短編[甘] | ナノ


▼ アイスプレイ‐02

濡れた睫毛を伏せ、何か言いたげに唇を結ぶ優奈を置いて、遥斗は棒を捨てに行こうと身を起こした。

「まっ、待って!」

自分の上にいた遥斗の拘束感から解かれ、物悲しさを感じた優奈はとっさに声を上げてリョウの服を掴んだ。

「何?」

「…こんな…っ、中途半端なのヤダッ…!」

「だから?」

上気した瞳を向ける優奈に、遥斗はわざとそっけない表情と言葉を返す。

優奈は視線を泳がせ数秒の沈黙を作り、一段と眼に熱気を宿してぎこちなく口を開いた。

「…も…もっと…最後まで…っ」

それ以上の言葉は羞恥が込み上げ、とても口にすることができなかった。

真っ赤になった顔を隠すようにうつむく愛らしい優奈に、遥斗は冷徹をつくろった表情を思わずほころばせる。

そして服を掴む手を優しくほどくと、棒を畳に置いて真っ直ぐ冷蔵庫へと向かっていった。

バタッとドアの開く音。

一寸の間を置いてわずかに漂ってきた冷たい風に、冷凍庫を開けたのだと気づいた優奈は、何のために? と疑問を抱いて顔を上げた。

──バタン

再びドアを閉める遥斗。

その右手にはビニールに包まれた真新しいミルク味の棒アイスが握られている。

「え!? なんであるのっ?」

「これでホントに最後」

「さっき全部なくなったって…」

「あれ嘘。一人でコッソリ食おうと思ってた」

「何それ?! サイテーッ!」

卑怯だ、セコいズルいと、ビニールを破く遥斗に向かって優奈は体の火照りも忘れて吠えたてる。

それを右から左へ聞き流し、遥斗は取り出したばかりのアイスを持って優奈の脚を跨いだ。

「丸々一本お前にやることにしたんだから、そんな喚くな」

「えっ…私にやるって…、っ!!」

仁王立ちになってる遥斗から偉そうに吐かれた言葉の意味を理解した優奈は反射的に後退った。

「やっ…、いいよもう! 後で食べるから…っ」

「もっと、って言っただろ」

「あっ、あれは…!」

「まだまだ物足りないんだろ?」

挑発的な笑みに射抜かれ、先ほどまでの感覚が蘇る。

再び下半身の中心が心臓のように熱く鼓動し始め、優奈は視線から逃げるように顔をうつむかせた。

体を下ろした遥斗は早速ずり落ちたキャミを掴む。

「…や…っ」

羞恥心が弱々しい声になって漏れ出す。

いつもとは違う乱れた行為とそれに溺れて期待してしまう自身を恥じらうも、一度火のついた興奮を抑えることはできない。

優奈は遥斗にされるがまま畳に寝かされ、上気した顔を見られまいと腕で隠し、これから来る冷たくも甘い感覚を待ちわびた。

「……っ」

ジワジワと胸に近づいてくる冷気を感じ、息を呑む。

いつ訪れるのかわからない衝撃に神経は限界まで張り詰めていた。

そして──、

「っあ! あああっ!!」

凍てつく電流が右胸に走った。

アイスは優奈の反応を楽しみながらゆるりと一周して、てっぺんの敏感な突起をつつく。

「や…ッ! まっ、待って、冷たすぎ……っ、んあ! ああぁっ!!」

冷凍庫から取り出されたばかりのアイスは皮膚が凍るほどの冷気を放っていた。

鋭い刺激が雨のように性感を刺し、暴れまわる。

頭から足の爪先まで痺れが行き渡り、優奈はアイスが移動するたびビクビクと全身を痙攣させた。

「ひあっ…! あッ、あぅ…っ!」

右胸に同調して固くシコリ立った左の突起を、遥斗の唇が緩やかに包み込む。

その中で熱い舌がうごめき、快楽の実を執拗にくすぐる。

時折軽く歯を立てられ吸い上げられ、一度おあずけにされた快感を惜しみなく与えられた優奈はたまらず歓喜の声を上げた。

しかしその繊細な恍惚感を裂くようにして、右胸の周辺を曖昧に滑っていたアイスが白く濡れた突起に帰り着いた。

「やっ、やあぁあっ…!!」

なまめかしい吐息が悲鳴に変わる。

アイスがそこをつつくだけには留まらず、グリグリと沈み込み始めたのだ。

一気に染み入る冷気が優奈の感度を高め、えぐるような乱暴な刺激が胸の内に快感を叩き込む。

舌とアイスという全く正反対の感覚に同時に責められ、優奈の体はなすすべなく狂わされていく。

「んあっ! あっ、んぅう…っ! ダ、メ…ッ、あっ、あぅっ!」

アイスを持つ遥斗の手を掴み引き離そうとするも、思うように力が入らない。

全身まで響き渡る快感の痺れに優奈は腰をくねらせ悶えることしかできなかった。

「あっ、ん、んぅっ! …っは、ぁッ、あぁ!」

息を荒げる優奈をもっと快楽に溺れさせようと、遥斗は舌で突起を激しく転がし、甘く歯を立てコリコリと細かく弄ぶ。

めくるめく悦楽に襲われ、優奈の下腹部が解放を求めて熱い脈動を始める。

どうしようもなく中心が疼いて優奈はもじもじと太ももを身じろがせた。

「っあ…! んっ、ん…!」

その内なる要求を察したのか、胸の先から唇が離れ、遥斗の視線が下半身へと降りた。

そして突起を押しつぶしていたアイスの圧力が弱まり、柔らかな山を降りて緩やかに肋骨へたどっていく。

「ふ、ぅ…っ! 遥斗…っ、もう、アイスはいいよ…っ」

下へ下へと滑っていくアイスの行き着く先を嫌でも予知した優奈は切迫した声を遥斗に投げかける。

しかし、この行為を心から楽しみ熱中している遥斗がそんな言葉を聞き入れるはずがなかった。

わき腹をくすぐったアイスはヒラヒラのミニスカートを飛び越え、太ももに移り渡っていく。


「だっ、だめ! そっちはヤダ…ッ!」

深く染み付いて放れない胸の冷却感。

この感覚がアソコで湧き起こったら…

想像するだけで恥部が引きつり、優奈は力の抜けた脚をモタモタとばたつかせて遥斗の手を振りほどいた。

「なんで? 遠慮すんなって」

「そんなのしてな…っ、ふあぁあッ!」

前触れもなく下着を撫でた指先が優奈の抵抗を砕く。

熟れた柔肉はすでに愛液にまみれ、下着までもを熱く濡らしていた。

「こっちは早く欲しいってヨダレ垂らしてんじゃん」

指にじっとりとした湿り気を感じ、皮肉に呟くと遥斗は一旦アイスを口にくわえて下着を掴んだ。

「や…、やぁ…っ」

まごつく腰元を押さえつけ、手早く下着を引き下ろす。

そして強引に膝を立たせ、瞳に蜜を光らせる淫らな果肉を映しこむ。

「もうビシャビシャじゃん」

「や、だ…っ、見ないでよっ…」

そこがどれほど醜猥に乱れ濡れそぼっているか、優奈は確認しなくともそれを酷く痛感していた。

…もっと苛められたい、壊されてみたい。
と貪欲な本能を露わにする媚肉に遥斗の視線を受け、鼓動を速める膣内が新しい愛液を生み出す。

「ふっ…、なんもしてねぇのにダラダラ溢れてきてんだけど。アイス当てられてそんな興奮したんだ?」

「ちっ、違…っ」

もう強がっても無駄だとわかっていても、羞恥心をごまかすために優奈は無意識的に否定の言葉を吐いてしまう。

…そういった態度が遥斗の中の強欲をさらに燃え上がらせるとも知らず…。

「ぁ…、あっ!」

こぼれ出す愛液をすくうように、遥斗の指が裂け目を撫で上げる。

そしてねっとりと濡れた柔肉を左右に押し開き、紅く色付いた粘膜を外気にさらけ出した。

「やっぱ興奮してんじゃん。すげーヒクヒク動いてるぞ」

「やっ…! あっ、ああぁっ」

人差し指が、欲望にまみれヒクつく蕾の中へ沈んでいく。

たった一本の指が侵入しただけで膣内は狂喜に震え、甘美な快感を体中に駆け巡らせた。

「キッツ…。そんなにアイスにむしゃぶりつきてーのか」

「いやっ、あぁっ! …そんなんじゃ…っ、く、ふぅぅうっ」

「だから遠慮すんなって。…でも、先にこっちに舐めさせてやるよ」

意地悪な笑いを含んで囁くと、遥斗は包皮に包まれた小さな突起にピタリとアイスをあてがった。

「──ぁあああっ!!」

鋭い快感が体の中心から脳天を突き抜ける。

あまりの衝撃に優奈は喉を仰け反らせて甲高い悲鳴を上げた。

今までにない大胆な反応に、潜めた欲情を煮えたぎらせながら、遥斗は膣から指を抜き出し 肉芽を守る薄皮を剥く。

「あっ、いや…ッ! ああぁあっ!」

剥き出しにされた急所に直接冷気が突き刺さり、ビリビリとした電流が体の隅々を駆けていく。

ドクン、ドクンと鼓動を強め 膨張していく淫核。

叩き起こされた感度はみるみるうちに研ぎ澄まされ、アイスの冷たさを壮絶な快感に変えて体中に放つ。

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