女兎が啼く | ナノ
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『うーん...なんか今度こそ逃げたらヤバそうなんですよね...あの栗男人間としての尊厳を失ってる奴なんで...』

[...マジかよ。...今日じゃなくてイイから、明日くらいに隙を見て逃げろ。てか、待て、お前自分の家は?]

『ああ、今は勾狼さんが住んでます』

[だ、か、ら!意味が分からねぇ!地球で何が起きてんだ今!!]

『すいません、そこはまた話します...!とりあえず、そっちに近い内に帰ればいいですか?』

[あァ...。偵察はしなくてい...]


阿伏兎は言葉の途中、あることに気付いた。......そうだ、名前を利用しよう。


[おい名前]

『……何ですか』

[お前暫く真選組に居て、鬼兵隊のことどんだけ知ってるか偵察しろ]

『え...マジですか?そんな難しい役出来ませんよ私』

[出来る出来る。お前なら...]

「おい、名前。何やってんでィ」

『あぁ栗男...いや、はい、大丈夫です』

「栗男...?何が?」

『っじゃあ切りますねッ』

[ああ、上手くやれよ]


名前はサッと電話を切って、後ろにいる沖田ににっこりと微笑む。沖田は怪訝そうな顔をした。


「何でィ。誰に電話してた?」

『いえ、別に。さあ、仕事しましょう。何の仕事すればいいのかな?私』

「あァ...。何だッけ。とりあえず近藤さんに挨拶しろ、おまえ」

『あ、うん。近藤さんってあのゴリラ?』

「そうそう」


沖田に「お前言うようになったな」と言われ、名前は『ヤケクソですよ』と返事を返す。


『いつでもクビにしていいですよ』

「ははッ、しねェよ馬鹿。寧ろ止めさせるわけねェ」

『......沖田...じゃなくて、総悟。何でそんなにも総悟は私を働かせたいの?なに?人手不足なの?』

「...は?」


名前の質問に、沖田は目を丸くした。え...何言ってんだ、こいつ。アホなのか?


「おまえッて恋愛したことある?」

『え?恋愛?うーん...ないね!恋愛はよく分かんない!』


満面の笑みで答える名前に、沖田ははあ、とため息を吐く。こんなにも積極的にしてやってんのに、馬鹿かこいつ。天然痴女だな、ほんと。


「名前、今晩覚えてろ」

『嫌ですよ!!』


ーー続く。



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