女兎が啼く | ナノ
どきどきっ手錠生活の始まり!?←
「こんの腐れ天パァァァ!!! 私を置いて何時まで飲んでるアルかァァァァ!!!」
「ウベラッッ!!!」
戸を開けた瞬間に、耳に響いた怒号が聞こえた。銀ちゃんを蹴り飛ばした少女はオレンジ色の髪で幼い可愛らしい顔をしている。
「? 誰アルかこの風俗嬢みたいな女。何で手錠?」
『ふ、風俗嬢…。』
「まぁあながち間違ってねえよな。神楽、こいつは名前。なんか住む所無いらしいから暫く面倒見ることにした。仲良くしてやれよ」
「ハァアア?二人で生活費カスカスなのに女?何考えてるアルか銀ちゃん!早く元の場所に返してきなさい!」
「こいつ料理上手いから」
「よろしくネ名前」
ちょろいなこの娘!!
私は求められた握手に応じると、そのまま何も無かったように部屋へ戻っていた。
銀ちゃんも欠伸をしながら部屋に入っていったので、私も着いて行った。
部屋の中に入れば、緑色のソファと大きな机、テレビがあった。ソファに座っている神楽ちゃんの横に腰を下ろして、私もテレビを見ることにした。
ぼーっとテレビを見る時間が数十分過ぎた後、神楽ちゃんを見ると、ある人に似ていることに気付いた。
ーー団長そっくりだ。
髪の色から目の色、顔の白さ、全てがそっくりだった。団長って妹居たっけ?と、頭の中で思い出してみるが聞いたことはない。
だが、気になったので本人に聞くことにした。
『ねぇ神楽ちゃん。神楽ちゃんって兄妹いる?』
「は?いきなり何アルか」
『いやなんとなく。いる?』
「…馬鹿アニキがいるアル。ずっと会ってないけどな」
『あ、やっぱり…。へー…。…じゃあ神楽ちゃんも夜兎なの?』
「そうアルけど…もって…」
『いや…何ていうかさ、実は私も夜兎なんだよね』
えっ、と神楽ちゃんと銀ちゃんが目を丸くして驚いた。あれ、銀ちゃんいつの間にお風呂入ってたの。
「え…?名前って夜兎なの…?夜兎と紀欄のハーフなの!?」
『こ、コラァ銀ちゃん声が大きいよ!そして紀欄の事は言うな!紀欄じゃない地球人だ!というわけで普通の人間と夜兎のハーフなの、私』
にっこりと笑って言えば、とても耳が良いこの娘はある単語について尋ねやがった。
「紀蘭って何アルか?」
『…いやなに、紀蘭って。神楽ちゃんお風呂に入った方がいいよ』
「銀ちゃん紀蘭って何アルか?」
「えーなんか女の種族だよ。可愛くてやらしーお姉さんがたくさんいるトコ」
「ボンキュッボンの女ばっかりアルか!?」
「そーそー。名前もボンキュッボンだろ?」
『っておい触るな。コラ』
腰に手を回す銀ちゃんの手を軽く払うと、神楽ちゃんはソファから立ち上がって言った。
「じゃあ名前一緒に風呂入るアル!」
『えっいきなり?別にいいけど』
「ええええええ!? 待っ神楽ちゃんズリィ!待て、俺も入りたい!!!」
『いや銀ちゃん待てそれはキモイ』
「本当アル。気色悪い、私達の半径10メートル以内に入らないで」
「もうそれほぼ家の中に居れねェじゃねーか!いや、じゃあ神楽。そんな名前の体触んじゃねーぞ。触ったせいでもしかしたら名前が」
『銀ちゃん早く寝てきた方がいいよ。風呂とか入らなくていいからちょっと消えて』
「怖ッ!冗談だろーが!」
銀ちゃんに暴言を吐き終えると、さっさと行ってしまった神楽ちゃんに着いて行った。
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