白石蔵ノ介
「んんーっ、動いた後のぬるま湯はエクスタシーやな」
慌ただしく準備していたら、待合室にいた四天宝寺中3年の白石蔵ノ介くんが手伝ってくれた。
身体の負担を軽くしようって、お湯を微温めにしてくれたのも彼。ドクターフィッシュも半分貰ってくれるって。
健康に気を遣ってるだけあって均整のとれた逞しい身体は本当に格好良い。心・技・体すべてにおいてパーフェクト──まさに無駄のない男前って感じだよね。
「・・でな、俺らがなんぼ分かりやすう教えたってもウソばっか覚えてしもうて」
そんな彼の相談は後輩の性教育について。先日、遠山くんに自慰を正しくレクチャーした僕にコツを教えてほしいって言うんだけど。
「ぶっちゃけ、あの頭使うん苦手な金ちゃんに、どうやって説明したん?」
「どう」って。真実を告げるのは憚られる。出来れば白石に弱みは見せたくない。
「え……っと、でもテニスのルールなんかは覚えられたんだし、その要領で」
「おぉ、せやな。確かあれは、俺らが目の前でやってみせたり実際にやらせ──って、不二クン……まさか!?」
彼の表情が複雑に変化する。
「シテみせたんかーっ!」
「ごめんっ」
いたたまれず僕は後ろを向いた。軽蔑……されちゃったよね。
「不二クン」
もう合わせる顔がないよ。
「不二……金ちゃんの為にそこまで、ありがとうな」
「白石?」
そっと振り向いたら優しくキスされた。
「はあ……実はな、セックスのやり方きかれてんねん」
「それは……さすがに教えてあげられないよ」
「当たり前や。俺が全力で阻止したるわ!」
なあ、と笑いかけられ僕も思わず笑ってしまった。
「なあ俺にも見せて。皆の知らん不二を」
両脇を抱え上げられ、浴槽の縁に座らされる。
「駄目……恥ずかしい」
「俺に教えて。セックス。男の子とは初めてやから完璧にはいかへんやろうけど、大事にするから」
そう言うと彼は僕のオチンチンを口に含んだ。
「無理しないで」
「ん……してへんよ。教えてもらうんやし、これぐらいはさして」
馴れないモノを口にして大丈夫かな?……でも、気持ちいい。
「……っ、白石、離れてっ!」
このままじゃ、口の中に出しちゃう!
なのに彼は離れるどころか更に強く吸った。
「やぁ、イッちゃ……ぅ」
ビュク──…
彼は一瞬苦しげな表情を見せたけど、僕の精液をゴクリと飲み干してしまった。
「あの、今度は僕がキミのを……」
「ええって。それより不二のナカで感じたい」
そして、僕達は一つになった。
白石も「自信がついた」って、とても満足してくれたみたい。
でも。よく考えてみたら彼がずっとリードしていて、僕は何も教えてないような気がするんだけど。よかったのかな。
END
前へ|次へ
ふれ愛バスルームへ戻る