越前リョーマ


 次のクライエントが来る前に、お湯を入れ替えないと……。あと換気もしといた方がいいかな?
「裸で何ウロウロしてるんスか、不二先輩」
 待合室への扉を開けたところでバッタリ会ったのは青春学園1年の越前リョーマくん。
「そんな無防備だと襲っちゃいますよ」
「クス……先輩をからかわないの」
「ちぇっ、すぐガキ扱いするし」
 でもそうやって拗ねた仕草を見せる越前はやっぱり可愛いと思うんだ。お湯を張り替えている理由を訊かれたりしたけど、ちょっと言えないよね。
 そんな越前の相談は何だろうな。
「俺……早く大きくなりたいっス!」
 やっぱり可愛いかも。
「焦らなくても成長期なんだし、そのうち大きくなれるよ」
 元気づけたくて越前の頭を撫でようとしたんだけど、
「不二先輩……分かってない」
 その手を掴まれ僕は彼にキスをされた。辿々しくも激しいキスを――。
 越前は僕を抱こうとしている……!?
「んッ、越前、止めて!」
 僕と越前の体格差は大人と子供程ある。あっさりと押し退けられ越前は呆然としていた。
「越前……キミを一人前に扱ってあげられなかった僕も悪かった。でもね、セックスしたからって大人になれる訳じゃないんだよ」
 越前を責めないように、なるべく穏やかに言ってみた。
「それに、こういうコトは好きな子としなきゃ、ね?」
「俺だってセックスは好きな相手としか、したくないっスよ」
「だったら」
「分かんないスか……俺、不二先輩のこと好きだから」
「越前……」
「でも先輩はいつも俺のことガキ扱いするし、今だって簡単に押し退けられるし……アンタには何一つ勝てなくて、ほーんと悔しいっス」
 そんな無理して微笑って告白されると何だか切なくなっちゃう。
「越前……セックス、しようか?」
「同情されても嬉しくないんだけど」
「でも勃ってる……」
 僕は水中で越前のオトコの部分にそっと触れた。
「ねえ、僕のも触って……ほら」
 越前の手を僕の下腹部に導く。
「キミとのキスで元気になっちゃったんだ。責任とってくれるよね、大人の越前くん?」
「……トーゼン」
 僕達は再び唇を重ねた。

「先輩……挿れるよ?」
「、んッ!」
 セックスは大人への儀式じゃない――。でも好奇心や性衝動からではなく、恋愛感情を自覚して行動を起こせたキミはカッコいいと思うんだ。

 越前、早く大きくなあれ……。


 END


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