女兎が啼く | ナノ
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『うわあああああん!!』


午後三時。
フラフラと万事屋へ帰ってきた名前は一目散にソファへ倒れ込んだ。うつ伏せで顔は見えないが泣いているようだ。うぅ、と消え入りそうな声を漏らす名前の姿に銀時達はただただ釈然とした。


『なんで…!もう私の居場所は何処なんだ…!』

「えー…?おまえ何してんの?つーかドコ行ってたわけ?てかなんか大量に着物が届いたんだけど、お前の?」

『……私のです。すみません後で見ます…』

「で?何があったの?」

『……これを話すには沢山の時間が必要です。もう知らん、今日はとりあえず閉じこもる…』


冷めた声でそう言い放つと、名前は神楽がいつも寝ている押し入れにモゾモゾとした動きで入って行った。残された銀時達は呆気に取られているのか、動きを止めてその様子を見ていた。三人は顔を合わせた後、声を潜めて話し出した。


「…アイツ何があったんだ?」

「すっごい放心状態ですね…昨日何があったんですかね」

「きっと悪い男に騙されて食われちゃったアル。銀ちゃんみたいな」

「なにアッサリ俺の名前出してんの?神楽さん。俺そんなことしないからホントだから」

「と言いつつも銀さん汗ダラダラですよ。なに焦ってんですか、まさか本当に」

「違えって!だけどまァ神楽の言ったことは少なからず有り得る。あいつが自分から話すまでソッとしとくよーに!」

「「はーい」」


新八と神楽が声を合わせて賛同したその時、ガラガラと玄関の戸が開く音が聞こえた。三人の前に現れたのは、澄ました顔でいる沖田総悟だった。


「あら、旦那たちお揃いですかィ」

「なッ…もしかしてテメェが名前をあんな目に!?神楽ちゃん懲らしめてやりなさい!」

「ラジャー!こんの薄ら黄色頭税金泥棒野郎!こてんぱんにしてやるネ!」

「ん?何のことでィ旦那」

「とぼけんじゃねえ!分かってんだぞ、お前が昨日名前を夜からずっと連れ回していた事を!なにエロいことやったのか知んねーが、覚悟できてんだろうな…?」


ポキポキと骨の音を鳴らしながら銀時は沖田に近付く。正に鬼の顔そのものだ。だが、沖田はなに食わぬ顔で平然と返事を返すだけ。



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