その2
現れた目の前の人物に各々動揺する。
カカシやナルト、サクラは咄嗟にサスケを無言で振り返りると、目の前の人物と何度も見比べた。
「な、な、……サ、サスケが二人!? 一体どういうことだってばよー!」
「え? え? サ、サスケくんがもう一人!?」
「(どういうことだ? 写輪眼で見てもサスケとチャクラが全く同じ。変化でもない。……となるとーーーー)」
「(なんだこいつ……いったい、)」
それぞれが大なり小なり動揺し、目の前の人物を凝視する。
そしてまた、七班に動揺を与えている人物も突然の出来事に驚いていた。任務で屋敷の片付けをしていたら、いきなり煙に包まれ、突然違う場所に飛ばされたのだ。
状況を把握しようと目の前にいるナルトたちを観察するが、ふと可笑しなことに気がつく。
「えっと、カカシ先生に 、サク姉、ナルに…………あれ? サスにそっくり」
キョトンと首をかしげながら不思議そうにしている、外見がサスケそっくりな、けれども自分たちの知ってるサスケとまるで雰囲気の違う少年。
それに戸惑うナルトやサクラたち。
「お、お前、誰なんだってばよー! なんでサスケにそっくりなんだってば!?」
「ちょっと、なんなのよカカシ先生!」
「んー、変化でもないんだよね。サスケともチャクラが全く一緒だし……」
「「え?」」
「なにっ!?」
急いで写輪眼で目の前の自分そっくりな少年を観察するが、カカシの言う通りでサスケに衝撃が走る。
またナルトもサクラもカカシのその言葉に戸惑いをあらわにする。
「って、ことはーーーー」
「ねえ、君」
「どうしたんですか?カカシ先生」
にっこりと柔らかく笑いながら、こちらを見上げるサスケそっくりな少年。
だがサスケなら絶対にしないその表情にカカシを始め、他の面々もギョッとする。
「な、なんかサスケがにこにこ笑ってるみたいで気持ち悪いってば」
「え、ええ。(キャー! カッコいいサスケくんもいいけど可愛いサスケくんもイケるわ、しゃんなろー!)」
「ちっ、」
こそこそと喋ってる生徒たちを横目にカカシは目の前のサスケそっくりな少年と会話を試みる。
「あー良かったら君の名前教えてくれる?」
「はい。えーと、うちはサスケです」
「「えええっ!?」」
「なにっ!?」
「んーやっぱりそうか」
「どういうことだってばカカシ先生!」
「んーちょっと黙っててねナルト。まずは本人に聞いてみないと……どうして君が今ここにいるのかわかるかな?」
「いえ。よくわからないんです。任務で依頼人の家を掃除してたんですけど、巻物を片付けていたら急に煙に包まれて……」
「なるほどねえ。巻物か……」
「なあなあカカシ先生、どういうことだってば?」
「それってその巻物のせいでここにいるってことですよね?」
「たぶんそうなんだろうねぇ。時空間忍術の類いならこの状況も説明がつくけど、」
「だがカカシ、こいつは過去の俺でもおそらく未来の俺なわけでもなさそうだぜ」
「先生もそう思う……たぶん彼は、」
「はい。きっとサスは別の次元のうちはサスケだと思います」
カカシの言葉を引き継いだサスケそっくりさんに注目が集まる。
「サスにそっくりだけどサスとは雰囲気が違うようだし、ナルやサク姉、それにカカシ先生もサスの知ってる人たちとどこか違うから……」
「ねえ、さっきから気になったんだけど、そっちのサスケくんは私のことサク姉って呼んでるの?」
「え? うん、そうだよ」
「っ、キャーーー! なんなのこの可愛い生き物っ!」
ふにゃりと笑ったサスケそっくりさんーーサス。
同い年ぐらいのはずなのに自分の知ってるクールなサスケとは違い、あまりにも可愛いその姿にサクラは我慢できずにぎゅうぎゅうとサスを抱きしめていた。
「サ、サクラちゃん……」
「あはは、サスケが可愛く見えるねー」
「……ちっ」
サクラの暴走とライバルであるサスケとのあまりの違いにナルトは少し引き気味。
カカシは自分の知ってるサスケとは真逆の姿におかしそうだったが、サスケは自分そっくりな人間のありえない様子に嫌なもの見た、と顔をしかめる。