コネタ部屋 - - - - - - - - - - - ▼ グータラ海軍日誌。その8 「しょ、少佐!ちょっと待って下さいっ…!」 「へん!誰がテメェの言うことなんて聞くか!真面目っ子ちゃんは真面目に仕事しててくださーい」 自分を追いかけてくる部下、たしぎに向かって「ベー!」と子供のように舌を出しながら、全力疾走で海軍支部の廊下を逃げ回っていた。 自称、海軍一の逃げ足をもつらしく、確かに彼の逃げ足に追い付いた者はいない。 上司であるスモーカーでさえ、彼を捕まえるのは至難の業だと言う。 その足を使って今日も書類処理の仕事をたしぎに押し付け、安息の地へと向かっている。 「書類たっくさんあっただろ?俺追いかけてる場合じゃねェって」 「私の分はもう終わりました…!あれは全部少佐の分です」 「はー?お前近視もいいとこだな。テメェの机にあった書類は全部お前のもの!だから早く仕事しなさい」 「少佐が勝手に私の机に置いたんじゃないですかっ!」 「よく聞こえなーい!」 喋ることも、彼を追いかけることもできなくなったたしぎをゲラゲラ笑いながら、とある角を曲がる。 この角を曲がれば支部の出口。しかも運がいいことにスモーカーに出会うことがなかった。 「これで俺は自由だ!キャッホーイ!」 さらに走るスピードをあげ高らかに笑う青年だったが、曲がった瞬間何か固いものとぶつかり、跳ね返されて尻もちをついた。 声にならない悲鳴をあげ、「何だよ!」と目の前の固いものを確認すると、そこには怖い顔をした彼の上司が立っていた。 ようやく追いついたたしぎが、「スモーカーさん…」と安堵の息をつくと同時に、青年は立ち上がって逃げようとしたのだが、逃がすはずもなく両腕を背中で拘束され、壁に押し付けられた。 「いでででで!ちょ、何すんスか!暴力とかよくないっスよ!?」 「テメェ、どこに行こうとした?」 「トイレっス。超漏れそうなんで離して下さいよ!それともここで漏らしてもいいスか?こんなとこで公開プレイとかマジねェから!」 「仕事サボって遊びに行くたァ、いい度胸してんじゃねェか」 「なんだ、バレてたのか。しかしよく俺がここを通るって解りましたね」 「テメェがたしぎのこと嫌ってるのを知ってるからな。利用させてもらった」 「マジかよー!テメェたしぎ!いったいどういうことだ!」 「す、すみません少佐…!でもスモーカー大佐の命令ですので…」 「これだから貧乳はイヤなんだよ!乳も小さければ懐も小さいってか!?ヒナさんを見習え!」 「胸は関係ありません!」 「そろそろ黙れ」 「あでででで!だからっ、暴力はよくないって言ってるじゃねェかバカ上司!」 「痛い思いしたくなきゃあ仕事しろバカ部下!たしぎッ、縄持ってこい縄!このバカ、今日という今日はみっちりしごいてやる!」 「SMプレイならそういうお店紹介するんで勘弁して下さい」 「今ので説教が一時間増えた。楽しくなってきたな」 「マジかよ…」 サボり魔な青年には珍しく捕縛され、スモーカーに散々説教されたあと大量にあった書類処理もさせられたのだった。 「帰りたい…」 「自業自得だ」 「でも、文句言いながらも終わるのを待ってくれてるスモーカーさんが愛しいっス」 「明日はこの倍だ。嬉しいだろ?」 「マジかー…。言うんじゃなかった…。あ、もしかして照れ隠しとか?」 「ふん!」 「いっでェ!マジで殴りやがったな!?」 「もう一発いくか?」 「はいはい!やりゃあいいんだろ、やりゃあ!」 「最初から手だけ動かしとけ、バカ」 「いつか海賊に殺されちまえ」 「テメェが殺されろ」 ( △ | ▽ ) |