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こりゃドライブ中止だな、と諦めの境地でいるとふっと紘人の体から力が抜けた。そしてゆっくりとハンドルから体を起こす。

「……いや、いい。別に見られてまずいものとかは、ないから……」

そう言いながら顔が真っ赤だ。おまけに目がうつろ。

「ごめんなさいマジで……」
「いい」

ちらりと俺を見る紘人。超美人の拗ねたような可愛い表情にくらっと眩暈がした。

「あのさ、言ってくれたら雑誌あげるよ?一応全部そろってるし。最新号とかさ」
「……ああ」

あ、何だか開き直ってる様子。怒ってもないみたい。
いやでもこれはさすがに俺が悪かった。
いくら恋人同士でも守らなきゃいけないプライバシーの一線ってのがある。男同士の悪ノリを持ち込むべきじゃなかった。

「ていうか、いつから俺のこと知ってたの?なんか古い号もあったけど」
「…………あれは、その、だから前にも言ったが、職場にあったものを見て」
「うん?」
「……もう捨てる雑誌だっていうからもらってきて……その」
「うん」

観念したように紘人が溜息をついた。

「知ったのは、透に会う……どれくらい前だったかな、半年くらい前、かな?」
「え、結構前じゃん」

衝撃の事実に俺びっくり。ついでにちょっとニヤける。

「あの雑誌で透のことを見て、印象に残ってて……その、だから」
「えーなに、マジで俺のファンだったの?」
「ファン?というか、どうなんだろう……言われてみればそうかもしれない」

しどろもどろに言う紘人がすごく可愛くて、思わず顔を寄せた。
紘人が顔を近づけた俺をさっと避ける。ひどくない?

「僕は、ほら、あまりファッションに詳しくないから、ちょっとは勉強しろって言われてたまたま目に入った雑誌を読んで、それで、トオルってモデルが気になって」
「うんうん」
「……それだけだ」

えーじゃあ何であんなところにエロ本みたいに隠してたんですか!?
もっと本棚に飾ってくれていいのに!

「なんで隠してたの?別に、変な本じゃないじゃん」
「それは……その、自分が載ってる雑誌を僕が見てるなんて、知りたくないかと思って……僕も、なんだか気まずいし」
「……やっぱりサインしよっか?雑誌全部に」
「い、いらない」
「えーなんで」
「本人がいるのに必要ないだろう」

そりゃそうですけど。
俺は紘人の肩を掴んでぐいっと引き寄せた。耳に直接息を吹きかけながらエロ声を出す。

「ね、俺のどこがよかった?顔?カラダ?」
「卑猥な言い方をするな!」
「だって気になるじゃん。俺も一応セミプロですから、読者に気に入ってもらえたらそりゃ嬉しいし」
「…………笑顔、が」

そっぽを向きながら照れたように言う紘人、超可愛い。


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