その6
「お兄ちゃん…絶対に、絶対、迎えにきてね?」
捨てられた子犬のような目で見つめてくる弟にイタチは観念したようで、困ったようにけれど嬉しそうに笑った。
「ああ。約束する」
「本当に? 嘘ついたら怒るからね。迎えに来なかったらサスの方から探しに行くからね」
頬を膨らませイタチを睨む弟に可笑しくなってクスリと笑う。
「むうー。なんで笑うの?」
「悪い、悪い」
そう言って弟の頭をポンポンと撫でた。
「サスケが強くなったら必ず迎えにくる。だからそれまで元気でいろ」
「っ、うん。お兄ちゃんもね?」
心配そうに見上げてくる弟の頬をそっと撫でると優しく口付けた。
「ああ。…愛してる、サスケ」
「サスもお兄ちゃんのこと愛してる」
サスケは兄からの口付けに少し目を見開くもーーいつもは頬だったからーーすぐさま嬉しそうに受け入れる。
兄の写輪眼によって眠りについた弟を優しく横たえさせるとしばらく弟の姿を目に焼き付ける。
「サスケ。必ず、お前を迎えに行く。だからそれまで待っていてくれ」
最後にもう一度だけ眠る弟の唇に触れるだけのキスをして去っていった。