく漏れた声が艶っぽい。俺の額にもじわりと汗が浮いた。
唇の間に乳首を挟んで歯を立てずにきゅっと甘噛みしてみれば、紘人の腰が跳ねた。指を絡めながら手を握り、逃げられないようデッキに押さえつける。
温い風が屋外で重なり合う俺たちを吹き曝し、控えめな喘ぎ声が外気に溶け込んだ。

「ふ、あ、ぁ……あ」
「紘人……」

いつもは結構余裕なくガツガツやっちゃうんだけど今日は殊更ゆったりとした愛撫を施した。
乳首を吸い、少し浮いた骨や薄い腹を舌で舐め上げる。脇腹を何度も吸うと、くすぐったそうにしながらも腰が艶かしくくねる。
ちょっと伸び上がって首筋にキスしながら頭を撫でたら、また紘人の体がびくんと跳ねた。この人は全身性感帯なんだろうかって疑いたくなるほどの敏感さ。

紘人の喘ぎ声が普段と少し違う。低めで、蕩けるような甘さ。垣間見える表情も夢見心地って感じ。うっとりしつつもチンコはビンビンみたいだけど。俺のも同様。
ここんとこずっと、紘人が毎日疲れてる様子だったからエッチは挿入なしにしてた。でも、今は好感触。
服の上から尻の割れ目を指でなぞることで、行為を続行していいか最終的なお伺いを立てる。すると紘人が慌てて俺の肩を押し返してきた。

「……あっ、と、透……ここではちょっと」
「えー、開放的でいいじゃん?」

笑いながら言ってみれば、紘人がわずかに顔を顰めた。
ベランダで夜空を見ながらセックスって良くない?……下の階の住人がいたら俺たちのエロ声が丸聞こえになるかもしれないけど。

――俺はそのままやる気満々だったんだけど、結局は紘人に渋られてベッドに移動した。
まあ、夕暮れのような暖色灯の室内で、ローションでぬらぬら光る紘人のアナルをじっくり見るってのも興奮するし。

「あっ、んんっ、あ……」
「んー……ちょっときつい?」

初めてしたときより格段に柔らかいけど、今日は俺の指を締め付けるきつさが増してる気がする。しばらくやってなかったからかなぁ。
けれど紘人は首を振って、息を荒げながら俺を誘うように足をより開いた。なにそのエロいポーズ!

「い、いい、大丈夫、だから……」
「いーの?」

こくりと控えめに頷く紘人。俺は素早くゴムを装着してフル勃起チンコにローションをぶっかけた。
逸る気持ちを抑えて、ゆっくり、ゆっくりと挿入を試みる。そしたら、反発するように押し返された。

「――紘人、もちょっと力抜いて?」
「あ、す、すまない……でも、あの……」
「ん?」
「ひ、久しぶりで、興奮しすぎてるのか、その……うまく出来ない」

それは困った。臨戦態勢ギンギンの俺のムスコはすぐにでも中に入りたい!って訴えてるけど、無理に挿れたら紘人を傷つけかねない。

「あーじゃあ、紘人が上に乗って、自分のペースで俺の挿れてみるってのはどう?」
「……やってみる」

紘人は荒く息を吐きながらも体を起こした。
えっ、マジですか。半分冗談のつもりだったんだけどマジでやってくれんの?


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