天使と悪魔の戦争


オレがコロッケを作ると言ってから、家に帰るまでユイは上機嫌だった。

何でそんなに上機嫌なのかわからないので、適当に聞いてみた。



「そんなにコロッケ好きなわけ?」

「いやいや!もちろんコロッケも好きだけど!ユーリが作るからよりテンションが

 上がってしまうわけですよ!」

「ふーん」

「あまり興味がないなら聞かないで頂けますかねぇ!?」



オレが作るから・・・か。コイツ意味わかって言ってんのか?



「さて。腹も減ったことだし。作るか」

「よっし!やっと食べれる〜♪」



まあユイの事だから深い意味はないだろうと思い、立ち上がる。

ユイは鼻歌でも歌いそうなぐらい嬉しそうだった。


ま、こんなに楽しみにしてくれてんだし、頑張りますかね。






しばらくお互い無言で、オレはコロッケを油の中にいれる。

いつもうるさいぐらいなのに、何かを考えている時は無言で、無表情。

完全に自分の世界に入っていて、なんだかつまらない。


せっかくなので、ユイが気付いていないのを良い事に、じっくり観察してみる。

整った顔、バランスの良い身体。

黙っていれば綺麗なのに、なんであんな性格なのか。不思議だ。


そのまま観察していると、ユイは顔を歪めた。


・・・なんだ?


心配になり、声をかけてみた。



「ユイ、どうした?」

「うぎゃあ!?」

「・・・もうちょい女らしい声でねーのかよ」



あまりにも残念な声に、呆れてしまう。



「ど、どうしたの?コロッケ作れたの?」

「いや。今揚げてるとこ」

「なんでここいんの!?目離したらダメでしょ!?」

「大丈夫だって」



相当驚いたのか、少しどもっていた。



「で、なんで目離してまでこっちきたの?」

「いや・・・・」



言おうと思い、ユイの顔を見る。

布団を抱きしめ、上目づかいで、先ほどの驚きのせいか目が潤んでいた。



「?」

「・・・・・・・・・・・やっぱなんでもねぇ」

「???」



あまりにも反則な表情に思わず顔を逸らし、台所へ向かう。


くそっ・・・・。


可愛いと思ってしまったのは、きっと気のせいだ。





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