女兎が啼く | ナノ
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淫乱娘多数







『あ…なんかいっぱい来てる。』


着物を扱っている店内で思わずそう呟いたのは名前。万事屋で昼飯を食べ、少し雑談をしていたら五時になっており、急いで服を調達しに来たのだ。携帯の着信履歴とメールの履歴を見てみれば、百件以上の連絡が来ていた。そしてその相手は知っている人物。

名前は急いでその人に電話をかけた。コール音は3つほど鳴って、その相手は出た。


『もしもしっ…!団長、すいません無視していた訳じゃないんです…!』

《へえ〜本当に?俺言ったよね。頑張ってこれでも抑えて一日に五回は連絡するって》

『いやよくよく考えれば多過ぎでは…。いや、すいません何でもありませんスイマセンでした』

《次出なかったら分かってるよね?》

『…はい、分かっていますとも。あ、いやでも団長…せめて一日一回でお願いします。ちょっとそんなに出れませんので…』

《…えー。じゃあ気付いたら出てね》

『分かりました。必ず出ます』

《うん。てか名前、一つ聞きたいんだけど》

『はい、何でしょうか』


並べられている着物を見ながら返事を返すと、次の返答で名前の動きは固まった。


《何回襲われた?》

『…はい?』

《何回襲われた?》

『えっと、仰る意味が分かりませんが…』

《どうせ名前の事だから襲われてるンだろうなぁと思って。エロいし可愛いし紀欄だし》

『…えーっと…特にそんなされてませんよ』

《本当に?》

『え…本当です』

《名前、正直に言わないと殺すよ》

『え…いや、そんな、ね?されてないですよ』

《…名前、死にたいの?》

『……三回です』


名前は苦い顔で白状すると、神威はそれに反応する事もなく尋ねる。


《最高で何処まで?》

『…ナカに指を二本まで』

《うわー結構ヤられちゃってんじゃん。アホなの?お前》

『…不甲斐ないです』

《じゃあ名前が帰ってきた時に三発連続でヤるから。ヨロシク》

『え!? 何でそうなるんですか!』

《じゃあそういう事で》


ピッ、と無理やり電話を切られ、名前は納得できない顔で携帯をしまった。はあ、うちの上司はロクなのいないな...。
そう溜息をつきながら、名前は着物に目をやった。


『まぁいいや。着物着物…うーんどうしよう…どれが似合うのか…』


一着一着見るが何が似合うのか分からず、悩みながら眺めていると、一人の男が目に入った。


『あ…副長さーん!』

「あ?…お前昨日の…!」

『昨日ぶりです。えーと…お名前何でしたっけ?』

「…土方十四郎だ」

『土方さん。なるほど、分かりました。今ヒマですか?』

「は?」

『着物買わなくちゃいけないんですけど、何が似合うのか分からなくて…。もし良ければ選んでください!』

「や、別にいいけどよ…。 俺でいいのか?」

『ええ、全然大丈夫です』


土方は名前に手を引っ張られ、女物の着物屋に入る。名前は嬉しそうに土方に話しかける。


『どうですかね?なんか適当でいいんで、選んで貰えますか?』

「適当って…選ぶんなら真剣に選べよ」

『いや私五着買うんで。真剣とかどうでもいいんですよ、着れればいいんです』

「五着!? 随分と豪勢な買い物するなお前…」

『ちょっと地球に来たばかりで服がなくて…。エヘ』

「エヘって…。…お前の好みじゃなくても文句言うなよ」

『フフッ、言いませんよ』


名前は土方に対し可愛らしく微笑んだ。



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