天使と悪魔の戦争


あのまま材料を買い、家に帰ってもずっとスキップしそうなぐらい浮かれていた

私をユーリは不思議そうに見ていた。



「そんなにコロッケ好きなわけ?」

「いやいや!もちろんコロッケも好きだけど!ユーリが作るからよりテンションが

 上がってしまうわけですよ!」

「ふーん」

「あまり興味がないなら聞かないで頂けますかねぇ!?」



正直に答えたらどうでもいいように返事をする。

なんかテンション上がっている自分がバカみたいだ。



「さて。腹も減ったことだし。作るか」

「よっし!やっと食べれる〜♪」



私を見て可笑しそうに笑うと、ユーリは台所へと消えた。

その間に私は特にやることもベッドの上に座り、布団を抱きしめる。

これは一種の癖で、深い意味はない。


決してユーリの布団だからという変態じみた意味はな、ないんだからね!

・・・変態ってよく言われるけど。



布団を抱きしめていると、ふいに今朝の事を思い出す。


いやいや、アレはキスじゃないって。ただの事故だ、事故。
でもユーリの唇やわらかかったなー・・・。

いやいやいやいや!ちょ、ナニ考えちゃってんの自分!?


自分の中の天使と悪魔の戦いが始まった。



天『キスとは互いの同意のもとでするのがキスであり、

  あれはキスとは言いません。』


うんうん。そーだよね。あれはただ唇同士が触れただけだよ、うん。


悪『い〜や違うね。同意がなくても無理やりとかあるんじゃねーか?

  あれもキスだぜ?』


た、確かに・・・。


天『そんなものは飢えた男共の欲求です!』

悪『女だってするじゃねーか』

天『たとえそうだとしても!ユーリにとってはお遊び程度ですよ!』


あれ?なんか話逸れた?


悪『それには賛成だな』


あ、悪魔賛成しちゃった。


悪『アイツ、女遊び激しそうだし』


ちょ、ひどい固定観念だなオイ!


天『そう考えてみれば、あれはキスでないと言えるでしょう?』

悪『それとこれとは話が別だ。あれはキスだ』

天『違います!』

悪『キスだって』


ぎゃーぎゃーと人の心の中で争う。



「ユイ、どうした?」

「うぎゃあ!?」

「・・・もうちょい女らしい声でねーのかよ」



いきなり現実に戻されたため、びっくりして変な声が出てしまった。

もう少しで心臓が口から出るところだった。



「ど、どうしたの?コロッケ作れたの?」

「いや。今揚げてるとこ」

「なんでここいんの!?目離したらダメでしょ!?」

「大丈夫だって」



あなたのその自信には負けますよ。マジで。



「で、なんで目離してまでこっちきたの?」

「いや・・・・」

「?」

「・・・・・・・・・・・やっぱなんでもねぇ」

「???」



わけのわからないことを言って、ユーリは台所へ戻っていった。

なんなんだ、一体。





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