40万打部屋 | ナノ

いつかの願望

「マルコさーん!」
「はいはい…」


いつもの夜と変わりなく、名前はマルコに甘えるように抱きついた。
呆れながらも飛びついてくる名前をしっかり受け止め、頬を擦りよせる名前を見てフッと口元に笑みを浮かべる。
腰に腕を回し、少し力を入れると、名前が気づいて同じくマルコの首に腕を回してまるで猫のように喉を鳴らして甘えた。


「酒飲みすぎだい」
「マルコさん好きぃ!マルコさんだーい好きー!」
「酎ハイだからってゴクゴク飲みやがって…」
「いつもマルコさんに恋してるんですー。何でこんなに格好いいんだろ?ああ、マルコさんだからか!アハハハハハ!」
「……面倒くせェよい…」


甘えてくる名前は可愛いと思う。
だから抱きついてきたら抱きしめ返すし、頬にキスをしてきた名前にお返しのキスもしてあげる。
すると余計テンションがあがってキャアキャアと騒ぎだす。


「お前は女子高生かよい」
「……好きなんですか?」
「誰もそんなこと言ってねェだろい」
「わっかりましたァ!名前、女子高生に戻ってきます!」


勢いよくマルコから離れ、フラつく足取りで普段は使わない仕事部屋へと入って行った。
仕事部屋はその名の通りマルコが時々持ち帰った仕事をする部屋だが、少しだけ名前の私物があったりする。
いくら結婚しているからと言って、夫婦にもプライベートはある。
だから名前の持ってきた荷物や私物は触らないようにしていた。
のだが、


「えへへー!久しぶりに着ちゃいましたー!」


まさか昔着ていた制服があるとは思ってもみなかった。
何年かぶりに着た制服に名前はご機嫌のようだが、マルコは一度目をこすって、現実逃避するように項垂(うなだ)れた。


「サイズも変わってなーい!私すごーい!」
「おい名前…。あんま動き回るな…」
「マルコさーん!どうですか?大好きな女子こーせーですよー!」
「誰が大好きだなんて言った」


言った覚えなんてないのに、何を言うんだこの女は。
怒りで口元をヒクヒクさせながら睨みつけると、名前はマルコの視線に気づいてジッとマルコを見つめる。


「パンツ見たいんですか?」
「殴るぞテメェ」
「じゃあいきますねー」


膝上にあったスカートの裾を掴み、ゆっくりたくしあげていく。
ゆっくり上がっていくスカートが妙に官能的で、思わず突っ込む言葉も失ってしまったマルコ。
太ももも見え、さあ次はパンツだ!


「恥ずかしいのでここまででーす!」
「なっ…!」


その一歩手前でスカートから手を離した。
最初の状態に戻った名前に、思わず本音が漏れてしまったマルコは慌てて口に手を当てる。
酔っぱらっているので名前は気づいていないが、何もなかったように一人で笑っている名前を見ると無性にイライラしてしまう。(ただの逆恨みとも言う)
よく解らないダンスを踊っている名前の腕を掴むと、さほど力を入れていないのに名前が簡単に転んでしまった。


「ったァ…」
「おい名前!隠せ!」


四つん這いになって起き上がる名前を見て、マルコが声をあげた。
転んだせいでスカートがめくれ、パンツが丸見え。
いや、確かに見たかったが、いきなりは心臓に悪いっていうか、なんというか…。
心の中で呟きながら名前を急いで起こすと、そのままの勢いで抱きついてきた。


「おい、何してんだい」
「……」
「…大丈夫かい?」
「えっち」


どうやら今さっきの事故で少しだけ理性を取り戻したらしい。
顔を赤く染めた名前に、また言葉を失ってしまう。
ちゃんと成人しているのだが、悪いことをしているようで何て声をかけていいかも解らない。
いや、昔はその女子高生と結婚してたじゃねェか。
昔を思い出そうとしばらくの間黙っていると、腕の中で名前が震えだす。
もしかして黙っているのを怒っていると勘違いして泣いているのかと思ったが、


「マルコさんエッチー!女子こーせーに手ー出してるなんて犯罪ですよォ!」


笑っていた。それはもう楽しそうに。
目に涙を浮かべながらケラケラ笑う名前を見て、額に青筋が一つできたマルコ。


「よーし、覚悟はできてんだろうな」
「ヤるんですか?」
「……珍しくヤる気じゃねェか。どうした、頭でも打ったのかい?俺は嬉しいがねい」
「制服を汚したいってマルコさん言ってましたよね?卒業したし構いませんよー!」
「言ったな?その余裕がいつまでもつか楽しみだよい」


そう言いながら片方の手をスカートに突っ込み、太ももを撫でると名前はビクリと震え、だけど今日は珍しく笑って余裕を見せた。
昔、制服プレイをしてみたいと言ったが、制服がこれしかないから汚すこともできないでいた。
卒業してからは毎日が忙しく、すっかり忘れていたのに、これだ。
どうやって遊ぼうか、どうやって喜ばそうか思考だけはこの先の展開を考えていたのだが、


「んあー…」
「…おい名前」
「ね、…む…………」


散々騒いだ名前は寝てしまった。
マルコに身体を預け、幸せそうに眠っている名前を見て、この欲望をどうしたらいいかしばらくの間立ちつくすマルコ。


「……明日は覚悟しろよい…!」


明日は休みだ。
きっと今晩のことは覚えてないだろうが、朝だろうが、そんなこと関係ない。
制服を着させたままベットへ運び、自分も無理やり眠りについたのだった。





ひなたさんへ。



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