女主男主コネタ | ナノ

コネタ部屋
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 グータラ海軍日誌。その2

「……」


仕事なんてしたくない!
どこであろうが、誰がいようが関係なく宣言する一人の将校がいた。
特別強いわけでも、弱いわけでもない青年だが、海軍ではちょっとした有名人。
ガープと言えば海軍の英雄で、その英雄と仲がいい青雉は三大将。
三大将の部下であるスモーカーは海軍の厄介者として有名。
そして、厄介者の部下には青雉を思わせるかのような、見事に働かない海兵がいる。それが彼だ。


「うーむ…」


自身のデスクに座り、ゴツイ本を広げて眉間にしわを寄せる彼を見て、上司であるスモーカーは自分の目を疑った。
二言目には「面倒」「眠たい」「帰りたい」「仕事したくない」とだらけた発言をする彼が、真面目に仕事をしているではないか。
一度葉巻を口から離し、煙を吐き出す。
しかし、彼の本来の仕事である書類処理は全く行われていない。
「そっちを片付けろ」と注意したいスモーカーだったが、なにせ真面目に仕事(もしくは勉強)をしているものだからどう声をかけようか迷っていた。


「(毎日こうだといいんだがな…)」


何をそんなに難しい顔をして本を読んでいるのかと、上から本の中を覗き込んだ。


「……テメェ!職務中になんてもん見てやがる!」
「キャー!スモーカーさんのエッチ!」
「ぶっ飛ばされてェのか!」


難しい本で表紙をカモフラージュし、実はエロ本を見ていた青年。
特に慌てることなくふざけながら本を閉じて、うつ伏せになって身体で隠す。
不意打ちのできごとに若干頬を染めながら青年を一発殴って、本を取り上げた。


「あ、ちょ、何すんスか!それ今日買ったばっかなんスよ!?」
「今日ってことは、職務中ってことだよな?テメェまた職務中にサボってやがったな!?」
「げっ、バレた…。もー、これだから勘のするどいおっさんはイヤなんだよ…」
「口を滑らせたのはテメェだ。それより今なんつった。今日こそクビにしてやってもいいんだぞ?」
「クビはイヤっスねェ。でもエロ本は返してほしいっス」
「職務中だって言ってんだろバカ野郎。没収だ」
「鬼!悪魔!人でなし!むっつり!ヒナさんを俺によこせ!」
「あーあー、うるせェガキだな」
「どこ持って行くつもりだよ!あ、解った!その本で今からよろしくすんだろ!?最低だこの上司!職務中になんてことしやがる!」
「それはテメェだろうが!」


取りあげたエロ本を持って中庭へと向かうスモーカー。燃やす気満々らしい。
買ったばかりのエロ本を燃やされて…。何より最後まで読んでない!と声を大にして叫びながらスモーカーから本を取り戻そうとするが、本を頭の上にあげて歩いているせいで届かない。
それを見ていた部下達は「ああ、今日もか…。平和だな」と言った目で二人を優しく見守っていた。


「あら、スモーカー君」
「ああ、お前か」
「ヒナさんじゃないっスか!今日も華麗に素敵で俺参っちゃう!」
「俺のほうが参ってるっつーの…」


そこへ、スモーカーの同期であり、青年の憧れの女性であるヒナがやって来た。
彼女を見た瞬間青年の目はハートに変わり、「今日も素敵だー!」と懸命にラブコール。
ヒナもいつもと変わらない青年に「そう」とだけ答える。


「ところで何を騒いでいたの?」
「部下のしつけ中だ。気にするな」
「そんな大きな声出されたら誰でも気になるわ。耳も痛い。ヒナ迷惑」
「ちょ、スモーカーさん!あんたが邪魔でヒナさんが見えない!マジ邪魔!クビになれ」
「テメェがクビになれ」
「小声で言ったのに聞こえたとかマジ地獄耳だし。消えろ!」
「調子にのんなよクソガキ…!」
「うっせェ!俺だってヒナさんとお喋りしたい!」


青年の頭を抑え、ヒナに飛びつかないようにするスモーカーを青年は蹴る・殴る・暴れるといったことを試すが、煙な彼に打撃など全く意味がない。
実力行使でダメなら知略で勝負!
目をキランと光らせ、まだ隠し持っていたエロ本を地面にわざと落とした。


「あ、見て下さいよヒナさん!スモーカーさんってば仕事中だっていうのにエロ本見てんですよ!」
「ああ!?何言ってやがる!これはテメェの「スモーカー君」


スモーカーに胸倉を掴まれた青年だったが、ヒナの声に満面の笑みを浮かべた。「勝った」と…。


「ヒナ失望」
「おいッ、違う!これはこいつが…!」
「スモーカーさん、手に持ってるのなーんだ!」
「……テメェエエエエ!」
「ヒナさーん、俺こんなエロいおっさんの部下なんてやだー。ヒナさんの部下にしてー」
「ええ、考えとくわ」
「やっりィ!」

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