女兎が啼く | ナノ
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『マジ!? おお、有難う!アイツは本当にタチが悪すぎる。手錠嵌められたのもアイツのせいだしね!』

「あぁそういえば手錠、今日外して貰えんのか?」

『えー...うん、多分...今日外して貰える…かも?』

「いやでも危ねえかもな。手錠外してやる代わりに真選組で働けとか抜かすぜありゃあ」


銀時の発言に名前は顔を青ざめる。
沖田がそう言ってくる可能性はかなり高い。けれど手錠が...。
銀時に『じゃあどうすれば...?』と聞くと、銀時は頭を掻きながら答えた。


「...まあ、とりあえず今日は家に居ろ。その格好じゃ、外出れねーしな」

『あぁ確かにね…。あ、ねえ、そこで倒れてる人は?誰?』


名前は先程から倒れている少年を指さした。


「あぁこいつ?昨日居なかったガキの方」

「…っ!童貞にはキツイですけど、この刺激耐えてみせます!万事屋一のツッコミ役!志村新八です!よろしくお願いしまァす!!」

『新八君?よろしくー!私は名前。暫く万事屋にお世話になります!...あ、そういえば、銀ちゃん。何か下履く物ない…?』

「ああ、お前ェ下何も履いてねーんだっけ」

「は、履いてない!?」

『いや…。まぁそこは気にしないで…!ていうかみんな、見るな…!』


名前は下が見えないよう、スウェットをぐっと伸ばす。恥ずかしそうに顔を赤らめる名前と、その名前の胸元を見ながら、にやりと銀時は笑う。


「名前名前。胸見えてる」

『っ!いや!』

「てゆーか、名前ほんとに胸でかいアルな。私の理想のボンキュボンネ。何食ったら、そうなるネ!?」

『いや別にそんな…いや、ちょっ見ないで』

「確実にDはあるな。いやEか?名前の胸は正に男のロマンだしな!」

『銀ちゃんそんなに見ないでって...!』

「おーそうだな。思春期まっ最中のガキがいるしな。続きはまた今度な」

「「いや黙れクソ天パ!!!!!!!!! 」」

「痛ッて!!」


神楽と新八が揃って銀時の頭を叩き、そこで話は終わった。
神楽は昨晩部屋の隅で縮こまった定春(こんなデカイ犬初めて見た。具合が悪かったらしい)を病院へ連れて行って、そのまま一緒に銀時と新八と同行し、仕事の依頼に向かった。
残された名前は外出することなく、家に閉じこもる事になった。

大丈夫、ちゃんと鍵締めてりゃあ、多分来ねェし。手錠の事は明日知り合いに頼んで取ってもらうからよ。それまで我慢してくれ。

名前はそう言った銀時の言う事に従うことにした。それが一番最善だと思ったからだ。

適当に朝ご飯を作って貰い、気が付けば十一時を過ぎていた。銀時の寝室の布団を仕舞おうとした時、たっぷり寝た筈なのに再び眠気が襲った。

少しだ、少しの間、眠らせてもらおう。

壁にもたれるようにして、名前は眠りに落ちた。



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