-Interval-大和祐大


 今日はまだ誰か相談に来るかな?
「やあ、不二くん。お疲れさまでしたね」
 念の為にとお湯を張り替えていたら、後ろから聞き覚えのある優しい声が響いた。青春学園高等部2年の大和祐大さん――僕らが1年生の時、青学テニス部の部長だった人だ。僕にこのバイトを紹介してくれた人でもある。
「おや、お湯を入れ替えてるんですか?」
「はい、気分転換に」
 成り行きとはいえクライエントとエッチしちゃった、なんて言えないよね。
「そうですか」
 あ、何か考えてる……鋭い人だからなあ。憧れの大和部長にいやらしいコだって思われたらどうしよう。
「不二くん」
「はいっ?」
「せっかくですから半身浴がてらマッサージしてあげましょう」
 懐かしい穏やかな笑顔で僕の肩に手を掛ける彼。
「さあさあ湯船に入って」
 バスローブをするりと剥がされ、少し緊張しながらも僕は体育座りで後向きのまま彼の脱衣を待った。
「痛かったら言って下さいね」
 冷えた肩や背中に温かな手が置かれる。

 あ……。

 大和部長の手……すごく気持ちいい。

 触れられているだけで浄化されていくような。

「ぅ……、っ」
 何だかよく解らないけれど涙が溢れてきた。
「痛かったですかー」
「ち、違うんですっ、あ……止めないで、もっと触って……」
 僕ってば、どうしちゃったんだろう。
「ごめんなさいっ」
 恥ずかしい。自分がコントロール出来ないなんて。
「不二くん!」
 その時、背後からふわりと抱き締められた。
「謝らなくていいんです、泣いたっていいんですよ。いやむしろ泣けるだけ泣いてしまいましょう、ね」
 彼は耳元で囁くと頬に優しくキスをしてくれた。顎のお髭がチクチクして擽ったいや。

「僕は……流されやすいし快楽にも弱いし、こんな人間が悩み相談だなんて、おこがましいんじゃないかって」
「キミのその柔軟さこそが宝物だとボクは思っていますがね」
 彼の指が僕の乳首をキュッと摘んで小刻みに揺する。
「あァ……ん」
「その素直な反応もね、実に癒されます」
 僕は僕のままでいいのかな。
「不二くんなら出来る……いや、不二くんだからこそ出来ることもあるんですよ」

 結局、僕は彼の指だけでイカされてしまった。
 まだまだ未熟な僕だけど、大和部長が紹介してくれたこの仕事……好きになれそうな気がするよ。
 明日からも頑張ろうっと。


 END


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