40万打部屋 | ナノ

夫婦、それぞれ1

!注意!
エース、サボ、マルコの三人が出てます。
妊娠ネタなので苦手な方は注意して下さい。





「子供ができました」


愛する人との間にできた命。
お腹に手を添えながら少しはにかんで言うと、旦那様はこんな反応をしてくれました。



1.エースくんちの場合。


「エース、子供ができたの!」
「……は?」


日曜の午後。
特にやることもなく、ソファでぼんやり過ごしていたエースの隣に座り、笑顔でそう言うと間を置いてすっとんけな声をもらした。
くわえていた煎餅を床に落としたので、拾って口に戻してあげるとそのまま力強く抱きしめらる。


「ま、マジで?」
「えへ」
「マジかあああ!すっげェ、すっげェよ名前!」
「エース、苦しいよ」
「あ、悪ィ!」


息ができないほど抱きしめられて苦しかったので背中を叩くと慌てて離れてくれた。
何度も謝りながら心配してくれるエースに、私は笑うことしかできない。
エースの幸せそうな笑顔に、私まで幸せな気分になってしまう。
エースは嘘がつけないから人間だから、本当に嬉しいだと実感する。


「俺と名前の子供だよな!?うわー…なんて言ったらいいか解んねェけど、……へへっ、幸せだな!」


お腹を圧迫しないよう気をつけながら、今度は優しく抱きしめる。いつも強引なのに珍しい。
まるで自分のことかのように喜んでくれるエースだったけど、何も喋らない私に不思議に思い離れる。
せっかく喜んでくれてるのにごめんね?


「どうした?」
「……ごめんね、嘘なの」
「……は?」


最初と同じ反応をするエースに、私は「あはは」と笑って誤魔化した。
そう、嘘なんです。たまには驚かせたいなって思って、嘘ついちゃいました。


「本当はできてないの。……ただ、ちょっと言いたくなっただけで…」
「な…、なんだ、嘘か…」
「ごめんねエース!でもエースが喜んでくれてすっごく嬉しい!」
「あったり前だろ!俺と名前の子供だぞ?嬉しいに決まってる!」
「エース…。うん、私も嬉しい!」
「もし本当にできたら言うんだぞ。俺がしっかり守ってやるからな!」
「じゃあ私はしっかり赤ちゃん守るね!」
「おう!」


お互い笑い合って今日は私からエースに抱きつく。
珍しく積極的な私にエースは幸せの笑みがこぼれ、いつもより優しく抱きしめてくれた。





2.サボくんちの場合。


「……」
「名前、どうしたの?」


いつもの夕食なら、今日あったことの報告や、ちょっとした愚痴などを話して盛り上がる。
だけど今日は静かにご飯を口に運び、時々様子を窺うようにサボくんを見る。
サボくんは私の何かを察してくれたようで(いつもと違うもんね)、不思議そうな顔で私を見ていた。
このタイミングで言っていいのだろうか…。
もし嘘だとバレたら怒るんじゃないだろうか…。
そのあとのことも考えると、手が小さく震えた。


「あ、あのねサボくん…」
「うん」


「サボくんの驚く顔が見たい」とエースくんのお嫁さんに相談したら、面白い悪戯を考えてくれた。
さすがエースくんのお嫁さんとだけあって、嘘か本気か解りにくい。
ご飯が入った茶碗を置いて、真っすぐサボくんを見つめる。よし、言うぞ!


「……赤ちゃん、できちゃいました」


小声だったけど、静かな部屋には十分すぎる声量。
怖くなって俯いたが、サボくんが何も喋らないので不安になって様子を窺うと、大して驚いた顔をしてなかった。
嘘だけど…。だけどもっと驚いてくれるかと思った。嬉しくない、とか…?


「サボくん、嬉し「嘘だろ」……え?」
「名前のことなら全部知ってるよ」


箸を置いて、ペラペラと喋り出すサボくんに私の開いた口が塞がらない。
何で私の生理日とか知ってるの!?
何で男の人なのに排卵日とか知ってるの?!


「な、何で…」
「何で?勿論、ちゃんと計算してるからね」


ニッコリと笑い、またご飯を口に運ぶサボくんに、乾いた笑いしか出てこなかった。





3.マルコさんちの場合



「マルコさん、ニュースです。大ニュース!」
「くだんねェこと言ったらアイアンクローな」
「お嫁さん相手に酷い!でもそういうとこも好きッ!」
「本当にしてやろうかい?」
「赤ちゃんできましたー!」


ソファで小説を読んでいたマルコさんの隣に座り、マルコさんの腕に自分の腕を絡ませる。
赤ちゃんができたなんて嘘。
勿論欲しいなって思うけど、そんな兆しは一向にない。
今さっきから小説ばかり読んで、全く相手にしてくれないマルコさん。
暇だから、構ってほしいからつい嘘をついてしまった。


「……」
「あれ?」


でもマルコさんのことだから、きっと嘘だって解るはず。
んでそのあと「何バカなこと言ってんだい」って言いながら私の頭をグシャグシャにする。
怒られるけど、構ってくれないよりマシ!
でもマルコさんは何も喋らない。動きもしない。


「マルコさん?」
「何週間だい?」
「え!?え、…えっと…。まだ病院に行ってないから詳しくは…」
「明日行くよい。……夜間でも受け付けてる病院は…なかったよな」


……信じてる!?
やばいよ、本気で信じてるよ。どうしよう!


「明日は休め。連絡は俺に任せろい」
「あ、あの「気分は大丈夫かい?あんま無理はすんなよい」


頭を撫で、頬に手を添えて優しく微笑むマルコさん。
貴重なマルコさんのデレに思わず胸がキュンって鳴ったけど、嘘ってバレたらどうしよう…!
…いや、言わないと!嘘です、ごめんなさい。って。今ならまだ早い!


「マルコさん、実は「名前は何がいい?」


気が早いよ!
思わずツッコミそうになったのを飲み込む。
表情にはあんまり出てないけど、凄く喜んでいるのが解る。
解るからこそ、罪悪感が…!


「ガキができるとなるとマンションじゃあ暮らし辛いな…。一軒家に引っ越すしかねェな。どこがいい?」
「………っうわあああああ!マルコさんごめんなさいッ!嘘ですッ!」
「……嘘?」
「嘘なんです!赤ちゃんできてません!」


うわーん!と泣きながらマルコさんに抱きつく。
絶対怒られる!だけど今ここで言っとかないと取り返しのつかないことになる感じがした!


「マルコさんが構ってくれないから嘘ついちゃったんです!ごめんなさい!本当にごめんなさい!」
「……」


きっと「テメェ!」って怒られると思っていた。
だけどいつまで経ってもマルコさんは私を引き離そうとも、声を荒(あら)げることもしない。
静かなマルコさんにビクビクしながら、そおっと顔を覗き見ると、


「…マルコさん…?」
「こ、こっち見んじゃねェよい…!」


少しだけ頬を染めていた。
名前を呼ぶと恥ずかしそうに顔を背け、そこでようやく私を引き離した。


「…ま、マルコさんが照れてる!?」
「うるせェよい!」


あのマルコさんがッ…!クールで格好いいマルコさんが照れるなんて!
う、わああああ!どうしよう、マルコさんが可愛い!きゅんきゅんする!


「マルコさん可愛い!」
「だからっ…。こっち見んじゃねェよい!」
「こんなマルコさんこの先絶対見れない!あーん、マルコさん逃げないで下さいよー!」
「今日は一人で寝る!」


大股で部屋に戻り、力強くドアを閉めて鍵もかけられた!
ひ、一人で寝るのやだ!


「マルコさーん、嘘ついてごめんなさい!だから一緒に寝ましょうよォ!」
「断る!それと、今さっきのことは忘れろい!」
「えー!?」
「じゃなかったら一週間口はおろか、目も合わさねェよいッ…!」


ドア越しから滲みでる本気のオーラに、私の喉がゴクリと鳴る。本気だッ!


「可愛かったのに…」


これ以上怒らせたくないので肩を落としながらソファに戻り、寝転ぶ。
部屋では顔を熱くさせたマルコさんが何度も深い溜息をはいていたのだった。





佐倉さんへ。
どうせならと思ってサボとマルコも出しちゃいました、すみません…。



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