雲翻雨覆




一緒に住むようになってからもう何日も経とうとしていた。
佐吉もこちらの生活にも慣れてきたのか、不器用ながらも自らすすんで家事の手伝いをしてくれるようになった。
だが最近、変化が見られるようになった。

佐吉を褒めるために頭を撫でようとすると嫌がり、シャナを避けるようになってしまった。


『ねえ、反抗期かしら?』

「…シャナってば頭いい癖に本当に鈍感よね」


年頃の男の子の気持ちがシャナに分かるまでもなく、男の子…である雅に電話で相談したところ
ため息交じりに思いもよらない回答が返ってきた。

『それとこれと、何が関係あるっていうの?』

「…はぁ、もういいわ。そのうち嫌ってほど気付くと思うもの。佐吉くん、プライドが高いだろうからいい加減行動にうつすと思うけど」

『 ? 』

「まぁ、あたしから言えることは何言われても今までと変わらずに接してあげてってだけ。じゃあ頑張って!!」



『と、言われてもね…』

強制的に切られた電話のディスプレイを見つめ思わずため息を漏らす。






『ねえ佐吉』

こそこそ逃げようとしていた佐吉を捕まえると肩を大きく揺らした。

「!?」
『待ちなさい。一度ちゃんと話し合いましょう?』

「…」

黙ってしまった佐吉を連れ、ソファに座らせる。

『…最近、私のこと避けてない?』
「!」
『私に直すべきところがあるのなら遠慮しないで…』
「シャナになおすところなどない!!!悪いのは…俺だ」

シャナの言葉を全否定するかのように大声をあげまくし立てた佐吉に今度はシャナが驚いた。


『佐吉…?』
「…言ってしまったら、シャナにめいわくをかけてしまうと思って…だが、聞いてほしい」
『…』

佐吉は今まで以上に真面目な表情をすると、今度はシャナの目をしっかり見据え一呼吸おき口を開く。


「おれは、シャナが好きだ。」
『!』


「まだまだおれは子どもだが、いつかおとなになったらシャナをつまにしたい。」
『佐吉…」

「だから…その……」


『ふふっ…貴方が大人になって、まだ私の事が好きなら考えてあげるわ』
「!!…そう、か…有難う」







可愛い子。

大人になったら私のことなんて忘れて、若くて素敵な人と結婚するんでしょうけど…


でも今だけでもこの子を独占していたい。もう二度と会えなくなるような気がするもの









(まあいいわ。佐吉!大好きよ!!)
(!?いきなりだきつくなシャナ!!)
((ふふ…本当に可愛い子……))

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