コネタ部屋 - - - - - - - - - - - ▼ グータラ海軍日誌。その2 「……」 仕事なんてしたくない! どこであろうが、誰がいようが関係なく宣言する一人の将校がいた。 特別強いわけでも、弱いわけでもない青年だが、海軍ではちょっとした有名人。 ガープと言えば海軍の英雄で、その英雄と仲がいい青雉は三大将。 三大将の部下であるスモーカーは海軍の厄介者として有名。 そして、厄介者の部下には青雉を思わせるかのような、見事に働かない海兵がいる。それが彼だ。 「うーむ…」 自身のデスクに座り、ゴツイ本を広げて眉間にしわを寄せる彼を見て、上司であるスモーカーは自分の目を疑った。 二言目には「面倒」「眠たい」「帰りたい」「仕事したくない」とだらけた発言をする彼が、真面目に仕事をしているではないか。 一度葉巻を口から離し、煙を吐き出す。 しかし、彼の本来の仕事である書類処理は全く行われていない。 「そっちを片付けろ」と注意したいスモーカーだったが、なにせ真面目に仕事(もしくは勉強)をしているものだからどう声をかけようか迷っていた。 「(毎日こうだといいんだがな…)」 何をそんなに難しい顔をして本を読んでいるのかと、上から本の中を覗き込んだ。 「……テメェ!職務中になんてもん見てやがる!」 「キャー!スモーカーさんのエッチ!」 「ぶっ飛ばされてェのか!」 難しい本で表紙をカモフラージュし、実はエロ本を見ていた青年。 特に慌てることなくふざけながら本を閉じて、うつ伏せになって身体で隠す。 不意打ちのできごとに若干頬を染めながら青年を一発殴って、本を取り上げた。 「あ、ちょ、何すんスか!それ今日買ったばっかなんスよ!?」 「今日ってことは、職務中ってことだよな?テメェまた職務中にサボってやがったな!?」 「げっ、バレた…。もー、これだから勘のするどいおっさんはイヤなんだよ…」 「口を滑らせたのはテメェだ。それより今なんつった。今日こそクビにしてやってもいいんだぞ?」 「クビはイヤっスねェ。でもエロ本は返してほしいっス」 「職務中だって言ってんだろバカ野郎。没収だ」 「鬼!悪魔!人でなし!むっつり!ヒナさんを俺によこせ!」 「あーあー、うるせェガキだな」 「どこ持って行くつもりだよ!あ、解った!その本で今からよろしくすんだろ!?最低だこの上司!職務中になんてことしやがる!」 「それはテメェだろうが!」 取りあげたエロ本を持って中庭へと向かうスモーカー。燃やす気満々らしい。 買ったばかりのエロ本を燃やされて…。何より最後まで読んでない!と声を大にして叫びながらスモーカーから本を取り戻そうとするが、本を頭の上にあげて歩いているせいで届かない。 それを見ていた部下達は「ああ、今日もか…。平和だな」と言った目で二人を優しく見守っていた。 「あら、スモーカー君」 「ああ、お前か」 「ヒナさんじゃないっスか!今日も華麗に素敵で俺参っちゃう!」 「俺のほうが参ってるっつーの…」 そこへ、スモーカーの同期であり、青年の憧れの女性であるヒナがやって来た。 彼女を見た瞬間青年の目はハートに変わり、「今日も素敵だー!」と懸命にラブコール。 ヒナもいつもと変わらない青年に「そう」とだけ答える。 「ところで何を騒いでいたの?」 「部下のしつけ中だ。気にするな」 「そんな大きな声出されたら誰でも気になるわ。耳も痛い。ヒナ迷惑」 「ちょ、スモーカーさん!あんたが邪魔でヒナさんが見えない!マジ邪魔!クビになれ」 「テメェがクビになれ」 「小声で言ったのに聞こえたとかマジ地獄耳だし。消えろ!」 「調子にのんなよクソガキ…!」 「うっせェ!俺だってヒナさんとお喋りしたい!」 青年の頭を抑え、ヒナに飛びつかないようにするスモーカーを青年は蹴る・殴る・暴れるといったことを試すが、煙な彼に打撃など全く意味がない。 実力行使でダメなら知略で勝負! 目をキランと光らせ、まだ隠し持っていたエロ本を地面にわざと落とした。 「あ、見て下さいよヒナさん!スモーカーさんってば仕事中だっていうのにエロ本見てんですよ!」 「ああ!?何言ってやがる!これはテメェの「スモーカー君」 スモーカーに胸倉を掴まれた青年だったが、ヒナの声に満面の笑みを浮かべた。「勝った」と…。 「ヒナ失望」 「おいッ、違う!これはこいつが…!」 「スモーカーさん、手に持ってるのなーんだ!」 「……テメェエエエエ!」 「ヒナさーん、俺こんなエロいおっさんの部下なんてやだー。ヒナさんの部下にしてー」 「ええ、考えとくわ」 「やっりィ!」 ( △ | ▽ ) |