02


お墓を掃除して、お花を供えて、しゃがみこんで兄へ近況報告をしようと手を合わせたときだった。突然辺りの景色が変わり、この人を生き返らせたいか、という問いを、謎の人物に投げられた。この人とはもちろん、私の大切な大切な、そして唯一の家族である兄――。


「やめろ!!」


そんな声が聞こえたのは、私が頷いてお兄ちゃんと呼びかけた直後だった。目の前の骨に光が落ちてきて、その骨は兄の声でよくもAKUMAにしたなと言った。私は何が何だかわからなかった。その場で動けずにいると誰かが私に話しかけてきた謎の人物に斬りかかる。


「な、に……」


ただ呆然とその戦いを見ていると、目の前の骨は私に向かって殺せと言いながら尖った右手で私の顔を斬りつけてきた。血が左目を伝う。お兄ちゃん、と呟くと辺りは光に包まれ視界を奪われる。背中に少しの痛みと違和感を覚えた。次に目を開けたときには白い翼が見え、その羽が舞い降りて拳銃に姿を変え私の手におさまった。


「い……や、だ、お兄ちゃん、」

「殺せ、アリーチェ、殺せ!」


銃を手放そうとしてもできなくて、指が勝手に動いて引き金を引いた。乾いた音が三発……響いたのち、骨は消えた。直後左目を襲う違和感と額の左側の痛み。いつの間にか謎の人物は謎の物体と共に空に浮いていて、謎の物体からは魂のようなものが見えた、モノクロの世界。


「ぁ……あ…ぁあ……」


謎の物体は数を増して黒く長い髪の人がそれに応戦している。その人が手に持っている刀で謎の物体を斬り壊すと、魂のようなものが人間のような容姿に変わり、涙を流しながら昇華された。どの謎の物体もそうだった。が、


「え……あ……ぁあぁあああぁぁああ!!」

「っ!?無事か!?」


謎の物体が爆発を起こす。魂のようなものは昇華されずに、消滅した。とてもとても苦しげに……タスケテと、涙して言った。最初に聞いた声と同じ声がして、その方角に視線を向けると謎の物体と戦っていた人。その人が私のもとへ向かってくるのを見ている途中、激痛とともに私の意識は途絶えた。



(2018.06.09)




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