25万打部屋 | ナノ

外で待ち合わせの場合

「聞いてよエースくん!」
「やだ」
「まだ何も言ってないよ!もー…あ、サボくーん、ちょっと私の話聞いてー」
「マルコさんの話ではなければ喜んで」
「残念、そのマルコさんの話なんだー!」


マルコ。と愛しの旦那の名前を呼ぶだけで、名前は幸せな気分になれる。
逆を言うなら、解りすぎて名前の惚気話を聞くには体力を使ってしまう。(らしい)
仕事も終わり、いつもなら夕飯の材料を買うため急いで帰るのだが、今日はゆっくり会社で過ごしていた。
まだ仕事が残っているエースと、帰る準備をしているサボを捕まえて今日の惚気を聞かせようとしていた。


「今日ね、マルコさんとデートするんだよ!」
「へえ、そうなんだ。珍しいね」
「明日が休みだからデートしようって誘ったの。そしたら遅くなるけどいいよって!もー超優しいよねー!」
「ハッ!俺はあいつがいるだけで毎日がデートだぜ」
「エースくんの惚気は聞いてないの」
「俺も嫁がいるだけで毎日幸せかな」
「サボくんもお嫁さん好きだよね」
「おい名前。何だよ俺とサボとの違いは」
「相棒、そこ間違えてる」
「あああああ!」
「あ、そろそろ時間だ。じゃあねエースくん、サボくん!また明日ー」
「気をつけてな」


爽やかに手を振るサボと、今日も営業報告書に頭を抱えているエースと別れ、会社を駆け足であとにする。
待ち合わせ場所は会社からそう遠くない場所だが、マルコより早く待っていたい。
しかし待ち合わせ場所にはマルコが既に立っており、携帯を触りながら自分を待っていた。


「ハァ…マルコさん格好いい。私だったら絶対に声かけてるし」


少しだけ着崩したスーツと大人の色気ムンムンなマルコを見て甘い溜息を吐く。
そんなマルコをいつまでも遠くから見ているなんて勿体ない!


「マルコさー……ああああ!」


語尾にハートマークをつけ、手を振って名前を呼ぶと、見知らぬ女性が名前より先にマルコに声をかけた。
よからぬ想像をした名前は慌ててマルコの元へと駆け寄る。
マルコが格好いいのは理解してもらいたいが、声をかけてはダメ、好きになってもダメ、マルコさんは私のもの!と独占欲丸出しの名前。
息を切らせながら二人の間に割って入り、途切れ途切れに、


「私の旦那です!」


女性を睨みつけた。
女性は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに苦笑いを浮かべ、マルコに頭を下げて離れて行った。


「名前、勘違いだよい」
「勘違い?」
「道聞かれただけだい。名前が思ってるようなことじゃない」
「そっか、よかったー!」


ほっと息をつき、マルコを見上げて抱きつく。
早めに来て待っていたのか、マルコの身体が冷たく感じた。


「暑い」
「本当は私が待ってるつもりだったんですけど、今日は早く終わったんですね!」
「まァ…。それより離れろよい、暑い」
「私は温かいですっ」


結局マルコによって無理やり剥がされ、諦めた名前は腕組みで我慢することにした。


「どこに行きます?」
「ビデオ借りて家帰って寝る」
「えー!デートは!?」
「寝る」
「酷いですよ!私すっごく楽しみにしてたんですよ?今日だってイヤな仕事頑張ったのに…」
「嘘に決まってるだろい。とりあえず腹減ったから飯にするか」
「……マルコさんの冗談は解り辛いです…」
「それは残念だな」
「でもそういうとこも好き!」
「そうかい」


ギューッ!と腕に抱きついてくる名前の頭をポンポンと撫で、自分もバレないよう笑った。







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