その5
可愛い弟にお願いされもう嫌とは言えなかった。イタチの敗けだった。
「っああ、すまない、サスケ」
愛しさのあまりイタチは膝をつき弟を優しく抱きしめた。お互いが離れ、目が合うとどちらともなく自然と笑いあった。
そのままサスケは目の前の兄の顔を両手で包み込む。
「ねえお兄ちゃん、目閉じて?」
言われるまま目を閉じた兄の両目蓋に口付けを落としたサスケ。された兄がピクリと反応する。
「っ! サスケ?」
「ふふっ。おまじないだよ」
驚いて目を開けたイタチの視界に優しくはにかむ弟の姿が飛び込んできた。そしてサスケは自分の首にかけていたペンダントを外すと兄の首へとそれをかけた。
「それと…はい、これ。サスのだけど、ちょっと早いお兄ちゃんの誕生日プレゼント。本当はね、お兄ちゃんには新しく作ったものを渡したかったけど…。受け取って。御守り。サスの代わりにきっとお兄ちゃんを守ってくれるから肌身離さず持っていて、ね?」
「…ああ、ありがとうサスケ」