40万打部屋 | ナノ

嫁、頑張りました。…?

「うーん…」
「どうしたの名前。眉間にしわ寄せちゃって」
「あ、サボくんお帰り!」
「ただいま」


お昼休憩中。ご飯を食べながらある雑誌を見ていた。
いつの間にか寄っていた眉間のしわを伸ばしながら、営業から帰ってきたサボくんに笑顔を向ける。
あ、エースくんは一緒じゃないんだ。


「何見てんだ?」
「下着」
「…。そう」


無言で瞬きをしたあと、目を反らしてお弁当を広げるサボくん。今日も大きいし、たっぷりお肉が入ってるね。
それで太らないから凄いよね。エースくんは食べる分全部筋肉になってるけど、サボくんはどうなんだろう?
着やせするタイプなのかな?実はマルコさんもそうなんだよね!脱いだら筋肉が凄いんだよ!


「で、何でそれ見てんの?」
「聞いてよサボくん!」


しかし、最近その筋肉を見ていない。……ようするに、してない。
もしかして私に魅力がなくなったのかな?
そう思って、色々考えてみた。


「可愛い下着をつけたら嬉しいかなーって…」
「名前は頑張りやだけど、時々突っ走っちゃうよね」
「え?」
「何でもないよ」
「それでね、今日下着買いに行こうと思うんだけど、サボくん付き合ってくれない!?」
「えー…」


早く帰りたいんですけど。と顔に書いてあるけど、男の人の意見も聞きたいじゃない!
そう力説すると、サボくんは箸を止め、「うーん…」と唸る。


「そうだな、うん、それもありだな」
「何が?」
「いいよ、付き合ってあげる」
「ほんと!?ありがとう、サボくん!」


と言うわけで、今日はサボくんと一緒にあがることにした。
エースくんは報告書が終わらないので残業中。
マルコさんは遅くなるって言ってたから、ちょっと遅くなっても大丈夫。


「あ、でも男の人がそう言うお店に入るのって嫌じゃない?」
「え、何で?」
「な…何で?」
「俺一人だったら入れないけど、名前と一緒だったら堂々と入れるから嫌じゃないよ」


アハハ。と笑うサボくん。
爽やかに笑っているけど、堂々とエロ発言してるの気づいてないのかな?


「よし、どれを買おうか!」
「張り切ってるなー」


女性の下着のみを扱うお店に到着しました。
店員さんは勿論、お客さんも女の人しかおらず、それだけで入店するのに躊躇ってしまうのに、サボくんは私より先にお店に入った。
……堂々としてるなー…。
って関心してる場合じゃなく、早く可愛い、そしてエロチックな下着を買わなければ!


「どんなのがいいだろー…。サボくん、マルコさんどんなのが好きかなー」
「さあ?俺はマルコさんじゃないから解んねェよ」
「じゃあサボくんはどんなのが好き?」
「俺は清純派かな。それを汚すのがたまらく興奮する」


笑うサボくんの後ろに、何か黒いものが見えたので「そう」とだけ答えて少し離れました。


「Tバックはちょっとなー…。ないな。うん、ない」


お店にある下着をとにかく漁って、自分が穿いた姿を想像するけど、どれもしっくりこない。
ていうかね、多分私にはエロチックな下着は似合わない気がするんだよ…。
でも、マルコさんの為だ!頑張ろう!


「あ、これ可愛い…」
「ああ、紐パン?」


手に取ったのはフリルのついた紐パン。
可愛いのにエロチック。まさに理想のパンツだ…!
Tバックは無理だけど、これぐらいなら頑張れそうな気がするっ…。


「サボくん、私これ買うよ!」
「じゃあついでにお揃いの上も買わないとな」
「そうだね!」
「あとこれも一緒に買ってきて」
「……サボくんが「着るわけねェだろ」


サボくんに渡された下着と、自分が買う下着を持ってレジに向かって会計を終わらせる。
お店前でサボくんに渡し、その場で別れる。
サボくん楽しそうだったな…。きっとあれ今夜穿いてもらうんだろな…。お嫁さんなんか可哀想…。エロ全開になったサボくんは手が負えないよ。


「ただいまー」


早足で帰宅し、すぐに夕飯の準備に取り掛かる。
下着は…。お風呂あがってからつけよう!
下着を洗面所のバレない場所に隠し、あとはマルコさんが帰ってくるのを待つばかり。
今日は休み前だから遅い。
休日出勤をしないですむよう、夜遅くまで頑張っているんです。
せっかくの休日だから、私とラブラブするから頑張っているんです。
冷たいことを言うマルコさんだけど、ちゃんとそう言うの解ってますよ!


「ただいま」
「お帰りなさいマルコさん!」


やっぱり夜遅くに帰宅した。
疲れたマルコさんも格好いいです!と迎えると、「はいはい」と適当に流しながら前髪とクシャッと撫でてくれた。
たったそれだけの仕草なのに何でこんなにもキュンキュンするんだろう…!


「ご飯食べますか?」
「悪い、食ってきた」
「そうですか…。じゃあお風呂入りますか?」
「ああ」


スーツを受け取り、シャツを脱ぎながらお風呂へと向かう。
…バレないよね?先に入っとけばよかったかな…。不安になってきた。

………って言うかね。ああいう下着を買ったのはいいんだけど、どうすればいいの!?(ほんと今更だけど、あのときは「買うしかない!」って思ってた)
お風呂からあがって、それを穿くのはいいが、今日は……す、するんでしょうかっ…。
もししなかったから?そして可愛くない下着のときに限ってしたら?
それじゃあダメだ!また幻滅させてしまう!だから今日!そう、今日したい!
…いや、違う。別にそんなガンガンヤりたいわけじゃない。なにこの体育会系なノリ…。
あの下着をつけてるときにしたいわけであって…。み、見てもらいたわけであって…。


「誘惑…」


見てもらいたいのであれば、自分から積極的にいくしかないっ…!
前回の「彼シャツ作戦」では(恥ずかしさのあまり)失敗してしまったが、今回こそ…!


「名前、風呂空いたよい」
「はい!」


そう言えば、マルコさんは私が先に入るのを嫌がる。
なんでも、「名前のあとは汚い」そうです…。
子供じゃないんだから湯船で暴れないし、オモチャも持って入らない。
先に入る場合も、ちゃんと綺麗にして上がっている。
それなのに何でだろう…。


「さて…」


そんなことを考えながら湯船に浸かり、身体も頭も念入りに洗う。
い、意識したら妙に緊張してきたぞ…!
隠していた下着を取り出し、目の前で広げる。……やっぱり恥ずかしい!
しかしいい加減早く出ないと、また心配をしたマルコさんがやってくる。
今日は私から攻めるんだ…!大人な私をお披露目だー!


「違和感…」


穿いてみたのはいいが、どうにも居心地が悪い…。
紐解けないかな?それが心配だ…。
パジャマに着替え、居間に向かうとマルコさんがソファから顔を覗かせる。


「遅かったな」
「そ、それは…」
「…どうした?湯船に浸かりすぎたのかい?」


顔が赤いよい。と言われ、ソファに近づいた私の頬を触る。
たったそれだけのことなのに、熱が一気に頭まで上がった。
どうした私!せっかくマルコさんが心配してくれたのに、恥ずかしがってる場合じゃないぞ!


「え、あ、あの…いや、何でも…」
「そうは見えねェがな」
「そう、ですか…?え、えっと…あの私、どうしたんだろう…、ははっ…」


と、気張ったものの、マルコさんの顔を見ると少し距離を取り、言葉を濁してしまった…。ヘタレすぎるよ自分…。
紐パン。誘う。エロい私。これからヤる。
その言葉が脳内をグルグル回り、そのせいでうまく言葉が喋れない。
無意識に紐がずれてないか服の上から触っていると、マルコさんが首を傾げながら「腰がどうかしたのかい?」と聞いてきた。
いや、腰じゃなくて紐が気になって…。
なんて言えるわけない!
でもこれで終わってしまうのは情けない…。せっかく紐パンを買ったんだ。今攻めなくどうする!


「マルコさんッ!」


名前を呼ぶとともに抱きつき、ソファに押し倒す。
マルコさんに跨り、ドキドキとうるさい心臓を抑えながら締めたはずのボタンを上から外す。
マルコさんはいきなりのことに驚き、言葉を失っている。


「……ちょ、ちょっと待て!」


だけど私の行動を見たマルコさんは手を掴み、声をあげた。


「何してんだい名前!」
「何って…」
「風邪でも引いたのかい?それとも頭打ったとか…」
「ち、違います!ただ…、最近マルコさんが触ってくれないから…」


ああもう!こんな恥ずかしいこと言わせないで下さいよ!
掴まれた手を振りほどき、マルコさんにキスをする。
自分からすることなんてないから、どうやったらいいかよく解らない。
いつもマルコさんにしてもらってることを思い出しながらするが…。


「(恥ずかしい!)」


私は下手くそで不器用で子供ですよ!だからできるわけがない!
それに、こういうのは男性からするもんなんだよ!自分からしといてあれだけど。
泣きたくなって唇を離すと、背中を強い力で抱きしめられ、また唇を重ねた。
驚きのあまりなんか変な声が出た!
恥ずかしくて目を瞑っていたけど恐る恐る開けると、楽しそうに笑っているマルコさんが視界に入って、背中に寒気が走った。
背中に回された手を服の中に侵入させ、お腹を優しく触る。
くすぐったくて、気持ち悪くて眉をしかめるとようやく唇を解放してくれた。


「ふっ…ハァ…。……いきなり何するんですかっ」
「誘ってるんだろい?」
「…え?」
「こんな下着までつけて」


私が押し倒しているというのに、マルコさんは余裕な笑みを浮かべ、視線を私の下半身に向けた。
私も一緒になって自分の下半身を見ると、少しだけ脱がされ、パンツが見えていた!いつの間に!


「こ、これはっ…!」
「これは?」
「ううっ…!」


リボン結びをしている紐に指を絡ませ、楽しそうに笑うマルコさん。


「誘っといて無言かい?」
「だ、って…」
「ん?」
「マルコさんが……」


色々言いたいことがあるのに、言葉がそれ以上出てこない。
無言でいると、マルコさんは起き上がり、「よっこいせ」の掛け声とともに私を抱き直す。


「名前が「いや」って言うから抑えてんだい」
「…言ったっけ?」
「ヤってる最中」
「あっ、あれは…」
「気持ちいいから言ってんのは知ってるよい。だけどな、お前が「いや」って言うなら止めるしかねェだろい」
「マルコさん…!」


マルコさんの言葉に胸がジーンと熱くなる。
マルコさん優しいっ…!そしてちょっと照れてるマルコさんが可愛い…!んでもって私愛されてる!


「マルコさん、私いやじゃないです」


だってこんなにも私のことを考えてくれてるんだよ?
そりゃあ…気持ちよすぎてその快感から逃げちゃうことはあるけど。自分の本音を無視して「いや」って言っちゃうけど…。


「だから…。いつもみたいに触って下さい」


その為に今日は紐パンを穿いたんだ…!
首に腕を回して抱きつく。頬を擦り寄せると、視界が反転した。
軽い浮遊感と背中に走る痛み。


「そうかい、そりゃあ助かるよい」
「……へ?」
「こちらと何週間も我慢してたんだい。もちろん、付き合ってくれるよな?」


夕方に見たサボくんの爽やかな笑顔がマルコさんと重なった。あ、後ろに黒いオーラも見える。


「ごめんなさい、マルコさん。やっぱり…!」
「名前、色は白で正解だよい」
「え、ほんとですか?よかったー…。……じゃなくて、な、何で…?」
「汚したくなるからな」


悲鳴をあげすぎて当分の間のど飴を手放すことができませんでした。





リョウさんへ。



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