コネタ部屋 - - - - - - - - - - - ▼ グータラ海軍日誌。その9 「今日もいい天気だなー…」 支部の廊下を歩きながら外の景色を眺める一人の青年。 スモーカーの部下であり、海軍一サボり魔として有名な将校。 そんな彼が今日は珍しく普通に出勤し、普通に書類処理をし、普通に穏やかな午後を過ごしていた。 普段の行いを知るスモーカーやたしぎは驚愕し、今日は何か起こるんじゃないかと街の治安を警戒している。 青年曰く、暇すぎてやることがないから暇つぶしのために仕事をしただけで、本音としては何もしたくないらしい。 それでも仕事をするなら。と、今日は彼を見張ることなく自由にさせていた。 「いい天気だが、暇だ…。暇すぎる…!仕事したくねェけど、結構暇潰しになるんだよねー…。あー…なんか面白いことでもねェかな。てか今日暑ィな!スモーカーさんの煙で日差し遮ってくれねェかなァ…。ケチだから無理か」 「正義」の二文字が入った海軍ジャケットを脱ぎ、腰に巻く。 手で顔を扇ぎながら廊下を歩いていると、前からスモーカーがやって来た。 向こうはまだ気がついておらず、隣にいるたしぎに向かって怒鳴っている様子。 それを見た青年は「たしぎ、ざまァ!」と小さく笑う。 いつもスモーカーに自分ばかり怒られているから、たしぎが怒られるのを見ると清々するらしい。もっとも、全ての元凶は青年にあるのだが。 「てか俺に気がついてない感じ?よーし…」 ペロリと口端を舐め、足音を立てないよう走り出す。 近づくにつれ走るスピードをあげる。止まる気などないらしい。 「くたばれ!」 狙うはスモーカーの首元。ラリアットをかます気満々で突撃した。 「貴様は誰に向かってそんな口きいてやがる」 「うおっ!?」 しかし長年の付き合いか、青年の思考回路が単純なせいか、ギリギリのところでかわされた挙句、逆にバックを取られ、スリーパーホールドをかけられた。 スモーカーの太い腕が青年の首をギリギリと締めあげるたびに腕をパンパンと叩いて、「ギブアップ」の合図を送るが、スモーカーが止めるわけがない。 「マジ苦しいんですってば!」 「俺がテメェに気づいてねェとでも思ったのか?」 「気づいてたのかよ!どんだけ俺のこと好きなんスか気持ち悪ィなもう!っあ、すみません、ちょっと口が滑っただけなんで別に本心とかそんなんじゃないっス」 「滑った時点で本心がだだ漏れなんだよバカが」 「好きな人ほど直視しないってやつですか?だからたしぎ見てるのに俺のこと気づいてたんスか?超キモいんですけどォ!あ、これも建前なんで聞き流して下さい」 「建前の意味を辞書で引いてこいクソ野郎!」 「に、ぎゃあああああ!」 一度青年を解放し、今度はコブラツイストをきめる。 青年からは悲痛な叫び声が発せられるが、たしぎも、近くを通った海兵もスモーカーを止めることはなかった。 「あんたいつの間にプロレス技とか身につけてんだよ!」 「テメェをしつける為だ。嬉しいだろう?」 「嬉しくねェよバーカ!そんなことよりベッドの上での技を身につけたらどうだこのムッツリが!」 「……。フン!」 「んぎゃ!」 バキッ!と鈍い音が響いたあと、青年は声を出すことも、逃げることもなくその場に死んだように倒れたのだった。 「あ、あのスモーカーさん…?少佐はあのままでいいんですか?」 「そのうち生き返るだろ。ほっとけ」 ( △ | ▽ ) |