日もだいぶ沈みかけてきた頃。夕日を見詰めてシンを思い出す。
「そう言えば、シンは何処に居るんだろうな」
数時間程前に遅れてやって来たマクギリスに俺は問うた。
本来ならば、三人でここに来て、アルミリアをシンに紹介しようと思っていたのだが。よく考えたら俺に妹がいる事をあいつに言ってなかったからな。あ、でもマクギリスが言った可能性もあるな。
マクギリスはアルミリアの淹れた紅茶を飲みながら「さあな」と答える。
「孤児院にでも居るんじゃないか」
「そうかもしれないな…。後で訪ねてみるか。本当はアルミリアに会わせたかったんだが…」
俺も紅茶を一口。
ふと、マクギリスと目が合った。
「なんだ?マクギリス?」
「そう言えばガエリオ…、お前はシンにアルミリアの事を言ったのか?」
「アルミリア?言ってないが…。お前が言ってないなら多分知らないぞ。本当は今日紹介しようと思っていた」
「そうか…」
マクギリスは僅かに苦笑した後、ジッと紅茶を見詰めた。
紅茶に何があったのだろうか。
「何かあったのか?」と思わず問う。マクギリスは、それに意味深長に笑うと「いや…」と呟いた。
続けて、小さく、「ガエリオ…、お前は愛されてるな…」と。
「愛されてる?誰にだよ」
急に変な事言って。マクギリスは、俺の瞳をじっと見ると、「私は君と代わりたい…」と言う。
「な、なんだよ…突然…」
だいたい愛されてるってなんだ。誰にだよ。
俺の考えている事が分かったのか、マクギリスはフッと笑う。
「アルミリアの事だよ…」
「なんだよそれ…」
俺は再び紅茶に口をつけた。




2016.05.04

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