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ローザロッテに他の面子を聞いてみると、神官は彼女一人、あとは薬師三人という体制で全員の治癒を担うようだ。

魔法使は、メグの他は一級魔術士が二人。
そして剣・斧・槍のそれぞれの使い手の戦士と、盗賊、そして鍛冶師が一人いるそうだ。
鉱石を見分けるために鍛冶師は必要不可欠で、彼らも戦う能力を有している。

おまけに猛禽を従えている褐色肌で深緑の髪、耳の尖ったアルボス族までいる。
狩猟者の集まりは実に多彩だ。

「ロージィがいるなら心強い」
「そりゃこっちの台詞だろ。一級魔導士なんてなっかなかお目にかかれないし」
「いや、それなんだが――」

言いかけたところで、ようやくベリアーノがジンイェンを引き連れて人だかりを抜けてきた。

「オレのパーティのちゃんとした挨拶がまだだったよな!悪い悪い!」
「みんな身内みたいなもんだからねぇ」
「慣れないエリオットを一人にするなんてどうかしてるよ、ジン」

ローザロッテがじとりとジンイェンを睨む。その批判にジンイェンは苦笑しながら軽く肩をすくめた。

「いやぁ、すっかりつかまっちゃってね?」
「ったく、これだから気が利かない男ってヤなんだよねぇ……」

ふん、とローザロッテが鼻を鳴らす。彼女は本当にジンイェンを嫌っているようだ。
するとあとからぞろぞろとベリアーノのパーティメンバーが集まってきた。
ローザロッテはそれを見て「お邪魔さん」と言って自分のパーティへと帰って行った。

「この子が剣士見習いのノーラ、鳥を肩に乗せてるそこのが槍使いのエムカル、そしてそっちが薬師のアニタだ」

蜂蜜色の金髪に青い瞳の少女がノーラ、背の低い見るからにアルボス族のエムカル、無精髭を蓄えた赤毛の大男がアニタと紹介される。

「アニタ?」

女性の名だからてっきりそうかと思ったのだが、目の前の大男に面食らう。するとアニタがぼそりと低く喋りだした。

「……おれ、生まれるとき、女だと思われて、つけられた名前……」
「あ、す、すまない。失礼した」
「慣れてる……」

エリオットのような反応は珍しくないらしく、そのままアニタが黙り込んだ。もともと無口な性質らしい。

「ジンが会ってないのはノーラだけか?」
「ん?そうだね、初めて見る顔だ」
「オレのいとこでな。今年15でまだギルド登録したばっかりなんだけど、いい経験だから今回連れてきたんだ」
「へー、よろしく。俺は盗賊のジンイェン。ジンって呼んで?」

にこやかにジンイェンがノーラに手を差し出す。ノーラが頬を染めながらその手を握り返した。

「よろしくお願いします!!」
「うーん、元気だねぇ」

裏返った高い声に、キィンと耳鳴りがする。エリオットも驚いて目を丸くした。

「ジンはまあ色々問題もあるが……コイツこう見えてもかなり手練れだからな。腕は確かだぜ、ノーラ」
「こう見えてって、失礼だなぁ」

ジンイェンが苦笑する。

(そうなのか……)

ベリアーノの言葉にエリオットも彼への認識を改めた。
そういえばジンイェンの狩猟者としての働きを全く知らないのだ。確かに足音のしない歩き方や、フェノーザ校にやすやすと侵入する手口など只者ではないとは思ってはいたが――。




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