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「あ、そういえばさ」

「ん?」

「私にも術って使えんの?」

「たぶんな。おまえの場合、ノリでいけんじゃねぇの?」



ノリでいいのか。

術ってそんな簡単なものですかね、ユーリさん。



「わかった。次はノリでやってみよう」

「おー。がんばれ、がんばれ」

「全部棒読み!?」



相変わらずなんて適当な返事。さすがユーリ。


とりあえず、次に騎士と遭ったら実戦だぜ!!






しばらく進むと、広いホールのような場所に出た。

そのまま進もうとすると、何かに気付いたユーリは私を引っ張り隠れる。

あれ、デジャヴ?さっきもこんなことあった気が・・・。



「もう、お戻りください」

「今は戻れません!」



言い争うような声に、隠れながら前を見ると、

そこにはいかにも名前の無いモブキャラの騎士二人と・・・。


このゲームのヒロイン、エステルがいた。



「(エステルキターーーーー!!)」

「これはあなたのためなのですよ」

「例の件につきましては、我々が責任を持って小隊長に伝えておきますので」

「そう言って、あなた方は、

 何もしてくれなかったではありませんか」



エステルが言い終わると同時に近づいてくる騎士二人。

エステルは、その騎士たちに剣を向ける。


ひゅう♪いいねぇ!



「それ以上、近づかないでください」

「お止めになられたほうが・・・お怪我をなさいますよ?」

「剣の扱いは心得ています」



エステルは真っ直ぐと騎士を見る。


・・・っていうかさ、今思ったんだけど、私たち超空気じゃね?

何もしゃべってないし、これはやばい。

空気になってしまえば、後々扱いが酷くなるんだよね。

それだけは避けなければ!



「どうすんの?ユーリ」

「どうするって?」

「いや、助けるのかな〜って・・・。

 っていうか耳元でしゃべんないでくんない!?なんかエロい!」



さすがエローウェル。何もかもがエロいぜ。

感心している私をよそに、エステルは騎士と対峙している。

しかし、遠くから聞こえてきた別の騎士の声に、エステルは焦り始めた。



「おい!いたぞ!こっちだ!」

「お願いします!行かせてください!

 どうしても、フレンに伝えなければならないことが!」

「・・・フレンだって?」

「・・・意外な人物、だね」



フレンと聞いた瞬間、ユーリは少し考えた後、

騎士たちに蒼い衝撃波を与える。

ちょ、行動早っ!



「フレン・・・!?わたしを助けに・・・?」

「うん、ごめん。フレンじゃなくて」

「だ、誰?」



当然の反応ですね、わかります。

妙に納得する私と剣を構えたユーリを見て、騎士たちも剣を構える。



「貴様ら、何者だ!!」

「ったく、こっそりのはずが、いきなり厄介ごとかよ」

「ユーリ自分から出て行ったよね」

「こいつ、魔導器(ブラスティア)を持っているのか」

「ふたりでかかれば問題ない」



あ、私の魔導器(ブラスティア)はズボンで見えないのか。


そして戦闘開始。

と言っても、私は初心者なのでまともに戦えない(と思う)。

そこで思いつく、いいアイデア。



「ユーリ、ちょっと試したいことがあるんだけど」

「・・・しゃあねぇな。何するのか知らねーけど、うまくやれよ」

「はいよ!」



そう言って走り出したユーリを見て、私は集中する。

大事なのは妄そ・・・イメージだ。

大丈夫。俺ならできる!!



「ユーリ!避けてよ!ファイアボール!!」

「は?」

「ぐあぁ!!」

「よっしゃ!成功!」

「マジかよ、と!」



炎の球が騎士の一人に当たったとほぼ同時に、ユーリも騎士を気絶させる。

余裕、余裕!余裕のよっちゃんだぜ!



「すげぇな、オイ・・・」

「ふはは。さあ私を崇めろ!敬え!」

「はいはいすごいですねー」

「うわ、すごい棒読み!」



いまいち締まらないけど、無事戦闘勝利!





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