セイロン島人革連南部方面軍第十四駐屯地に到着したセルゲイ・スミルノフは、基地の被害状況を確認しつつ、担当兵士に連れられ、第二格納庫へと向かった。
第二格納庫には巨大なコンテナが置かれていて、技術者達が調査をしていた。
セルゲイは「ほう」と言葉を漏らした。
ガンダムが落としていったコンテナから得た情報から考えると、独自開発という考えが一番有力だった。
そしてガンダムから放たれる光の粒子…。
(鹵獲…それしかないな)
セルゲイは内心項垂れる。
その時、一人の兵士が慌てた様子で駆けて来た。
「スミルノフ中佐」
「どうした」
「はっ、先程連絡が入りまして、ガンダムが現れたとのことです」
「場所は?」
「それが三ヶ所ありまして」
「同時行動か。どこだ?」
「南アフリカとタリビア、それと、当セイロン島第七駐屯地です!」
「使えるティエレンはあるか?私がでる」
セルゲイの科白に、兵士が驚いた顔で「中佐ご自身がですか?」と返す。
「私は自分の目で見たものしか信じん。ガンダムという機体の性能、この私が見極めてみせよう」







それから数日後、何とかミッションはクリアし、それぞれがバラバラに過ごしていた。仕事が全くといって無いおれは米国の隠れ家にいた。アレルヤ、ロックオンは南海の孤島。刹那は日本の経済特区・東京。ティエリアは宇宙へと戻っていた。
(ああ…、暇だ…)
ソファーで寝転んでいたおれはゆっくりと天井を見上げた。
真っ白で綺麗な天井。
その綺麗さに苛立ちしか感じない。
(白なんか大嫌いだ。)
思い出したくない事をたくさん思い出させるから。
おれは何もかも壊したくなるような衝動を抑える為に身体をぎゅっと丸める。
スメラギ・李・ノリエガは、おれが発狂していていることをしっかりと見抜いていたらしい。最近はガンダムで暴れる事がないように、待機命令ばっかりだった。
それが更におれを苛つかせる。
「…………………。」
一人の部屋。永遠のように感じられる沈黙。それがなんだか虚しかった。
ソファーしかない質素な部屋が、虚無感をさらに増大させる。
気分を変えようとゆっくりと立ち上がり窓から外を覗く。外でバスケットをしている子供達が目に入った。
「…………………。」
自分にも、あのように何も知らない無垢な時があったのだと、何故か泣きたくなった。


『“   ”、』


「…っ、!?」
一瞬声が聞こえた気がした。
おれは勢いよく振り返る。しかし当然誰もいない。
「…………………」
何がなんだか分からなくなり、しばらく佇むが、ゆっくり口角を上げる。「は、」と自嘲を浮かべた。


「あいつは…、死んだよ。」


言葉にしたら、身体が戦慄いた。
全て嘘だったら良いのに。
全て虚像だったら良いのに。
この悪夢から早く覚めてくれないか、と、切に願うのに。
もう、どうしようもない。

おれはマンションを出た。




2012.10.07修正



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