80万打部屋 | ナノ

今日もほのぼの日和

!ワンクッション!
破戒僧ゾロ夢で不幸女主。





お昼寝日和のその日、ゾロと名前は風車屋の縁側でのんびり過ごしていた。
今日の風車屋も閑散としており、手伝っていた名前はもうあがるよう店主のナミに言われ、ゾロと一緒に縁側へとやってきた。
肩を並べてお茶をすすり、空を見上げる。
グランドジパングの空はとても穏やかで、名前は笑みを浮かべて裏庭に降り立った小鳥を見ていた。


「今日も気持ちいいですねェ…」
「……」
「って、やっぱり寝ちゃいますよね」


隣に座っているゾロに話しかけるも、ゾロは眉間にしわを寄せたまま夢の世界へと旅立っていた。
ふふっと笑い、二人の間に置かれてあったお茶を名前の反対側に移動させ、少し空間ができる。


「寝てますよね?」


ゾロが眠っているのを確認し、あいた空間を詰める。
ピッタリとくっついた腕。
さらに幸せそうな笑みを浮かべ、お茶をすする。


「気持ちいー…」


風も穏やか、気温も適温。
腕越しに伝わるゾロの呼吸に合わせ、名前も次第に瞼が重くなってきた。


「ちょっとだけお借りします」


名前より高い位置にあるゾロの肩に頭を預ける。
そして名前も夢の世界へ旅立った。


「―――……何してんだ?」


ゾロが目覚めたとき、寝る前にはいなかった人物が縁側にいた。
名前の膝を枕にしているルフィと、名前の背中にもたれているウソップ。
名前の右手はルフィの額に添え、左手はルフィの右手を握っている。
いつから二人が来たのか解らないが、自分の肩に預けて名前の頭は、今は離れていた。
その代わりルフィの手を握っている。


「離せよ」


眉間にしわを寄せ、名前の左手とルフィも右手を離そうとするのだが、ルフィが強い力で握っているため、なかなか離すことができない。
力をさらに加えた途端、ルフィがゆっくりと目を開けた。
涎を反対の手で拭いながら、ボーっとゾロを見上げている。


「手ェ離せ」
「あー…ゾロじゃねェか。お前ェなんでここにいんだァ?」
「それはこっちの台詞だ。何でテメェらがここにいんだよ」
「今日はもう仕事終わって、飯食って、名前と遊ぼうかと思ったら………」
「おい寝んな!」


再び眠りにつくルフィ。
阻止するためゾロがルフィの頭を一発殴ろうとするも、殴られると解っていたのか、名前の腰に抱きつくよう顔を避けた。
さらに密着する二人に、ゾロの額に青筋が浮かぶ。


「テメェは名前に引っ付きすぎだ!」


ルフィが名前に引っ付くのは今日だけじゃない。
いつも顔を見合わせれば肩を叩いたり、ハグをしたり…。
会話をするときも無闇やたらに顔を近づける。
前なんてただ買い物に行くだけだっていうのに手を繋いでいたときもあった。
名前が嬉しそうな顔をしているからいちいち言わないが、二人の時間を邪魔されたらさすがに腹が立つ。
繋いでいた手を離し、名前を起こさないよう、ルフィをはがす。
眠っているルフィをそのまま座らせ、名前をあぐらをかいていた場所に乗せる。野宿をするときと同じ態勢。


「うし」


満足したゾロが息をつき、胸の前で寝ている名前に目を落とす。
これだけ騒いで、動かしているのに起きない名前に呆れながらも、誰にも触らせないよう警戒しつつゆっくり目を閉じる。
その横で、名前がいなくなって支えを失ったウソップが後頭部を打ちつけ、追い打ちをかけるようルフィが倒れ、ウソップの胸を打ち付ける。
勢いがよかったせいでウソップは悲鳴をあげて意識を飛ばす。
それでも起きないルフィと名前。
そこへ悲鳴を聞きつけたサンジが飛んできて、縁側の光景を見るなり、


「どうなってんだこりゃあ…」


そう呟いた。
比較的眠りの浅いゾロの頭を叩き、起こすと、不機嫌そうな顔を向けられ、サンジもすぐに不機嫌になった。


「おいおい羨ましい態勢だな。藻のくせに贅沢しやがって」
「うっせェな…。わざわざ悪口言うために起こすんじゃねェよ暇人が」
「それはテメェだろうが、このクソニート!それより何があってこんなことになってんだ」
「あ?」


ルフィがウソップの胸を枕にして寝ており、ウソップが胸を強く打ちつけられ、意識を飛ばしている。
名前は自分の腕の中で寝ており、自分も眠たい。


「見て解んだろ。昼寝だ」
「どう見ても昼寝の様子に見えねェよ。特に鼻。あと安全なここで、その態勢で寝る必要ねェだろ」
「おい、触んな」


名前とゾロを引き離そうと名前の手を掴めば、ゾロに叩かれ、睨まれる。
すぐに言い返すサンジだったが、名前が唸り声をあげるのを聞いて、口を閉じた。


「起こすんじゃねェよ」
「……お前、本当に犬だな。狂犬だ」
「アァ?」


そして、呆れるように溜息をついたのだった。


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