扉が開く。一歩足を踏み入れると、珍しく惺が甘いものを食べていたのが見えた。
「なんだ、ライルか」
そう呟いて再び目の前のプリンと向き合い、一口頬張る。
(…………)
妙にミスマッチなのは気のせいだろうか。
そう思った瞬間、後ろのドアが開き、刹那が入ってくる。
刹那は俺を一瞥した後、俺と同じように惺を見た。
彼の顔が一瞬にしてキョトンとなった。
「…珍しいな。お前が甘いものを食べてるなんて」
俺が先程思っていた事と全く同じ事を口にした。
「そうか?」
惺は苦笑いを浮かべる。
「ロックオンが生きてた時は結構食べてたんだが…。そう言えば最近は食べてなかったな」
惺が話しているのを聞きながら、刹那はカタンと彼女の隣に座った。
「…美味いか?」
「ああ。…食べる?」
プリンを一塊すくって刹那の前に差し出す。
(お、おい、それって…!)

―――ぱくっ、

「…美味いな」
(かっ、!)
「間接キス…!!!!!」
二人の視線が一斉に此方に向いた。
「別に間接キスで騒ぐような年じゃないだろ…」
「アンタ仮にも女だろ…!!」
「まあ…。でも刹那だし…」
「い、幾ら刹那が年下だからってな!刹那も大人の男で…!!」
「刹那ならいいかなー」
「アンタそれ冗談なのか!!?本気なのか!!?頼むから無表情はやめてくれ!!!」
惺はフッと意味深長に笑う。
「惺、もう一口欲しい」
「ん。あーん…」
「ん」
(ああああああ!!!!!)


…俺も刹那になりたかった。




2012.06.17

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