その4


「っ、サスケ」

「…ごめん、なさい。サス、分かってる。これはサスのワガママだって。今のサスじゃあ、お兄ちゃんの足手まといにしかならないよね。っ、サス、頑張るから…もっと、もっと強くなって…お兄ちゃんに背中預けてもらえるよう、お兄ちゃんを少しでも守れるように頑張るから…っ…だからおねがいっ…サスが強くなったら、サスを迎えに来て。サスを一緒に連れてって!」

 強い意思を秘めた黒い瞳に射抜かれてイタチはぐっと押される。弟のここまで意思の強い目は初めて見る。色んな思いがぐっとこみ上げてくる。弟から恨まれ、憎まれる事を覚悟していた。むしろ強く生きるようにそう仕向けるつもりだった。けれど覚悟していたとはいえやはり辛かったのだろうと頭の片隅で考える。愛する弟から憎まれると決めた覚悟が今になって揺らいだ。硬く誓ったはずだったのに。…俺は望んでいいのだろうか。また弟と共にいれることを。

「…サスケは本当にそれでいいのか? お前ならこの里で幸せに生きていける。お前なら友達も沢山出来るだろう。良い師とも巡り会えるし、好きな人と家庭を持つ事もできる。俺と共に生きるということは抜け忍として生きるということだ。抜け忍がどんな扱いになるかサスケも知ってるだろう? 俺はお前には幸せになってーー」

「ねえ、お兄ちゃん…サスの幸せはいつだってお兄ちゃんの隣なんだよ。お兄ちゃんがいないなら意味ないよ。お兄ちゃんと一緒なら地獄だろうが何処だろうが関係ないよ。それがサスの幸せだから」

 優しく目を細める弟にイタチは胸が温かくなった。

「サスケ…お前…」

「だからお兄ちゃん。一人で何処かに行かないで。行くならサスも一緒」


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