コネタ部屋 - - - - - - - - - - - ▼ グータラ海軍日誌。その4 「スモーカーさんっ」 「……何企んでやがる」 今日は珍しく遅刻をしなかった青年。 それだけで「槍でも降るんじゃないか」と不安になるスモーカーだったが、語尾に音符マークがつきそうなほど機嫌よく自分に話しかけてきた青年を見て、さらに寒気がした。 「俺、スモーカーさんのこと好きっス」 「そうか、頭を打ったか。今日だけは特別だ、病院行ってこい。精神科の」 「ひ、酷いっス!確かに今までスモーカーさんをバカにしたり、呪ったり、あることないことそこらへんの海兵に喋ったりしたけど…」 「おい、待て。今聞き捨てならねェこと「俺、スモーカーさんのことマジで尊敬してるんス!」 見たことのないような真剣な顔で、真っすぐスモーカーを見つめる青年。 スモーカーも真剣な顔で青年を見つめ、煙を吸って、吐く。 それから数秒も経たないうちに青年の口端がピクピクと震えだした。 「ニヤケてんぞ」 「だーくそ!もっと頑張れよ、俺!」 「遊んでねェで海賊の一人や二人捕まえてきやがれ」 「でーもー、今日はスモーカーさんのためにお弁当作ってきたんですっ」 「…そうか、今日は二段仕掛けか。テメェも暇だな」 「ちょ、そんな目で俺を見んなよ!マジで頑張って作ったんだから!」 後ろに隠していたお弁当箱を突き出し、「どうぞ」とニッコリ微笑む。 一度視線を弁当箱に向けるが、煙を吐き出してそれを拒絶した。 しかしこれぐらいで負けるわけがない青年。むしろ想定の範囲内です。 笑みを絶やすことなく言われてもないのにお弁当を広げた。 「スモーカーさんの喜ぶ顔が見たくて朝早くから頑張っちゃいました」 「……ほう、これで?」 「特に頑張ったとこは、のりでハートマークを作ったとこです。きゃは!」 ウインクをしながら言うと、頭をがっ!と掴まれた。 「飯の上にハートマークののりだけ。こんな弁当を「頑張った」だと?」 「マジで頑張ったんスってば!朝早く起きるとことか!」 「作るんならもっとマシなもん作りやがれ!」 「え、俺の愛妻弁当食いたいんっスか?え、実はスモーカーさん俺のこと好きだったんスか?マジ勘弁っス、キモいっス、ないっスわ。俺、ボンキュッボンのヒナさんにしか興味ないんですけど」 「…」 「ちょおおおお!俺の頭蓋骨メキメキ言ってんスけどおおお!」 「このまま砕かれたくなかったらそいつを持って消えろ」 「解りましたよー!」 チェー!とぶつぶつ文句を言いながら広げたお弁当を片付け、扉へ向かう。 ドアノブに手をかけ、少し開けてから一言。 「くたばれ早漏野郎」 言うや否や部屋を飛び出し、安全な場所を求めてスモーカーから逃げ出した。 それを聞いたスモーカーは額に青筋を大量に浮かべ、十手を片手に青年を殺す勢いで探したのだった。 ( △ | ▽ ) |