▼Return

「ここが生徒たちの教室になります」
 
 
勝呂は絶句した、あまりの人数の多さと施設の広さに。
 
 
「…なんやこの人数…」
 
「正十字保育園は代々伝わる歴史的
 な施設です。毎年何千人もの
 親から要請が送られてきます」
 
「何千?!!」
 
「ええ、この子たちは
 その一部でしかありません」
 
 
内心感動しながらも燐がこの中でやっていけるかどうか…
 
 
「なあ、なまえなんていうん?」
 
「おれ、りん!」
 
「おれはれんぞーいうねん。
 よろしゅうな」
 
「よろしゅーな?」
 
 
心配するほどではなさそうだ。
 
もう完全に溶け込んでいっている。
 
 
「…はぁ……心臓縮むわほんま…」
 
 
隣で笑うメフィストに「心配のし過ぎだ」と一喝を入れられた。
 
 
「…で、その後はどうでした?
 燐くんの様子は」
 
「炎も出さず今まで利口に
 育ってきはりました」
 
「それは面白くない」
 
 
事実、燐は今まで一度も炎を出さなかった。
 
それでもいつ覚醒するか分からない悪夢に勝呂は頭を悩まされていた。
 
 
「…忘れてしまえばその分時は
 早く流れる。今を楽しみなさい」
 
 
説教を受けるつもりは毛頭ないので時計に目を向ければ登校時間を指していた。
 
 
「あ、あかん!失礼します!」
 
「おや?何か用事でも?」
 
「学校です!!
 ほな、また迎えに来ますんで!」
 
 
帰り際に振り向く燐を見て大きく行ってきますの手を振った。
 
>Return is about what time?
(御帰りは何時頃で?) End


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