思考回路はぶっ飛んでます 「遅い…!」 ソファに座り、腕を組み、机に広げた携帯電話と睨めっこ。 時間は夜中の十一時過ぎ。 「十時には帰ってくるって言ったじゃないですかァ…!」 今日は社長と幹部の人達とで飲み会に出かけてマルコさん。 それは別に構わない。寂しいけど、マルコさんはオヤジさんが好きだし、騒ぎたいときだってある。 それに対しては怒っていない。私だってそこまで子供じゃないもん! 何故怒ってるかと言うと、十時過ぎるようだったらメールする。って言われたのに、十一時過ぎてもメールがこないから。 だってマルコさんは約束を守る人なんだよ?心配になるじゃん…。 だからと言って自分からメールを送るのはちょっと…。たかが飲み会でメールしてくんじゃねェよい。って怒られそう。 「うーわー…」 このジレンマに頭を抱えてソファに寝転ぶ。 あーあ、先に寝ちゃおうかな。でもきっと酔っぱらって帰ってくるから起きとかないと…。 明日お休みだから別に夜更かししようが構わない。 けど、今日はちょっと仕事で疲れて眠たい…。 「ちょっとだけ寝よう…」 ベットに入ったら熟睡してしまいそうだから、ソファに毛布を持ってきて寝転ぶ。 携帯を一度開き、メールを問い合わせてみたけど新着メールはなし。 頭の横に置いて、目を閉じる。 「名前ー!」 「うわっ!?」 玄関から大声で名前を呼ばれ、一気に目が覚めてしまった! び、ビックリした…。て言うか、玄関が開く音聞こえなかった…。 ドキドキと騒ぐ心臓を抑えながら玄関に向かうと、すっごい笑顔のマルコさんが玄関に座りこんでいた。 私を見るなり「名前!」と嬉しそうに名前を呼ぶ。 あ、ちょっと嬉しい、かも…。 今さっきまでイライラしてたけど、眠たかったけど、マルコさんの顔を見るとどうでもよくなった。 「お帰りなさい、マルコさん」 「名前ー」 こっち来い。とばかりに手で私を呼ぶマルコさん。 あーあ、完璧酔っぱらっちゃってる。 あまり酔っぱらうことないから、「可愛いなァ」なんて思いつつマルコさんの隣に座ると、ギュッと抱きしめてきた。 「遅くなってごめんな?」 耳元で呟くマルコさんに、背筋がピンッと伸びた。 もうっ!そんな声聞いたら許しちゃうよ!(まあもう怒ってないけど) 「ちょっと寂しかったです。メールこないし」 「そうかいそうかい。そんなに俺が好きかい」 「いつも言ってるじゃないですか」 「いい子だな名前は」 離れて、よしよしと頭を撫でてくれるマルコさんだけど、……子供扱いはイヤ。 文句は言わないけど、態度に出すとマルコさん解っていたかのように笑って、立ち上がる。 着替えるのかと思って私も一緒に立ち上がると、立ち上がりきる前にキスされた。 バランスを崩して後ろに転びそうになったのを、マルコさんに支えてもらい、最後に唇をペロリと舐められた。 「お前さん、身長が低すぎてキスするたびに腰が痛くなるよい」 いや、私は平均的だ。マルコさんが高すぎるんです。 と言う前にまたキスをされる。 呼吸をさせてくれないぐらい激しいキスに頭が熱くなる。舌も熱い。 きっとお酒のせいだ。だってこのキスは、…ちょ、やばい。マルコさんスイッチ入って、る…? 「名前…」 甘い吐息が混じった声。 玄関は勘弁してもらいたい。声聞こえちゃうよ! いや、声とかも問題だけどどうやって……。 「真っ赤になって、何考えてんだい?」 「い、いや…。どうするのかなーって…」 「ああ、名前は何も知らねェからな。俺がちゃんと教えてやるから安心しろい」 悪戯をする子供のように笑って、ネクタイを緩めてシャツを脱ぎ始めるマルコさんに、首を横に振って抵抗する。 「嫌がられると寧ろやりたくなる」 「ドSですか!」 「自覚はしてるよい」 「たちが悪いです!それよりちゃんと着替えましょう!シワになっちゃいますよ!?」 「……名前が脱がしてくれるのかい?」 「酔っぱらいの思考回路って面倒くさいですね!誰がそんなこと言いましたか!ちゃんと会話しましょうよ、ね?!」 「ほら、ちゃんと着てやったよい。ネクタイから緩めてくれ」 「会話ああああ!」 今日思ったこと。 酔っぱらいは面倒くさい。ということです。 ……色っぽくて格好よかったけどさっ。 ▼ 遥さんへ。 ( ← | → ) ▽ topへ |