80万打部屋 | ナノ

今日もあなたを想っています

!ワンクッション!
企画夢「あなたと見る世界」シリーズより。
結婚夢でマルコ夢。微裏?
前回の続き。





楽しそうなマルコさんを見て、覚悟を決めるようにゴクリと生唾を飲み込んだ。
確かに私がエロビなんてものを見たから、こういう空気になるのは解る。
でも、「そこらへんのヤりてェだけの青二才と一緒にするな」って言ったのはマルコさんだよね?
なのに何でもう押し倒しちゃってるんですか!?


「いつまでも慣れねェなァ」


両手首を掴んで、ソファに押し付け喉の奥で笑いながらそっと耳元で囁く。
くすぐったいのと、気持ち悪いのとで背中がブルリと震えあがり、「マルコさん」と名前を呼んだ。
「どうした」と答えながらも首筋に軽くキスをして、私の身体はさらに震えた。
元々敏感な身体だけど、マルコさんに触れられるともっと敏感になる。


「あのっ、手首痛い…」
「悪いな。でも離したら逃げるだろい?」


小首を傾げるマルコさんに胸が高鳴る。
手首を抑えつけられて怖いけど、マルコさん凄く楽しそうだ…。
でも居心地が悪い。できるなら手首を解放して、いつものように抱きしめてほしい。


「名前、今どう思ってる?」


少しだけ緩めてくれた手首。
変わらない表情でそんなことを聞かれた。
今…どう思ってるって聞かれても、なんて答えていいんだろうか。
素直に言ってマルコさんが傷つくのは嫌だ。だからと言ってこのままだと私が怖い…。でもそれ以上に、


「手首を拘束されて怖いけど、楽しそうにしているマルコさんを見て、格好いいと思ってます」


マルコさんが私のことを考えて、優しく抱いてることは知っている。だってそれは私が望んでいるから。
未だ私の身体に負担をかけさせまいと我慢してくれているのも知っている。
だから頑張ろうって思った。私もマルコさんの為に何かしてあげたい。「したい」と思っていることをさせてあげたい。
何より、楽しそうな顔をしているマルコさんを見られるのは私も嬉しい。マルコさんが喜んでくれるなら私は何されたっていい。


「知ってるかい、名前。そう言うのをマゾって言うんだよい」
「じゃあ私マゾでいいです。マルコさん限定の」
「嬉しいこと言ってくれるねェ。じゃあ付き合ってくれるのかい?」
「そういうことわざわざ聞きますか?」
「名前がイヤならしねェよい」


そうやって時々優しくなるの卑怯だ。真面目な顔で言うのも卑怯。
そんなこと言われて、「いやです」って言えば私が悪者じゃないですか。


「縛られるは痛いし、怖いし、できるならしてほしくないです。…でも、してほしいです」


答えると、手首を掴んでいる力がさらに強まった。
眉をしかめた瞬間キスをされ、すぐに舌を入れてくる。
いつもより激しいし、なんか乱暴だ。
息が苦しくなってもマルコさんは止めようとせず、足をばたつかせててようやく解放してくれた。
呼吸すら奪うキスに戸惑いつつ、荒れる息を整える。力も入らない…。
動けないのを解ってか、手首から手を離してネクタイをシュッと解いた。


「あ、あの…」
「ごめんな、名前。少しだけだから」


あまり余裕のない声…。珍しく興奮しているのがすぐに解った。
また両手首を掴んで、頭の上で拘束される。
ネクタイでギュッと強く結ばれ、ちょっとだけ痛み、それと同時に恐怖がじわじわ湧いてきて、目に涙が溜まった。
どうしよう、思っていた以上に怖い…!でもマルコさん楽しそう…。
今すぐ解いてほしくて、その思いをこめてマルコさんを見つめると、目を細めるだけだった。
恐怖に縮こまって、拘束された手を胸の前に持ってくると、「邪魔」とまた頭の上に押しやられる。
そのままキスされ、片手で簡単に私のボタンを解いていく。
首筋、鎖骨、胸にキスマークをつけられたあと、一度身体を離して上から見下ろす。
拘束されているから手で胸を隠すことができず、まじまじと見られてさらに羞恥心を煽られた。


「見ないで下さい…っ」
「してほしいって言ったのは名前だろい」
「でもイヤだとも言いました…。怖い…!」
「矛盾ばっかだなァ名前。で、俺の顔見て今どう思ってる?」


涙で視界が揺らいでいる。拘束されているから涙を拭うことができない。
その目でマルコさんを見ると、初めて見る少し野生的な顔で笑っているマルコさんに心臓をキュッと掴まれた。
どうしよう。こんなことされて怖いのに、恥ずかしいのに…、


「格好いいですぅ…!」


絞り出した声。そのあと涙が頬を伝って流れた。
あんな顔されたらときめいちゃうよ!何も言えなくなっちゃうよ!
解っていたけど何でマルコさんは格好いいの?何で素敵なの?あの顔も、性格も声も全てが卑怯だ。


「名前は可愛いよい」
「ッあああああ!このタイミングでそんなこと言うのは止めて下さい!」
「だろうな。ほら、解くから暴れるな」
「え?」


縛っていたネクタイを引っ張って、シュルリと解いた。
じんじんと手首に熱が帯びてて、縛られてた跡をさすりながら起こしてもらう。
戸惑う私を抱き締め、額にキスをして、ボタンをとめてくれた。


「マルコさん?」
「どうした?」
「どうしたって…。え、しないんですか?」
「怖いんだろう。しねェよい」
「で、でも…!……我慢してませんか?怖いけど嫌いになることはないですよ!?」
「それは知ってるよい。でもしねェ」
「何で…」
「それより飯にしてくれるかい?腹減っちまったよい」


ネクタイと服を持って寝室へと入っていくマルコさんを複雑な気分で見送り、言われたように夕食の準備にとりかかる。
鍋を混ぜる手首に目を落とすと、縛られた跡が残っていて、今さっきのマルコさんの顔が脳裏に横切った。


「格好よかったなァ…」


それでももやもやする。期待してたのかな。


「期待してたのかっ…」


顔に集まった熱を手で扇いで冷ましながら鍋をかき混ぜ続けた。


「嫌いになることはない。ねェ…。あいつ本当の俺を知らねェから言えるんだよな」


だから、マルコさんが寝室で重たい溜息を吐いているのに気がつかなかった。


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