不思議な体験は大切に?その1 !注意! サボサンド。サボが二人います。 「な、なに…?」 いつものように学校が終わり、いつものように買い物をして帰宅すると、いつもとは違ったものが私を迎えてくれた。 玄関に立ちつくす私に、それはいつものように「お帰り名前」と優しく出迎えてくれたが、私は驚きの声をあげてしまった。 「名前、マルコさん徹夜明けなんだから静かにしないとダメだろ?」 「名前の悲鳴っていいよなー。でももうちょっと色気があるほうがいいかな」 何故かサボお兄ちゃんが二人います。 一人はスーツを着たサボお兄ちゃん。 「驚くのは解るけど、静かにな」 と言って人差し指を自身の唇にあてる。 戸惑いながら頷くと頭を撫でてくれて、少しホッとした。うん、サボお兄ちゃんだ。 もう一人は普段着のサボお兄ちゃん。 「名前はいい反応するなァ」 と言いながら、私の腰に手を回す。ホッとしたのに、また身体が強張った。 「な、なんで…?」 「「解んねェけどなんかいた」」 何故二人もいるのか聞いてみたけど、本人達にも解らないらしいです…。 その答えに「そう」とだけ答え、落とした買い物袋をキッチンに運ぼうとしたら、スーツのサボお兄ちゃんが代わりに持ってくれた。 「ありがとう、サボお兄ちゃん」 「頼ってくれればいいのに」 「これぐらいは自分でできるから」 「でも俺は名前に頼られたい。前から言ってるのに、頼ってくれないなんて寂しいなァ…」 「ご、ごめん…」 「なんてな」 笑いながら私の頭を撫でてくれるサボお兄ちゃん。 二人いるけどサボお兄ちゃんなのは変わりない…。 まあサボお兄ちゃんが二人いても困らないよね!うん、ちょっと嬉しいかも。 「ひゃっ!」 「名前、俺といいことしよう」 「え?え?」 困らないと思っていたのに、普段着のサボお兄ちゃんが後ろから勢いよく抱きつき、うなじをべロリと舐めた。 いきなりのことで事態が把握できなかったが、すぐに舐められた場所を手を抑え、「サボお兄ちゃん!」と強い口調で名前を呼ぶと、「んー?」と軽い返事が返ってくるだけで離れようとはしなかった。 「な、なにっ…!?」 「名前がそいつばっか構ってるから寂しいんだ。だから俺といいことしない?」 「いいこと?」 「今日、エースもルフィも遅かったよな」 スルリとお腹に回していた手をゆっくりと下へと移動していく。 「っひ…!」 「うん、いい声」 耳元で囁くサボお兄ちゃんが、いつもと違う人に感じた。 怖くて暴れるけど、その場から逃げれない。 その抵抗すらサボお兄ちゃんには戯れにしか見れないようで、嬉々として耳たぶを舐める。 また悲鳴をあげる私に、今度は前にいたサボお兄ちゃんに腕を引っ張られた。 普段着のサボお兄ちゃんから脱出することはできたけど、今度はスーツのサボお兄ちゃんに捕まってしまった…。 私から抱きつくような形になり逃げようとしたけど、スーツのサボお兄ちゃんは「大丈夫だよ」と背中を優しく撫でてくれる。 「おい、名前を返せよ」 「なんで?名前は俺の妹だよ?」 「俺の妹でもあるんだけど」 「ううん、お前のじゃなく俺の妹。それより俺の目の前であんなことしないでくれる?」 「名前は可愛いから早く手つけとかないと。誰かに取られてもいいの?」 「困るよ。困るけどテメェに手を出されると思うと虫唾が走る」 「奇遇だな、俺もそう思ったとこだ」 ………怖ッ!なにこの戦い! 二人とも笑顔なのに、冷たいなにかを感じるよ…! 「あ、あの…」 「「なに?」」 スーツのサボお兄ちゃんはいつものように優しく、そして紳士的。 普段着のサボお兄ちゃんは爽やかに見せかけたエロ。 そんな二人だけど、根本は腹黒く、そして怖い。 涙混じりに声を出せば、怒気のない声で聞き返してくれる。 スーツのサボお兄ちゃんは相変わらず私の背中に手を回し、抱きしめてくれている。 普段着のサボお兄ちゃんは離せと言わんばかりに私の腰と手を掴んで引っ張っている。 二人に挟まれた私は圧迫感で押し潰されそう…。否、ちょっと苦しい。 「は、離して下さい…」 「「却下」」 だと言うのに、二人は離すことなく、私の頭上でまた氷点下の口論を続けるのだった。 ▼ 次回、照れ屋エースVSセクハラエースに続く!…かも? ( ← | → ) ▽ topへ |