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俺と話してるのを聞きつけて、読モ仲間の園田勇大が割り込んできた。

「なにとーるちゃん、新しい彼女できたの〜?」

黒髪ウルフショートの勇大はクール系イケメンだ。
でも口を開くと間延びした気の抜けたような喋り方をする。見た目とのギャップがかなり大きい。
ノリが良くて楽しい奴だけど、今はバカ話する気にもなれなくて適当に返事をした。

「まーね」
「なに誤魔化してんだよトオル。彼女じゃなくて彼氏だろ。しかも超美人!」
「え〜ウソ!エミちゃん見たんすか?エミちゃんばっかずるい〜写真見せろよ〜」
「やだっつの」

しっしっと勇大に向かって手を振る。勇大は不満そうに唇を尖らせた。

「最近合コン呼んでも来ないし身持ちが固いと思ったら、そーなんだ〜。なんだよ〜言ってくれればよかったのに〜」
「言うも何も付き合い始めたのついこの前だし」
「えっ、じゃあ付き合う前から操立てしてたってこと?やべーじゃんタラシのとーるちゃんがどーしちゃったの!?病気!?じゃああの同業のすげえ可愛い彼女とは本気で別れたんだ!んで、写真は〜?」
「勇大その辺でやめとけって。コイツ今喧嘩中らしいからそれ以上はマジでシャレになんねーよ」

一郎さんが慌ててフォローに回ってくれる。
こういうとこいい人なんだけど、ただのマッチポンプと言えなくもない。

その後も勇大にしつこく写真見せろ見せろとしつこくされたが俺は完全にスルーした。
そもそも写真とか持ってないし。寝てるところでも隠し撮りしとけば良かった。そしたら右手のお供になったのに。
バカなことを考えながらも仕事は進む。

勇大はカメラの前では本当にクールだ。カジュアルなデザインの黒いトレンチコートがよく似合ってる。
あいつ、口開かなきゃいいのになぁ。


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