12
抱き合ったまま、もう一度キスをして舌を絡めた。
喜之の骨ばった猫背を慈しむように撫でる。
そうしたら彼の掌が俺の乳首をこすった。それだけの刺激で感じてしまって声が出た。
「うぁ、あ……っ」
ピンと立ったそこを指先で押されて腰が浮く。しつこいくらい押されたり摘ままれたり転がされたりと、指で遊ばれて身悶えた。
職業柄か、タイピングの速いその器用な指で弄られると背筋に快感が走る。自分で触るのとは段違いの感覚だ。
指でそうされてる間に肌に何度も口づけられる。耳に、首に、胸、腹へと唇が辿っていく。
「あ、んっ、ん。ちょっと……くすぐったいって」
「そう」
そのくすぐったさが気持ちいいんだと、喜之は知ってるからやめたりしない。
俺も喜之も三十近い今、若い時ほどガツガツとはいかないけれど、そのぶん愛撫に時間をかけるようになった。
付き合いの年数に比べて回数が少ないせいかもしれない。その差を埋めるように、俺たちはじっくりと睦み合う。
やがて、股間に手が這った。そこはすでにズボンを押し上げて次の刺激を待ち望んでいる。
包むようにして擦られた瞬間、じわっと濡れる感じがした。
「んっ……よ、喜、之」
「いい?」
「う、うん……」
下着ごと脱がされたズボンが床に落とされる。ついでにソファー横のマガジンラックからローションボトルとゴムが取り出された。
最近は家のあちこちにこのセットが置かれてたりする。いやまあ、あちこちでサカっちゃうせいなんだけど。
喜之に片足を抱え上げられて陰部がさらされると、この先されることをわかっていても恥ずかしくなった。
「あっ……!」
乳首にもしたみたいに、喜之が指先でちんこの先端をぐりぐりと押した。剥き出しのそこを指で責められると先走りが溢れてくる。
気持ちよさで腰をはねさせたりよじらせたりしてると竿のほうも握られた。ダイレクトな快感が全身を駆け抜ける。
「そ、それ、いい……」
「もっと?」
「うん……っ」
無口な喜之はこういうときも言葉が少ない。それでも通じちゃうところがマジで好き。
一を聞いて十を察してくれたらしく、男の一番感じるところを手で責められつつ乳首も舌で舐められた。上も下も、湿った卑猥な音が部屋に響いた。
息が上がる。密着した喜之の体も汗ばんでいて熱い。
「あっ、あ、やば、喜之……んんっ」
あんまり喘がないようにしてるつもりでも出そうになるとつい声が出る。
イク寸前で手の動きが緩やかになって、タマのさらに下あたりを指でつつかれた。
ローションを穴まわりにぬるぬると塗り広げられる。
冷たい刺激で一瞬きゅっと窄まったが、アナニー生活で鍛えられたそこはあっという間に受け入れ態勢になった。
だけど喜之はじっくりと指で割り開いた。すごく慎重で、もどかしいくらいに。
「んぁ……、んっ」
「痛くない?」
「な、ない……」
喋りながら、長い指が中を探る。奥までいって、ゆっくり抜かれる。襞をなぞっては、またぬるりと入ってくる。
セックスに似たその動きにゾクゾクとした感覚がせりあがるが、太さが足りない。
「も、もう入れていい、から、あっ、早く……」
「まだ」
目を細めた喜之がしつこく指を抜き差しする。ゆっくり、ゆっくりと。
ほしいものをくれない喜之は意地悪だ。長引けば長引くほど快感も増し増しではあるんだけど、この緩やかさがもどかしい。
開発済みの前立腺を指で押されれば、ビクンっと大きく腰がはねた。
「あっ」
ゆっくり優しく擦られてるだけなのに、あ、あ、と小刻みに声が出る。やばい、気持ちいい。
でも、指じゃなくて喜之のペニスで擦ってほしい。そう言いたくても言葉は全部喘ぎ声になっちゃうから、せめて彼の腕に爪を立てた。
ようやく指が抜かれたときには中はぐしょぐしょ、全身トロトロの汗だくで、ちんこも汁まみれ。
快感で頭ん中がぐらぐらして、ちょっとよだれも出ちゃってた。
そんな俺を喜之がまた優しく掌で撫でる。
我慢できなくなった俺は、なんとか起き上がって喜之をソファーの背に押さえつけた。
「守?」
何も言わずにソファーを下り、彼の前に跪いて股間に顔を近づけた。俺だけ素っ裸にしといて、こいつまだ下穿いてるし。
ズボンの前を引っ張ると、勃起ペニスが勢いよく顔を出した。
竿も先っぽも痛そうなほど充血してガチガチだ。この状態でずっといられたことが不思議なんですけど。
「俺にばっかしてないでさ……お前もしてほしいんじゃねえの?」
「どうかな」
曖昧に唸る喜之。まあ、どっちでもいいや。俺だって喜之を気持ちよくさせたいんだし。
竿を握ってすぐに咥える。唾液で濡らしてから喉奥まで飲み込んで吸えば、喜之が色っぽく呻いた。
そのまま頭を上下に動かして舌全体で喜之を味わう。裏筋を舌先でたどると、彼は背中をのけぞらせた。
「う……」
俺は彼みたいに焦らしたりねちっこくしたりってのはできないから、最初からフルスロットルだ。
恋人の大事な部分を口いっぱいに頬張って、じゅっぽじゅっぽとむしゃぶりつく。それを続けていたら喜之の腰が震えた。
俺の髪に彼の指が絡み、梳くみたいにしてかき混ぜられる。気持ちいいっていう意思表示だろう。
フェラをしながらたまらず自分のモノを扱く。息苦しいのに興奮して、手が勝手に擦っていた。
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